福島県会津若松市にある滝沢峠には、かつての街道としての歴史だけでなく、数々の奇妙で不可解な心霊現象が噂されている。今回は、滝沢峠にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
滝沢峠とは?

滝沢峠(たきざわとうげ)は、福島県会津若松市に位置する歴史ある峠道である。
江戸時代には、陸奥国の会津若松と白河を結ぶ白河街道、また二本松とを繋ぐ二本松街道の上街道がこの峠を経由していた。
峠の会津若松側には、国の史跡にも指定されている「旧滝沢本陣」が残されており、ここは会津藩主が街道を通過する際の休息所として使用された。
戊辰戦争の際には、藩主・松平容保が本陣を陣屋として構え、戦火に晒された建物には、今も弾痕や刀傷が残る。
また昭和22年8月18日には、昭和天皇の戦後巡幸の車列が峠を通過し、頂上付近から会津の風景を見渡した記録も残っている。
こうした歴史を刻んだ地であるが、近年、この峠にまつわる不気味な噂が絶えない。
カーブの多い峠道を車で走っていると、突如として背後から何かが猛スピードで追ってくるというのだ。
滝沢峠の心霊現象
滝沢峠の心霊現象は、
- 三輪車に乗った女の子が猛スピードで追いかけてくる
- 追い越されると事故に遭うというウワサがある
- 自転車に乗った老人が現れる
- 乳母車を押す老婆が追いかけてくることもある
である。以下、これらの怪異について記述する。
滝沢峠を巡る心霊現象の中でも、とりわけ恐ろしいとされるのが「追いかけてくる霊」である。
夜、車で峠を走っていると、突如として背後から「カタカタ…」という音が迫ってくる。
振り返ると、ありえない速さで三輪車を漕ぐ女の子の姿が見えるという。
その顔は青白く、表情は虚ろ。
どれだけ加速してもその三輪車はぴたりと車の後ろを追走し、やがて追い抜かれた瞬間、ブレーキが利かなくなり、事故に巻き込まれるというのだ。
しかし、それだけでは終わらない。
別の報告では、自転車に乗った老人が現れ、まるで競争でもするかのように並走してくるという。また、もっと恐ろしいのは乳母車を押す老婆の霊である。
夜道の中、カーブの向こうからスーッと現れ、無言のままこちらへと迫ってくる。
なぜこれほどまでに“追ってくる”霊が多いのか。
それは、この道がかつての主要街道であり、現代でも走り屋の通る危険なルートであることと無関係ではないだろう。
霊たちは、事故で命を落とした走行者の成れの果てか、それとも峠道を永遠に彷徨い続ける者たちなのか…。
ともあれ、この道で何かを見ても、決してアクセルを踏みすぎてはならない。
霊に追い抜かれてしまったその先には、“取り返しのつかない”ものが待っているかもしれない。
滝沢峠の心霊体験談
ある地元のドライバーは、深夜に滝沢峠を通った際、バックミラーに不自然な“影”を見たという。
最初は人かとも思ったが、やがてその影は三輪車のような形をしており、明らかに人間のスピードではなかったという。
慌てて車を加速させたものの、影は距離を詰めてきた。
追い越された瞬間、ハンドルが激しく震え、車がスリップしかけたとのこと。
幸いにもガードレールにぶつかる直前で停車できたが、その場には誰の姿もなかったという。
その夜から数日、ドライバーは悪夢にうなされ続けたと語っている。
滝沢峠の心霊考察
滝沢峠の心霊現象の多くは「追われる恐怖」に集約されている。
三輪車の少女、自転車の老人、乳母車を押す老婆——いずれも日常的な存在のはずが、常軌を逸したスピードで迫ってくるという点に、異様さが際立っている。
この現象は単なる幻覚や都市伝説では済まされない。
共通しているのは、いずれも“後方から追いかけてくる”という点であり、これは峠を通る人々が無意識に感じる「何かに追われている感覚」の具現化とも考えられる。
また、事故が多発する急カーブの道という特性から、命を落とした者たちの無念が渦巻き、時に霊として姿を現すのではないだろうか。
走り屋たちのスピードへの執着、そして命を落とした者たちの怨念——それらが交錯し、この峠に異形の存在を生み出したのかもしれない。
いずれにせよ、滝沢峠を通る際には、後ろから聞こえる音に耳を澄ませてはいけない。
そして、もしも何かが見えたならば、どうか冷静さを失わず、スピードを出しすぎぬように——。
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