佐賀県嬉野市にある「轟の滝」には、美しい景観とは裏腹に、恐ろしい心霊のウワサが存在する。この地で語られる不可解な現象と、自殺の名所としての過去が重なり、多くの人々を戦慄させている。今回は、轟の滝にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
轟の滝とは?

轟の滝(とどろのたき)は、佐賀県嬉野市嬉野町の塩田川上流に位置する滝である。
岩屋川内川との合流地点に形成された三段の滝であり、平坦地に存在する滝としては珍しく、高さ11メートルを誇る。
滝壺の広さは約2500平方メートルに及び、落水の音が雷鳴のように轟くことから「轟の滝」と呼ばれるようになった。
滝の周辺は公園として整備され、桜が咲き誇る春や、湯上がりの散歩にも適した観光地として知られている。
近年では「嬉野アウトドアフィールド」が整備され、サウナやデイキャンプなども楽しめる場所となっている。
だがこの美しい景観の裏側に、得体の知れぬ“霊的な気配”が渦巻いていると噂されている。
轟の滝の心霊現象
轟の滝の心霊現象は、
- 夜になると女性の幽霊が現れる
- 白い服を着た女性が滝の途中で何度も出現する
- 女性のすすり泣く声や叫び声が聞こえる
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、「夜になると女性の幽霊が現れる」という話は、轟の滝が“自殺の名所”として知られている背景と深く関係している。
過去にこの場所で命を絶った女性の霊が、滝壺のあたりに現れるという目撃談が絶えない。
水の流れの音に紛れて、突如として白い人影が現れ、また消えるという。
また、「白い服を着た女性を道中で何度も見る」という証言も多い。
轟の滝へと向かう山道や橋の上、鬱蒼とした木々の間に、真っ白な服を身に纏った女性が立っていたという。
最初は遠くに見えるだけであったその姿が、滝へ近づくにつれ再び、しかも何度も現れるのだという。まるで訪問者を滝へと導くかのように。
さらに、「女性のすすり泣く声や叫び声が聞こえる」という現象も数多く報告されている。
深夜、滝の近くに足を踏み入れると、滝音に混じって明らかに“人の声”としか思えない音が聞こえてくるという。
低く、嗚咽するような泣き声。あるいは絶叫に近い鋭い悲鳴。
声の主はどこにもいないはずなのに、その声だけが耳に残り、身体にまとわりつくような寒気をもたらすという。
轟の滝の心霊体験談
ある訪問者はこう語る。
「夜に轟の滝を見に行ったとき、滝の音とは違う“すすり泣く声”がはっきりと聞こえた。辺りには誰もいなかった。怖くなってその場を離れようとしたとき、滝見橋のあたりで、白い何かが一瞬だけ視界を横切った。見間違いかと思って気のせいにしたけれど、車に戻る途中、もう一度その白い影を見た。あれは、人だった。たぶん、あの女の人だった」
このような体験談が後を絶たず、深夜の轟の滝には霊的なものが宿っていると信じられている。
轟の滝の心霊考察
轟の滝が心霊スポットとされる理由は、第一に「自殺の名所」という背景である。
11メートルという高さ、そして雷のような水音が響く滝壺は、心理的な圧迫感と孤独感を助長する場所でもある。
また、滝音や森の静寂は、人間の聴覚に奇妙な錯覚を引き起こす。
流れ落ちる水の音が女性のすすり泣きに、風で揺れる木の葉の音が誰かの声に、そして薄明かりの中に揺れる影が人の姿に見えてしまうこともある。
しかし、それだけでは説明がつかない体験談があまりにも多いのも事実である。
一度見た白い服の女が、何度も現れるという話。姿がなくても耳元で声が響いたという話。
それらは、ただの幻覚では説明しきれない“何か”が存在していることを示しているのではないだろうか。
「雷のように響く滝の音」と「白い服の女」。
この二つが結びついたとき、轟の滝は単なる自然の景勝地ではなく、“魂が呼び寄せられる場所”として、その姿を変えるのかもしれない。
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