高知市の能茶山にある「忠霊塔(ぽっくり地蔵)」には、戦没者の霊が今もなお彷徨っているという。今回は、能茶山の忠霊塔(ぽっくり地蔵)にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
能茶山の忠霊塔(ぽっくり地蔵)とは?

能茶山の忠霊塔には、明治維新の志士から第二次世界大戦までの戦没者が合祀されており、戦没者を慰霊・顕彰することを目的として建てられたものである。
納骨施設を備える慰霊塔の一つであり、戦争で命を落とした多くの人々の霊を静かに祀っている。
塔のそばには「ぽっくり地蔵」と呼ばれる地蔵が北向きに立っている。
お地蔵様が北を向くのは非常に珍しく、「寝付かずに、ぽっくりと大往生できるように」という信仰が込められている。
苦しまずに逝けるよう願う“ぽっくり信仰”は全国に存在するが、この地の地蔵はなぜか静けさよりも、得体の知れぬ重苦しさを帯びていると語る人も多い。
能茶山の忠霊塔(ぽっくり地蔵)の心霊現象
能茶山の忠霊塔(ぽっくり地蔵)の心霊現象は、
- 忠霊塔周辺で、日本兵の霊を見たという証言がある
- 背後の白いマンションの窓に、無数の人の顔が浮かび上がる
- 夜中に地蔵の周囲で誰かの足音が聞こえる
- 写真を撮ると白いもやや顔のようなものが写る
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、最も多く語られるのは「日本兵の霊を見た」という話である。
深夜、塔の前に佇む軍服姿の男が目撃されることがあるという。
彼は何も語らず、ただ静かにこちらを見つめて立っているだけだという。
近づこうとすると、ふっと霧のように消えてしまうという証言が多い。
次に、塔の背後に建つ白いマンションである。
その窓のいくつかには、夜になると人の顔が浮かぶという。
複数の部屋に同時に現れることもあり、見上げた者の多くが「目が合った」と語る。
だが翌朝、その部屋の住人に尋ねても、誰もそんな時間に起きていなかったという。
また、夜の地蔵の周囲では足音がついてくるという報告もある。
振り返っても誰もいない。
地蔵の背後に回ると、風もないのに草がわずかに揺れることがある。
その瞬間、妙な冷気が足元を這うようにして流れるのだという。
写真を撮ると、白いもやや、まるで人の顔のような影が写ることもある。
とくに地蔵の目線の先を写した写真には、何かが重なるように映る傾向があるといわれている。
能茶山の忠霊塔(ぽっくり地蔵)の心霊体験談
ある地元住民は、深夜に犬の散歩でこの場所を通りかかった際、地蔵の前で犬が突然吠え立てたという。
普段は大人しい犬が、背中の毛を逆立てて低く唸り、動こうとしなかった。
その時、背後で「ジャリ…ジャリ…」と足音が聞こえ、誰かが砂利道を踏むような音がした。
振り返っても、そこには誰もいなかったという。
犬はその後も地蔵の方を見つめ、震えながら動こうとしなかったそうだ。
能茶山の忠霊塔(ぽっくり地蔵)の心霊考察
忠霊塔は、戦没者の霊を慰めるために建てられた場所である。
だが、数多の命を失った歴史の記憶がこの地に染みついており、いまもなお消えきらぬ「祈りと未練」のような気配が残っているのかもしれない。
背後のマンションに現れる顔や、地蔵の周囲で聞こえる足音は、その記憶の断片が形をとったものとも考えられる。
また、ぽっくり地蔵が北を向いていることも異様である。
北は古来より“死者の方角”とされ、霊界を象徴する方角でもある。
安らかに往生したいという願いの裏に、逝ききれぬ魂が引き寄せられているのかもしれない。
能茶山の忠霊塔は、慰霊と畏怖が共存する場所であり、今なお静かに語り継がれる“霊の気配”が息づいているのである。
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