大阪府貝塚市にある「廃養護学校」は、かつて病弱児のために設立された大阪市立の養護学校であり、2009年に閉校してから現在も廃校として残されている場所である。近隣には、かつて貝塚市最恐と呼ばれた心霊廃病院「貝塚結核病院」が存在していたことから、その霊が移り住んだという噂が絶えない。今回は、廃養護学校にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
廃養護学校とは?

大阪市立貝塚養護学校は、大阪府貝塚市橋本に存在した養護学校である。
小学部・中学部を設置し、主に病弱児を対象として運営されてきたが、大阪市の方針により2009年3月をもって閉校となった。
その始まりは戦後間もない1948年、大阪市立少年保養所の中に設けられた「付設貝塚学園」である。
当時は結核の流行期であり、長期療養を余儀なくされた子どもたちが教育の機会を失わぬよう、病院併設型の学園として開設された。
後に「大阪市立郊外貝塚小中学校」として独立し、1958年に「大阪市立貝塚養護学校」と改称された。
その後も半世紀以上にわたり、病弱児や心身に障害を持つ子どもたちが学び、療養を続ける場として機能していた。
しかし、児童数の減少と施設老朽化、大阪市の財政難などが重なり、最終的に閉校が決定。
2009年3月31日、長い歴史に幕を下ろしたのである。
現在、校舎は廃墟となり、窓ガラスは割れ、教室には当時の教科書や机がそのまま残されているという。
人の気配は途絶えたが、そこにはかつての“声”がまだ沈黙しきれていないように感じられるという者も少なくない。
廃養護学校の心霊現象
廃養護学校の心霊現象は、
- 窓ガラスに子供の顔が映り込む
- 夜中にピアノの音が響く
- 校舎内の風が閉め切った窓を揺らす
- 棚の上で体育座りをする少年の姿が映像に残る
である。以下、これらの怪異について記述する。
探索者の間で最も有名なのは、窓ガラスに映り込む子供の顔である。
夜、友人たちと肝試しを兼ねて訪れたグループがビデオカメラを回していたところ、旧校舎の窓に「白目のある顔」がはっきりと映っていたという。
後に映像を確認すると、それは薄く笑っているようにも見えた。
誰も中にいなかったことから、撮影者たちはそのまま逃げ出したという。
また、ピアノの音が聞こえるという証言も多い。
学校には音楽室があり、古びたアップライトピアノが残されているらしい。
夜になると、風もないのに微かに鍵盤の音が響くといい、それは短い旋律を繰り返すようでもあるという。
さらに、窓が開いていないのに風の音がするという不可解な現象も報告されている。
校舎内で風を感じる場所は決まっており、特に旧寄宿舎の廊下でそれを感じる者が多い。
まるで誰かがそこを歩いて通り抜けるように、風が背後をすり抜けていくという。
極めつけは、体育座りをする少年の映像である。
お風呂場の横にある棚の上、左端の段に、膝を抱えて横向きに座る少年の姿が映っていた。
姿は半透明で、カメラがわずかに揺れると同時に、その少年は静かに消えていったという。
これらの現象の真偽は定かではないが、訪れた者の多くが「校舎全体に湿った空気のような重さ」を感じると語っている。
廃養護学校の心霊体験談
ある探索者はこう語っている。
「母校ではないけれど、夜に懐中電灯を持って中に入った。廊下に足を踏み入れた瞬間、後ろでカタンと机の音がした。振り返っても誰もいない。教室のドアを開けると、埃をかぶったピアノの前に小さな影が一瞬だけ立っていた気がした。」
別の人物は、廃校になった母校を思い出すように夜の見学に訪れたという。
「お風呂場の隅で、子供の声のような笑いが聞こえた。録音しても何も入っていなかったけれど、あの瞬間の息苦しさは今でも覚えている。」
これらの体験談は、単なる思い込みと断じるにはどこか生々しい共通点を持っている。
それは、必ず“子供”の気配があるということである。
廃養護学校の心霊考察
廃養護学校の怪異を語るうえで、無視できない存在がある。
それは、同じ貝塚市にあった「貝塚結核病院」である。
1948年に開設された結核病院は、長年にわたって多くの患者を受け入れてきたが、1992年に閉鎖された。
その後、病院に付随していた学園が独立し、貝塚養護学校として残った。
しかし2018年、結核病院の建物は完全に解体された。
噂によれば、解体によって行き場を失った“何か”が、隣接する廃養護学校へと移っていったという。
以降、子供の姿をした霊の目撃が急増したと語られている。
霊が本当に存在するかは分からない。
だが、かつて病と闘いながら学んだ子供たちの思念が、いまだその校舎に残っているとするならば、彼らはただ静かにそこに佇み、かつての“日常”を守り続けているのかもしれない。
廃養護学校は、時間が止まったままの場所である。
そしてその静止した時間の中で、今も小さな笑い声と足音だけが、夜の闇に溶けて消えていく――。

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