下関市の中心部、唐戸交差点に架かる一見何の変哲もない陸橋には、古くから奇妙な噂が絶えない。夜になると足音や人影、誰かの声が聞こえるというこの場所は、一部では「絶対に近づくな」と囁かれる“隠れた心霊スポット”であるという。今回は、唐戸の陸橋にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
唐戸の陸橋とは?

唐戸(からと)とは、下関市の中心市街地に位置するエリアの名称であり、赤間町や阿弥陀寺町、観音崎町などの周辺地域を含む一帯を指す。
ここには歴史的な建造物や観光施設も点在しているが、その一角、国道9号線と県道57号線が交差する「唐戸交差点」には、地元住民が日常的に利用する歩道橋――すなわち「唐戸の陸橋」がある。
陸橋自体は観光名所ではない。
だが、夜になるとその場所は空気が変わる。足を止める者はなく、誰もが目をそらし、急ぎ足で通り過ぎる。
この陸橋にまつわる“異様な気配”は、次第にウワサとなって広まり、地元では「近づくな」とまで言われる場所となった。
唐戸の陸橋の心霊現象
唐戸の陸橋の心霊現象は、
- 夜中、誰もいないはずの陸橋で足音が響く
- 陸橋の中央で動かない“黒い影”を目撃する
- 陸橋を渡っている最中に、背後から肩を叩かれる
- 陸橋の下を通った車が、急にエンジン不調を起こす
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、夜中に聞こえる足音について。
深夜、人気がまったくなくなった時間帯に、陸橋の階段を上る“誰かの足音”がカツ、カツ、と響くという。
実際に確認しても、そこには誰の姿もない。だが、明らかに何かがこちらに近づいてきている“気配”だけは、背筋にまとわりつくように残るという。
次に“黒い影”の存在だ。陸橋の中央に、深夜、まるで人が立っているかのような影がぼんやりと浮かんで見える。
近づくと、その姿はスッと消えてしまうが、ある者は「白い目だけが最後までこちらを見ていた」と証言している。
また、肩を叩かれる現象は特に異質である。背後に人がいないのを確認して歩いていたにもかかわらず、誰かが“軽く肩をトントンと叩く”。
振り返っても、そこには何もいない。
ただし、一度これを経験すると、それ以降“背中を見られているような視線”を感じ続けるようになるという。
そして、陸橋下を走行する車両のエンジン不調。
この場所を通ると、急にライトがチカチカと点滅し、エンジンが一時的に停止する、というトラブルがあるという。
整備点検をしても異常は見つからず、「何かが車に干渉しているのでは」と語る者もいる。
唐戸の陸橋の心霊体験談
ある女性の証言によれば、深夜に唐戸の陸橋を渡っているとき、階段の中腹で「上がってくる足音」とすれ違った。
彼女は最初、それを誰かが上ってくるものと思ってよけたが、すぐ後ろを振り返っても誰もいなかった。
さらに彼女は、陸橋の中央にさしかかったとき、「今、通ったの?」という小さな子供の声を聞いたという。
恐怖で走り出したものの、下に降りた瞬間、背後から「戻って」と囁かれ、膝が崩れ落ちたそうである。
以後、彼女はその声が夢の中にも出てくるようになり、唐戸の近くに足を踏み入れることができなくなったという。
唐戸の陸橋の心霊考察
唐戸の陸橋にまつわる心霊現象の多くは、「何者かの存在を感じさせる」タイプのものである。
これは、霊的存在が特定の感情や記憶に執着し、同じ場所に留まり続ける「地縛霊」の特徴と一致している。
唐戸という土地が持つ歴史的背景――港町としての栄枯盛衰、人の行き交いと別れ、観光地の喧騒の裏にある静けさ――が、こうした霊的な“澱”を蓄積させてきた可能性は否定できない。
とくに、唐戸の陸橋のように人目につかない場所で静かに発生する怪異は、観光地の華やかさと対照的であり、だからこそよりリアルな恐怖をもって語り継がれるのかもしれない。
唐戸を訪れる者は、昼間の賑わいに油断せず、夜の陸橋には決して近づかないことをおすすめする。
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