旧鐘ヶ坂トンネル(明治のトンネル)のウワサの心霊話

兵庫県丹波市と丹波篠山市の市境、国道176号の難所として知られてきた鐘ヶ坂峠。この峠には、明治・昭和・平成――三つの時代に造られたトンネルが並ぶ、全国的にも珍しい区間がある。

その中でも通称「明治のトンネル(鐘ヶ坂隧道)」は、レンガ積み工法の道路トンネルとして最古級の遺構として語られる存在である。一方で、使われなくなった古い隧道にはありがちなように、「四つん這いの女が出る」「作業員の霊が目撃される」といった心霊の噂もまとわりつく。

本記事は、幽霊の存在を断定するものではない。歴史的背景としての“明治のトンネル”と、そこに付着した噂・口コミを整理し、なぜここが心霊スポットとして語られるのかを観察するものである。


旧鐘ヶ坂トンネル(明治のトンネル)とは?

旧鐘ヶ坂トンネル(明治のトンネル)の外観

鐘ヶ坂峠には、以下の三世代トンネルが存在するとされる。

  • 明治のトンネル(鐘ヶ坂隧道):全長268m、明治13年着工~同16年完成
  • 昭和のトンネル(鐘ヶ坂トンネル):全長455m、昭和40年着工~同42年完成
  • 平成のトンネル(新鐘ヶ坂トンネル):全長1012m、平成13年着工~同17年完成

このうち「明治のトンネル」はレンガ積みで、使用レンガは約28万枚、総工費は当時4万円とも語られている。坑口には銘板が掲げられており、丹波篠山市側に『事成自同』、丹波市側に『鑿山化居』と記された扁額があるとされる。

また、普段は施錠され、見学には事前の申込みが必要という情報もある。つまり、ここは“自由に出入りできる廃トンネル”というより、近代遺産として管理されている性格が強い。


旧鐘ヶ坂トンネルで語られている心霊現象

この場所で語られている主な噂は次のようなものである。

  • 明治のトンネル内で、四つん這いになった女の霊が目撃される
  • 作業員の霊が出る
  • 雪の日、平成トンネル側でも亡霊(地縛霊)が出るという噂がある

特に「四つん這いの女」という像は強い。歩くのではなく“這う”という動作が、人間の形を保ちながらも異物感を最大化するからである。暗いトンネルの床面に近い位置で動く存在は、想像するだけで視界の恐怖を刺激する。

一方で、口コミには「心霊スポットとして語るべきではない」「建築として圧倒された」といった反応もある。ここは噂と評価が割れやすい場所である。


旧鐘ヶ坂トンネルが心霊スポットとされる理由

この手の噂が生まれる理由は、個別の“幽霊話”というより、場所が持つ条件によって説明できる。

第一に、時代の古さが“死”を連想させること。
明治期の工事は現代ほど安全基準が整っていなかったというイメージが先行しやすい。実際の事故の有無は別として、「作業員の霊」という噂は、古い土木遺構に非常に付着しやすい型である。

第二に、暗闇・反響・閉塞感という舞台装置。
トンネルは視界が奪われ、音が跳ね返る。手を叩くと“軍隊行進のような音が返る”と語られるように、反響は人の感覚を誤作動させる。怖さは、幽霊の有無より先に構造から生まれる。

第三に、“立ち入り制限”が噂を濃くすること。
常時施錠、事前申込み――この情報は「何かあるから閉じているのでは」という想像を呼び込む。実際には保存・安全管理のためであっても、閉ざされていること自体が物語を増幅させるのである。


心霊体験談・口コミ

口コミの傾向は大きく二つに分かれる。

  • 遺産としての価値を強調する声
    「心霊スポットというマイナスイメージで語られるべきではない」「建築の素晴らしさに圧倒された」といった反応がある。レンガ積みの圧や坑口の意匠を評価する視点である。
  • 危険性・現実的リスクを挙げる声
    「崩落の危険」「マムシ・猪・熊」など、霊よりも実害のあるリスクを指摘する声がある。暗闇の生物(コウモリ、カマドウマ、ゲジゲジ)について言及する口コミもあり、恐怖の正体が“心霊”から“環境”へずれていくのも特徴である。

また、体験談としては「中に入れなかったが趣があった」「保存会のような人に通してもらった」など、見学の経緯そのものが“特別な体験”として語られやすい。特別な体験は噂と結びつきやすい。


なぜ「四つん這いの女」なのか|場所から考える心霊考察

四つん這いという動作は、視認した瞬間に“人間であるはずなのに人間ではない”という矛盾を生む。直立した幽霊よりも、ずっと生理的に不気味である。

そしてトンネルという空間は、照明が弱いほど「立っているか」「屈んでいるか」「這っているか」の判別が難しい。人は判断がつかないものに恐怖を貼り付ける。つまり、四つん這いの女は“見え方の不確かさ”から生まれやすい怪談の型なのである。

さらに、明治の隧道はレンガ積みで、表面の陰影が複雑になりやすい。光が揺れると壁や床に“輪郭のようなもの”が生まれる。そうした偶然の像が、もっとも不気味に説明できる形として「四つん這い」を呼び寄せた可能性は否定できない。

ここは心霊スポットというより、古さ・暗さ・閉鎖性が揃ったことで、怪談が成立しやすくなった場所と見るのが自然である。


まとめ

旧鐘ヶ坂トンネル(明治のトンネル/鐘ヶ坂隧道)は、三世代トンネルが並ぶ鐘ヶ坂峠の中でも、最古級のレンガ積み道路隧道として知られる近代遺産である。一方で、「四つん這いの女」「作業員の霊」といった心霊の噂も語られてきた。

ただし、口コミには「心霊として扱うべきではない」という声もあり、ここは“怖さ”より“価値”で語るべきだという視点も強い。噂が生まれた背景には、古い構造物特有の暗闇・反響・閉塞感、そして立ち入り制限がもたらす想像の膨張がある。

見学を考えるなら、管理ルールに従い、無理な侵入や迷惑行為は避けるべきである。霊よりも先に、崩落や野生動物といった現実の危険が存在する場所だからである。


旧鐘ヶ坂トンネル(明治のトンネル)の地図

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