旧船坂トンネル（舩坂隧道）

兵庫県と岡山県の県境に位置する旧船坂トンネル（舩坂隧道）は、明治時代に建設された歴史ある鉄道トンネルである。しかしその裏には、数多くの犠牲者や不可解な出来事が積み重なり、現在では心霊スポットとして知られている。今回は、旧船坂トンネル（舩坂隧道）にまつわるウワサの心霊話を紹介する。

旧船坂トンネル（舩坂隧道）とは？

旧船坂トンネル（舩坂隧道）は、山陽本線の前身である山陽鉄道により、明治23年（1890年）に竣工された煉瓦と石積みの旧式トンネルである。

全長は約1,200メートルに及び、岡山県と兵庫県の山間部を貫通する形で建設された。

当時の工事は過酷を極め、地盤の難しさや劣悪な労働環境により、多くの工夫が命を落としたと伝えられている。

さらに、建設中には伝染病が広まり、それによって命を奪われた者も少なくなかった。

その後、電化工事に伴って昭和34年（1959年）に役目を終えた旧トンネルは、一時期、大阪市立大学の三石宇宙線観測所として再利用されたが、現在では人の出入りも少なく、荒廃と静寂に包まれている。

旧船坂トンネル（舩坂隧道）の心霊現象は、

である。以下、これらの怪異について記述する。

このトンネルを訪れた者の多くが語るのは、闇の中から不意に現れる男性の霊である。

作業服のような姿をしており、顔は煤け、まるで今も工事を続けているかのようにゆっくりと歩いているという。

また、誰もいないはずのトンネル内部から、うめくような声や、遠くで何かを叫ぶような音が聞こえるという報告も後を絶たない。

それらの声は、耳元にまで近づいてきたかと思えば、急に遠のいていくという異様な特徴を持っている。

さらに恐ろしいのは、トンネルの入口上部に「足だけ」が浮いて見えるという現象である。

身体がなく、両足だけがぶら下がっているような姿は、偶然では済まされぬ不気味さを放っている。

地元では「関わると祟られる」とまで言われており、夜間に近づく者はほとんどいない。

ある女性の証言によれば、彼女が通勤中に旧船坂トンネルのそばを通った際、はっきりとした姿の「女の幽霊」を見たという。

霊感が強いという彼女は、白い着物のようなものを着た女がこちらをじっと見つめているのを認識し、さらには「助けて」といった女性の声までもが聞こえたと話す。

その場をすぐに離れたが、数日間、悪寒と耳鳴りに悩まされ続けたとのことである。

これらの現象は、単なる噂話で片づけるにはあまりにも具体的かつ一致性のある証言が多い。

トンネル建設に関わった多くの死者や、伝染病による非業の死を遂げた者たちの無念が、時を超えてなおこの場所に残留していると考えられる。

また、宇宙線観測所として使われていたという過去も、この地に人知れぬエネルギーが集中していた証左とも取れる。

科学と霊的な存在の交錯――旧船坂トンネルには、見えざる何かが今もなお蠢いているのかもしれない。