朝日牧場は、兵庫県朝来市に存在した牧場の跡地である。
「山の上の牧場」「山上の牧場」「山の牧場」「A牧場」など、呼び名がいくつも残っているのが特徴だ。
先に断っておくが、本記事は幽霊の存在を断定しない。
ただ、この場所は“心霊スポット”としてだけでなく、ミステリースポットとしても語られ、噂が噂を呼び続けてきた。
ここでは、何が実際に残っていて、何が物語として増幅されていったのかを整理していく。
朝日牧場とは?

朝日牧場は、1970年代前半に開設された生産牧場とされ、繁殖牝馬を繁養していたという。
1998〜1999年頃に閉業したと見られ、電話帳には「但馬朝日牧場」「朝日牧場」の名が1999年まで記載されていたという情報がある。
山道の様子も時期によって変わっている。
1994年時点では道筋が比較的はっきりしている一方、2005年頃には緑に埋もれかけていたことが空中写真から確認できる、と語られている。
閉業後は、牧場施設や付属建物、廃車などが放置され、朽ちていく過程そのものが「不可思議さ」の土台になっていった。
朝日牧場で語られている心霊現象
この場所が心霊・怪談文脈で語られるとき、核にあるのは『新耳袋』の「山の牧場」だ。
ただし、朝日牧場がそのモデルかどうかは、時系列的に疑問も残る(『新耳袋』は1990年に最初期が発表され、舞台設定が1988年とされる一方、朝日牧場は当時まだ営業中だった可能性があるため)。
それでも、この場所に関しては“現場の特徴”が、そのまま噂の部品として繰り返し語られている。
- 赤い屋根の牛舎なのに、飼育の痕跡が薄い(ように見える)
- 2階建てに見える建物に、2階へ上がる階段がない
- 建物内にお札が大量に貼られた部屋がある
- 「たすけて」等の文字が残っていた、という語り
- ここに関わった人の失踪話、不可解な目撃談(UFO含む)が派生する
心霊現象というより、“説明のつかない配置・痕跡”が恐怖を呼び込むタイプである。
朝日牧場が心霊スポットとされる理由
朝日牧場が面白いのは、怖さの根が「怨念」よりも先に、構造の違和感に置かれている点だ。
閉業後の廃墟には、時間のズレが生まれる。
現役時代の設備と、崩壊の過程と、侵入者の痕跡が、同じ空間に折り重なる。
その結果、「なぜこうなっているのか」が読めない場所が出来上がる。
ここでは特に、
- 建物が“エの字型”に連結されていた
- 東側が2016年頃に半壊し骨組みだけになった
- 2023年時点でも木々の陰に多くの畜舎が残る
- 入り口に「畜魂」の碑
- 事務所には書類やトロフィー(共励会の最優秀賞など)が残る
- 別棟に大量の関連書類(講習会パンフレット等)が残る
といった情報が積まれ、「かつて確かに“営み”があった」ことが見える。
その生活感と、今の荒れ方が噛み合わないとき、場所は“物語”を呼ぶ。
さらに2022年にはテレビ番組でも紹介され、
噂は「知っている人の間の話」から「誰でも触れられる話」へ移り、印象は濃くなっていった。
心霊体験談or口コミ
口コミには大きく2系統がある。
① 心霊化の過程を説明するタイプ
「経営者が札を貼る狂信者だった」「閉業後にDQNの溜まり場になった」「言霊で人工霊が生まれる」など、
“なぜ心霊スポットになったか”を因果で組み立てる語りが見られる。
② そもそも心霊ではないとするタイプ
「普通の牧場だった」「階段がないのは棟の構造・破壊で説明できる」「噂が噂を呼んだだけ」とする視点。
この立場でも、場所の異様さ自体は否定しないことが多い。否定しているのは“霊”ではなく、“解釈”の方だ。
そしてもう一つ、ここに混じるのが UFOの話 である。
心霊とUFOは別ジャンルのはずなのに、山中の隔絶、人気のなさ、施設の不可解さが共通しているため、
同じ場所に“異常”のラベルが重なっていく。
なぜ『朝日牧場』なのか|場所から考える心霊考察
朝日牧場の怖さは、「何かが起きた」と言い切れる事件性よりも、
“説明が届かない空白”が残り続けることにある。
- なぜこんな山上に、これほどの設備があるのか
- なぜ一部の構造が不自然に見えるのか
- なぜ書類や賞状が残り、生活の気配だけが置き去りになったのか
- なぜ閉業後、長い時間が“誰のものでもない空間”として放置されたのか
こうした空白があると、人はその隙間を埋めようとする。
埋める材料として最も強いのが、怪談やミステリーだ。
しかも牧場は、病院やホテルと違って「人が集まる用途」ではない。
本来は作業の場であり、山の上で孤立しがちな場所だ。
孤立は、噂にとって都合がいい。反証が難しく、現地に行くにも労力が要るからだ。
結果として朝日牧場は、
“廃墟”と“山”と“構造の違和感”が噛み合い、
心霊ともミステリーとも呼べる場所になっていった。
まとめ
朝日牧場は、1970年代に開設され、1998〜1999年頃に閉業したとされる山上の牧場跡である。
閉業後は施設や書類が残り、朽ち方の途中に“説明しにくい違和感”が生まれた。
本記事は幽霊を断定しない。
ただ、階段のない2階、大量のお札、残された賞状や書類、山上の隔絶といった要素が、
“物語を生む土台”になったことは確かである。
心霊スポットと呼ばれる場所には、
最初から“霊”がいるのではなく、
人が意味を与え続けた結果として“そう見える場所”もある。
朝日牧場は、その過程が見えやすい場所の一つである。




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