恋人峠は、源平時代に平家の公達と姫君が険しさゆえに引き裂かれたという悲恋の伝承を持つ場所であり、現在は恋人たちが南京錠をかけて愛を誓う観光地として知られる。しかし、その裏には霊感の強い者が異変を感じたり、訪れた恋人が必ず別れるといった不気味な話があるという。今回は、恋人峠にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
恋人峠とは?

恋人峠(こいととうげ)は、徳島県美馬市穴吹町口山に位置する標高212mの峠である。
半平山の北側、国道492号沿いにあり、峠からは穴吹川の渓谷美を一望できる。
源平時代、屋島の合戦に敗れた平家の公達が剣山に落ち延びる際、後を追った姫がこの峠の険しさに行く手を阻まれ、恋人同士でありながら別れを余儀なくされたという悲恋の伝承が残る。
現代では、恋人たちがフェンスに南京錠をかけ、永遠の愛を誓う“恋人の聖地”として知られる。
しかし、この華やかな観光的演出の裏で、古くから不可解な現象が報告されており、地元では心霊スポットとしても恐れられている場所である。
恋人峠の心霊現象
恋人峠の心霊現象は、
- 霊感の強い人物と訪れると不可解な現象が起きる
- 峠に近づこうとすると理由もなく体が拒否反応を示す
- 鍵をかけた直後に異様な寒気や耳鳴りに襲われる
- 恋人同士で訪れた者がその後、必ず別れるという呪い
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず「霊感の強い人物と訪れると不可解な現象が起きる」という噂であるが、報告によれば、心霊に敏感な人物がこの峠に近づくと急に顔色が変わり、「ここは危ない」と口にして立ち止まることが多いという。
また、「峠に近づこうとすると体が拒否反応を示す」という現象は、車で向かう途中に理由もなく動悸が激しくなったり、運転者が急な眠気や吐き気に襲われる事例がある。
中には車のエンジンが突然停止したという報告もある。
「南京錠をかけた直後に寒気や耳鳴りに襲われる」ケースも多い。
鍵をかけ終えた瞬間に、背後から誰かに見られているような感覚や、声にならない囁きを耳元で感じたという証言が残っている。
そして最も有名なのが「別れの呪い」である。
峠で南京錠をかけた恋人たちの多くが、その後急な別れを経験するという。
これは、かつてこの地で引き裂かれた平家の恋人たちの怨念が、現代のカップルに同じ運命を強いているのではないかと囁かれている。
恋人峠の心霊体験談
ある若いカップルが、観光気分で恋人峠を訪れ、フェンスに南京錠をかけた。
鍵をかけた直後、女性が突然「帰ろう」と怯えた表情で呟いた。
男性が理由を尋ねると、彼女は「後ろに女の人が立っていた」と答えた。
しかし振り返っても誰の姿もなかったという。
その帰り道、車内で口論が絶えず、数日後に二人は破局した。
女性は後に友人へ「あの時の女の顔が、今でも夢に出る」と語っている。
恋人峠の心霊考察
恋人峠は表向き“恋人の聖地”として飾られているが、その名称の由来は血と涙に彩られた悲恋の伝承である。
かつてこの地で無念の別れを強いられた男女の魂は、峠を訪れる恋人たちに自らの境遇を重ね、同じ結末へと引きずり込むのではないか。
南京錠という“永遠”の象徴を封じる行為は、逆にこの土地に眠る怨念を呼び覚まし、現代の恋人たちを呪いの鎖で繋ぎ止めてしまうのかもしれない。
華やかな観光地の裏側には、今もなお消えぬ怨嗟の気配が漂っているのである。
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