高知県津野町の四万十源流公園には、国道439号にちなんで名付けられた「与作狸」という巨大な狸像が立っている。かつては音楽を奏でる仕掛けがあったが今は壊れ、廃墟めいた周囲の空気と相まって不気味さを漂わせている。今回は、四万十源流公園の与作狸にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
四万十源流公園の与作狸とは?

四万十源流公園は高知県高岡郡津野町にある公園で、「四万十源流のむら 東津野」と掲げられた看板が目印である。
国道439号沿いに突如現れる巨大な狸の像は「与作狸(よさくたぬき)」と呼ばれ、その名は国道番号「439(よさく)」に由来しているとされる。
この像は左官職人であり彫刻家でもあった野並四郎(1905–1993)が制作したもので、かつては100円を入れると音楽が流れる仕掛けがあった。しかし現在は壊れたまま放置され、狸は沈黙し続けている。
隣には龍が塔に絡みついた奇妙なオブジェが立ち、その背後には「白龍荘」と記された建物の廃墟が残されている。
鬱蒼と茂る草木と老朽化した施設が異様な空気を放ち、珍スポットとして知られる一方で、いつしか心霊スポットとしても噂されるようになったのである。
四万十源流公園の与作狸の心霊現象
四万十源流公園の与作狸の心霊現象は、
- 誰もいないはずなのに声が聞こえてくる
- 夜になると狸像の目が光るのを見た者がいる
- 廃墟となった建物の窓から人影のようなものが覗いていた
- 白龍湖の周辺で足音や気配を感じる
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず最もよく語られるのは「声の怪異」である。
人気のない公園で、草木の揺れる音に混じって人の話し声のようなものが聞こえたという証言がある。
振り返っても誰もいない。まるで狸が人を化かしているかのような不気味さを伴っている。
次に狸像の「光る目」の噂である。夜間に車で通りかかった者が、像の目が赤くぎらつき、こちらを睨んでいたと証言している。
像に光を反射する細工はないはずだが、複数の目撃談が残っている。
また、像の背後に建つ「白龍荘」の廃墟からは、窓に立つ人影を見た者が少なくない。
廃業して久しい建物に人がいるはずはなく、通りがかった者の多くは慌ててその場を立ち去ったという。
さらに、狸像の裏手にある白龍湖では、夜に足音や水音を聞いた者もいる。
周囲は雑草が生い茂り、遊歩道は蜘蛛の巣だらけである。
誰も通れるはずのない小径から足音が近づいてくる現象は、訪問者の恐怖を強く煽るものとなっている。
四万十源流公園の与作狸の心霊体験談
ある訪問者は、夜に友人とドライブ中に与作狸を見物に立ち寄った。
車を降りた瞬間、草むらの奥から「おいで…」と囁くような声が聞こえた。
仲間全員がその声を聞き、慌てて車に飛び乗ったという。
帰り道でもバックミラー越しに狸像の目が赤く光り、見つめられている感覚が消えなかったと語っている。
別の人物は白龍湖に足を踏み入れた際、湖面を覗き込んだところ、沈んだ狸のような顔が水中から覗いていたと証言している。
驚いて顔を上げると、周囲には誰もおらず、ただ湖面が不気味に揺れていたという。
四万十源流公園の与作狸の心霊考察
与作狸にまつわる心霊現象は、公園に漂う廃墟めいた空気と無縁ではない。狸は古来より人を化かす存在として恐れられてきた。
巨大な狸像が無言で立ち続ける姿は、ただの観光モニュメントではなく、土地に根付いた「妖し」の象徴とも考えられる。
また、隣の白龍荘の廃墟や白龍湖といった要素が加わり、死と生、現実と幻覚の境目が曖昧になる空間を形作っている可能性がある。
声や足音、光る目といった体験は、単なる噂の域を超え、訪れる者に実際の恐怖を植え付けている。
与作狸はただの珍スポットではなく、土地に取り憑いた「化かしの念」が具現化した存在であるのかもしれない。
コメント