岡山県岡山市に佇む廃墟「キューピーの館」は、無数の赤子の人形が逆さ吊りにされた異様な光景と共に、少年の霊が現れる、人形が夜中に泣き出す、黒い影に金縛りに遭うといった数々の不気味な噂に彩られている場所である。今回は、キューピーの館にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
キューピーの館とは?

キューピーの館とは、岡山県岡山市北区高松稲荷に存在する廃墟である。
1970年前後に建立された宗教施設であり、昭和50年代には寄進者の奉名板が多数掲げられ、一定の繁栄を見せていたようだ。
しかし1990年代には既に使われなくなり、2000年代初頭には廃墟として語られ始めていた。
この建物が特異なのは、内部に無数の赤子やキューピーの人形が吊るされている点である。
人形には名前や日付が記されており、大正時代に遡るものまで確認されている。
これが「水子供養」あるいは「安産祈願・成長祈願」のためのものであったとされるが、詳細は不明である。
さらに、近くには鳥居や三光天王を祀る寺があった形跡もあり、神仏習合の信仰形態がこの不気味な光景を形作った一因とも考えられている。
キューピーの館の心霊現象
キューピーの館の心霊現象は、
- 少年の霊が現れる
- 人形が夜中に泣き出し、動き出すという噂
- 持ち帰った人形に取り憑かれ、黒い影に金縛りに遭う
- 天井からドンドンと響く謎の音
- 周囲だけ異様に空気が冷たく感じる
である。以下、これらの怪異について記述する。
天井からは数百体にも及ぶ赤子の人形が逆さ吊りにされ、腐朽しつつもなお異様な存在感を放っている。
中には首が千切れかけたものや、引き裂かれて綿が露出したものも多く、それらが風に揺れてカサカサと音を立てる様は、正気を削ぐには十分である。
夜になると、これらの人形がすすり泣くような声を上げると囁かれている。
まるで吊るされた無数の命が、死の淵から苦痛を訴え続けているかのようである。
また、人形を面白半分に持ち帰った者の多くは、夜毎に黒い影に取り囲まれ、強烈な金縛りに見舞われたと証言する。
中には目を覚ました瞬間、布団の脇にずぶ濡れの子供が立っていたという話もある。
さらに、館の奥へ進むと突然空気がひどく冷たくなり、吐く息さえ白くなることがあるという。
こうした異常は、他の廃墟ではまず見られぬ現象であり、この場所が何らかの強い負の念に包まれていることを示唆している。
キューピーの館の心霊体験談
「夜中に面白半分でキューピーの館に忍び込んだ。友人と懐中電灯を頼りに祭壇を見て回っていたとき、奥からヒタヒタと裸足で床を叩く音が聞こえてきた。慌てて外に飛び出すと、館の入口に少年の霊が立ってこちらを無表情に見つめていた。あの瞳の奥の闇は、生者のものではなかった。」
別の者はこう語る。
「同行した女友達が興味本位で人形を一体持ち帰った。その夜、彼女は夢の中で無数の赤子に引きずり込まれ、目が覚めたときには肩中に小さな手形が無数についていた。それから彼女は原因不明の高熱に苦しめられ、結局人形は寺の住職に預け除霊された。」
キューピーの館の心霊考察
キューピーの館は、一見すれば安産祈願や子の成長祈願のための場であり、それ自体に怨念が籠もる理由は薄いようにも思われる。
しかし、無数の人形が長年放置され、祈願を受け止めたまま打ち捨てられたことで、その想念は次第に淀み、やがて呪詛にも似たものへと変質していったのではないか。
また水子の霊は、とりわけ母に対しては謝罪や慈しみの言葉で救われる場合が多いが、父や祖父母が手を合わせた場合、逆に怨念を増幅させるとも言われる。
そのため不用意にこの場所を訪れ、興味本位で供養されし存在を刺激することは、取り返しのつかない結果を招く恐れがある。
キューピーの館は単なる廃墟ではない。
人の願いや悲しみ、未練が幾重にも絡まり、今なおそこに留まり続ける異形の場所なのである。
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