佐賀県鹿島市にある「蟻尾山(ぎびやま)」。この地には古城跡や修験道の名残が残る一方で、「女性の霊が出る」「誰かに肩を叩かれる」といった不可解な現象が語り継がれている。今回は、蟻尾山にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
蟻尾山とは?

蟻尾山(読み:ぎびやま/ありおやま)は標高180メートルの小高い山であり、その山頂にはかつて「蟻尾城(ありおじょう)」と呼ばれる山城が築かれていた。
築城は文正元年(1466年)とされ、大村家徳が千葉氏に対する防衛拠点として構えたと伝わる。
戦国期を通じて栄えたが、永正9年(1512年)頃には廃城となり、以降は修験道の修行地として神秘的な扱いを受けるようになったという。
現在、山の中腹には野球場や陸上競技場などが整備された公園があり、休日には家族連れで賑わいを見せる。
しかし、そうした賑わいとは裏腹に、山頂近くでは今なお不気味な気配が漂うとされ、地元では「夜に近づくべきではない場所」として知られている。
蟻尾山の心霊現象
蟻尾山の心霊現象は、
- 女性の霊が現れる
- 苦しそうなうめき声が聞こえる
- 後ろから気配を感じる、肩を叩かれる
である。以下、これらの怪異について記述する。
蟻尾山で語られる最も有名な心霊現象は「女性の霊」の目撃談である。
誰もいないはずの山中で、白い服を着た女性が木の間をすり抜けるように歩いていた、という証言が相次いでいる。
また、登山道を歩いていると「うっ…うっ…」という苦しげなうめき声が木々の間から漏れ聞こえてくることがあるという。
それはまるで誰かが最後の息を吐き出しているかのような、ぞっとするような音だと語られる。
誰もいない山頂付近では、突如として背後から「誰かに見られている」ような視線を感じることがあり、さらに肩を“ポンポン”と軽く叩かれる現象も報告されている。
振り返っても当然そこには誰もいない。
そして最も不気味なのは、自殺の痕跡と思しき場所の存在である。
山中のとある木の根元にはたまに新しい花束が置かれており、その木の枝にはノコギリで切ったような跡が残っている。
これは首吊り自殺の痕跡とされ、訪れた者の間では「ここが現場だったのではないか」と囁かれている。
こうした情報が散らばるように存在しながらも、なぜか決定的な記録やニュースとして表に出てこない。
その“得体の知れなさ”が、蟻尾山をより一層不気味な存在にしている。
蟻尾山の心霊体験談
ある男性は、軽い気持ちで蟻尾山に登ったという。
道中は遊歩道が整備されており、山頂からの眺望も素晴らしかったとのこと。しかし、帰り道で異変が起きた。
後ろから妙な気配を感じ、耳を澄ますとガサガサと落ち葉を踏む音がする。
振り返ると、そこには高校生カップルが野外で“よろしくやっていた”だけだったという。
だが、なぜかそのカップルの背後に、もう一つ“黒い影”が立っていたという証言もある。
また別の若者グループは、蟻尾山の下の公園で何気なく会話をしていたところ、ふとした思いつきで上へ登ることになったという。
上の駐車場に近づくにつれて人の気配がなくなり、空気が急にひんやりと変わった。
女友達によれば、そのうちの一人が「上に行こっ…上に行こっ…」と繰り返し呟いていたらしい。しかし本人にはその記憶がまったくなかったという。
帰宅後、その人物は突然左肩の強烈な痛みに襲われ、その後もしばらくの間、左後方から誰かに見つめられているような感覚が消えなかったと語っている。
蟻尾山の心霊考察
蟻尾山における心霊現象の数々は、ただの気のせいで片づけるにはあまりにも共通点が多く、また異常な空気の変化や身体症状を訴える者が後を絶たない。
特に注目すべきは「首吊り自殺の痕跡」とされる花束とノコギリの跡である。
現場に直接的な証拠はなくとも、それが人々の恐怖を増幅させ、“見えないもの”を感じさせる土壌となっているのは間違いない。
さらに、修験者の修行場としての過去、「大天狗」を祀る石祠の存在も見逃せない。
霊的な力が集中する場所では、時間と空間が歪み、通常では起こり得ない現象が生じることもあるとされる。
蟻尾山は、記録に残らぬ“何か”が、今なお静かに蠢いている場所なのかもしれない。
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