広島県北広島町にある臥竜山──美しい自然に包まれたこの山には、凄惨な事件の記憶とともに、今もなお語り継がれる恐怖の心霊現象が存在する。今回は、臥竜山にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
臥竜山とは?

臥竜山(がりゅうざん)は、広島県山県郡北広島町の八幡高原の中心に位置し、その名のとおり竜が伏せて臥したような雄大な山容を持つ山である。
古くは「刈尾山」と呼ばれていたが、昭和22年発行の地図から突然「臥竜山」と改称された。
北東には掛頭山へと連なる尾根が延び、北面の千町原や八幡高原には湿原が多く、珍しい湿原植物や鳥類、昆虫が生息する宝庫である。
昭和30年代まで全山はブナの巨木に覆われていたが、現在は東面と南面が伐採され、西面のみが休養林として保存されている。
登山道は八幡側から雪靈水の水場を経てわずか10分ほどで山頂へ至ることができるほか、千町原、二川キャンプ場、小板、芸北国際スキー場などからも林道や登山道が整備されている。
8合目付近まで車やバイクで登ることができ、そこから山頂までは徒歩15分ほどである。
しかしこの美しい自然の中に、恐ろしくもおぞましい噂が渦巻いている。
臥竜山の心霊現象
臥竜山で語られる心霊現象は、
- 女性の霊が現れる
- 苦しげな呻き声が聞こえる
- 事件現場で謎の音声が収録される
- 殺害された女性の声がテレビ中継に入り込んだという噂が絶えない
である。以下、これらの怪異について記述する。
女性の霊が現れる
臥竜山を訪れた登山者の中には、森の奥でこちらを見つめる女性の姿を目撃した者が後を絶たない。
幽霊らしきその女性は白い服を纏い、長い髪を垂らして立ち尽くしているだけなのだが、視線が合った瞬間、血の気が引くほどの寒気が襲ってくるという。
次の瞬間にはその姿は消えており、ただ風が木々を鳴らす音だけが残されている。
苦しげな呻き声が聞こえる
臥竜山を散策中、木々の間から女の呻き声が聞こえてくることがあると噂されている。
その声は「うぅ…あぁ…」と今にも泣き崩れそうな調子で続き、耳を澄ませるとどこからともなく「どうして…私だけ…」という言葉が混じるとも言われる。
その声を聞いた人間は、その後不吉な出来事に見舞われることが多いらしい。
事件現場で謎の音声が収録される
2009年11月6日、臥竜山の山頂付近で女性の頭部が発見された。
後のDNA鑑定で、島根県浜田市から10月26日以降行方不明になっていた女子大生と判明。
その後も周辺から次々と遺体の一部が発見され、日本中を震撼させた事件である。
この事件の報道を行ったニュース番組では、現場の映像中に不可解な音声が入り込んでいたことが視聴者から指摘された。
そこには「凄い痛かった…どうして私だけ…」と聞こえる女性の声が収められていたと言われ、殺害された女子大生の怨念がニュース映像にまで干渉したのではないかと恐れられている。
殺害された女性の声がテレビ中継に入り込む
事件後も臥竜山の怪異は続き、報道番組での現場中継に「助けて」「痛い」という声が重なるように聞こえると騒がれた。
ネット上ではその音声が動画として今も拡散されており、それを聴いた者が体調を崩した、夜中に同じ声を聞いたなどの話が絶えない。
臥竜山の心霊体験談
ある男性が臥竜山をハイキング中、突然背後から女性のすすり泣く声を聞いた。
振り返っても誰もおらず、足早にその場を離れようとした瞬間、再び耳元で「どうして…私だけ…」と囁かれたという。
帰宅後、熱にうなされ悪夢に苛まれた挙句、一週間後に不慮の事故に遭ったとされる。
また、別の登山者は山頂付近で写真を撮影したところ、木々の間に白くぼんやりとした人影が写り込んでおり、拡大すると血に濡れたような女性の顔がはっきりと映っていたという証言もある。
臥竜山の心霊考察
臥竜山で起こる一連の怪異は、無念のうちに命を絶たれた女子大生の怨念が深く関わっている可能性が高い。
事件現場で記録された不可解な音声や、同様の呻き声を複数の登山者が聞いたという証言は、それが偶然の錯覚や自然音では片付けられない域に達している。
また、臥竜山という場所そのものが古くから「竜が臥した」形状を持ち、土地に特有の霊的エネルギーを溜め込みやすい地であるとも考えられる。
長い年月を経て、この地に集まった様々な念が、女子大生の無念の死を触媒として一層強い怪異を引き起こしているのかもしれない。
いずれにせよ、臥竜山を訪れる際には決して軽い気持ちで足を踏み入れるべき場所ではない。
そこで何を見聞きし、あるいは何を連れて帰ることになるのか──それは誰にも分からないのだから。
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