岡山県美作市にかつて存在した上山医院――建物の形状から「玉の字医院」とも呼ばれたこの廃病院には、女性の霊や人影、奇怪な音といった数多くの心霊現象が語り継がれている。解体された今もなお、不気味な記憶と恐怖が人々の間に残るという。今回は、上山医院(玉の字医院)にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
上山医院(玉の字医院)とは?
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上山医院は、かつて岡山県美作市に存在した外科病院である。
建物を上空から見ると、まるで漢字の「玉」の字を描くような独特な構造であったことから、「玉の字医院」との異名を持つ。
この病院は戦前に開院され、木造平屋建ての建築様式で、診察室、手術室、入院病棟、調剤室などを備えていた。
1970年代から80年代にかけて改修されたが、1990年頃には廃院となり、長年にわたり朽ち果てたまま放置されていた。
2015年頃から廃墟マニアや心霊探訪者の間で注目を集め、2022年2月には解体されたが、その異様な雰囲気と不可解な現象から、今なお語り継がれる心霊スポットとなっている。
上山医院(玉の字医院)の心霊現象
上山医院(玉の字医院)の心霊現象は、
- 女性の霊が出没する
- ラップ音が絶えず響く
- 黒い人影が廊下を横切る
- 物音が頻繁に聞こえる
である。以下、これらの怪異について記述する。
女性の霊が出没する
手術室の中央に今も残された単灯式無影灯。
その真下に立つと、背後から何者かに見下ろされているような圧迫感が襲ってくる。
ときに、朽ちた廊下の先に白衣をまとった女性の影がふいに現れるという。
目撃者の中には、血のようなものが顔に流れていたと証言する者もいる。
ラップ音が絶えず響く
病院の内部に足を踏み入れると、まず耳に飛び込んでくるのは「コン、コン」と乾いた音。
天井や壁、足元からも響きわたり、まるで誰かが内側から逃げ出そうとしているかのような執念を感じさせる。
ラップ音は徐々に早くなり、訪問者の精神を追い詰めていく。
黒い人影が廊下を横切る
両翼に伸びる長い廊下の突き当たり。そこには木製の棚があり、小さな薬瓶が今も静かに佇んでいる。
その廊下の奥を、何かが横切る瞬間を捉えた者が複数いる。
黒く、輪郭の定まらない人影が滑るように移動するというのだ。
物音が頻繁に聞こえる
院内を探索する者の多くが、不自然な物音を耳にする。
ドアの軋む音、誰かが床を引きずるような足音、または、電話口のあたりから微かに女性の嗚咽が聞こえるという証言もある。
かつて命が消えていった場所としての記憶が、音となって現れるのだろうか。
上山医院(玉の字医院)の心霊体験談
ある探訪者が記録した体験は、生々しく、今なお語り草となっている。
深夜、懐中電灯ひとつで院内を進んでいたところ、電話口の前で不自然な冷気を感じたという。
ふと見ると、受話器がわずかに揺れていた。
ふざけ半分に近づいたそのとき、背後で「…もしもし…」という声が囁いたという。
慌てて振り向くも、そこには誰もいなかった。
ただ、首のない人形が静かに椅子に腰掛けていたというのだ。
上山医院(玉の字医院)の心霊考察
上山医院における心霊現象の多くは、「死の記憶」と深く結びついていると考えられる。
病院という空間は、生と死が交錯する場所である。
そこには、希望と絶望、安心と恐怖、救済と終焉が同時に存在する。
廃墟と化したこの病院には、かつて苦しみの中で最期を迎えた者たちの“念”が、未だ浄化されずに残っている可能性がある。
とりわけ手術室という、人の生死を左右する最前線であった空間には、強い残留思念が宿っていても不思議ではない。
無影灯が今も朽ちた手術室に存在しているという事実が、それを象徴しているのかもしれない。
たとえ建物が解体された今でも、「玉の字」の形をした病院が遺した影は、完全には消えていない。
そこに足を踏み入れた者の心に、不可解な“何か”を残していくのである。
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