鏡山は、美しい景色と悲恋伝説で知られる一方、多くの心霊現象が囁かれる場所でもある。今回は、鏡山にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
鏡山とは?

鏡山は、佐賀県唐津市に位置する標高284メートルの山である。
その名の由来は、神功皇后が山頂に鏡を祀ったという伝承によるものとされる。
また、『肥前風土記』や『万葉集』にも登場する「松浦佐用姫」の悲恋伝説の舞台でもあり、別名「領巾振山(ひれふりやま)」とも呼ばれている。
山頂からは、唐津市街地や唐津湾、そして特別名勝「虹の松原」、さらには遠く壱岐までを望むことができる絶景の地であり、夜景スポットや桜の名所としても知られている。
山頂には佐用姫を祀る神社や遊歩道、展望台などが整備され、多くの観光客が訪れる名所である。
しかしその一方で、鏡山は過去に自殺者が後を絶たず、数々の怪異が語り継がれる、地元でも有名な心霊スポットでもある。
鏡山の心霊現象
鏡山の心霊現象は、
- 雨の日、山の北側にある6番目のカーブに現れる傘をささぬ女性の霊
- 佐用姫神社の前を歩くと聞こえてくる赤ん坊の泣き声
- 駐車場での男性の自殺事件の後に現れた男性の霊の目撃
- 誰もいないはずの場所から聞こえる謎の声
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず語られるのが、鏡山の北側を登る際に通る「6番目のカーブ」での怪異である。
この地点は「ポンポコ村」と呼ばれる植物園の先にあるヘアピンカーブであり、地元では長年「霊が出る場所」として知られている。
特に雨の日、このカーブの木の下に、傘もささずただ静かに立ち尽くす女性の霊が目撃されるという。
彼女は濡れた髪を顔にまとわせ、無言でじっと登ってくる車を見つめてくるという。
近づくにつれて姿が消えるが、運転手の耳元で「さむい…」というささやきが聞こえることもあるとされている。
次に、佐用姫神社の前で囁かれる異様な現象である。
かつてこの神社近くで赤ん坊の遺体が遺棄される事件が発生したと伝わっており、それ以降、神社前の遊歩道では誰もいないはずなのに「赤ん坊の泣き声」が聞こえてくると噂されている。
その泣き声は不自然に断続的で、まるで道行く人の注意を引こうとしているかのようである。
さらに恐ろしいのが、2022年1月14日に起きた駐車場での猟銃自殺事件である。
山頂の駐車場で、頭を撃ちぬかれた男性の遺体が発見された。
以降、この駐車場付近では夜間、黒いジャンパー姿の男性がふいに現れては視界の隅で消える、という報告が絶えない。
また、誰もいない展望台や遊歩道から、不意に「話し声」「うめき声」「笑い声」が聞こえることがあるという。
しかもその声は、耳を澄ませるほどに近くなるにもかかわらず、決して姿を見つけることができない。
鏡山の心霊体験談
ある女性は、深夜に夜景を見に鏡山へ向かった。
駐車場に着き、車を降りた瞬間、背後から「ちょっと…」という声が聞こえたという。
振り返っても誰もおらず、不安を覚えながらも夜景を撮ろうとしたそのとき、車の窓ガラスに濡れた髪の女の姿が映っていたという。
また別の男性は、昼間に遊歩道を歩いていた際、背後から赤ん坊の泣き声が聞こえたため振り向いた。
だが周囲には誰もおらず、ふと足元を見ると、白いガーゼのような布切れが風もないのに動いていたという。
鏡山の心霊考察
鏡山にまつわる心霊現象には、いくつかの共通点がある。
まず、一帯に流れる「悲しみの情念」が根底に存在している点である。
佐用姫の悲恋の伝説、赤ん坊の遺棄、そして投身や猟銃自殺など、いずれも命が失われた悲惨な背景を持つ。
これらの念が、鏡山という「歴史ある霊的磁場」に引き寄せられ、霊的存在として具現化している可能性がある。
特に、雨の日に現れる女性の霊は、死してなおその場に縛られ、誰かに気づいてほしい、助けてほしいという強い執着を抱いているのではないかと考えられる。
また、赤ん坊の泣き声は、埋もれた事件の記憶が風景と同化し、偶然にも霊感のある者にだけ現れる記録のようなものかもしれない。
鏡山は、美しさと哀しみ、そして怨念が交錯する地である。
軽い気持ちで近づけば、あなたもその“記録”の一部になってしまうかもしれない。
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