福岡県久留米市にある「陸軍橋」は、かつて陸軍墓地へと続く重要な道として造られた歴史ある橋である。だが現在では、兵士の霊や足音、自殺者の幽霊が現れるとされる心霊スポットとして知られている。今回は、陸軍橋にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
陸軍橋とは?

陸軍橋は、福岡県久留米市の久留米競輪場西側にひっそりと残る古いアーチ橋である。
この橋が架かっているのは放生池で、完成したのは太平洋戦争中の1942年(昭和17年)4月。
当時、ここは軍都・久留米の象徴的なエリアであり、陸軍第18師団が駐屯していた。
橋の名が示す通り、この橋は「久留米陸軍墓地」へと続く道に架けられたものである。
陸軍墓地は1939年(昭和14年)に着工され、約3年後に竣工。
その間に11万2000人もの勤労奉仕が行われたと記録されている。
現在、橋の欄干には「陸軍橋」「昭和十七年四月竣工」と刻まれた銘が残っているが、その周辺には忠霊塔や円形の野外講堂といった戦争遺構も点在しており、どこか空気が淀んでいるかのような異様な雰囲気が漂っている。
陸軍橋の心霊現象
陸軍橋の心霊現象は、
- 男性の霊が現れる
- 足音が聞こえる
- 自殺者の霊が出る
- 夜中に兵士たちが行進している音が聞こえる
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、最も多く語られるのが「男性の霊」の出現である。
目撃談によれば、軍服を着た男性が橋の中央に立ち、何かを見つめるように動かずに佇んでいるという。
話しかけても返答はなく、近づこうとすると忽然と姿を消す。
まるで現世に未練を残した亡霊のように、静かにそこに“いる”としか言いようがないという。
次に報告されているのが、夜中に響く「足音」である。
特に橋から忠霊塔へと続く道にかけて、整然とした複数の足音が暗闇に響くのだ。
しかもその足音は、ぴたりと揃っている。誰かが行進しているような…そう、まるで兵士たちの列が再びこの地を練り歩いているかのようである。
だが、姿は見えない。ただ足音だけが、耳に焼きつくのだ。
さらに「池に飛び込んで自殺した者の霊」が目撃されている。
この場所では、競輪場で負けた者が衝動的に池へと身を投げたという話が伝えられている。
その霊は、深夜になると水面から這い上がってくるような気配として感じられるという。
池の縁には、誰もいないはずの足跡が残されていることもあるらしい。
陸軍橋の心霊体験談
ある地元の住民が、深夜に犬の散歩をしていた時の話である。
橋の近くに差し掛かった瞬間、犬が突然唸り声を上げ、尻尾を巻いて動かなくなった。
不思議に思い見回すと、橋の上に人影があった。
軍服のようなものを着た男が、じっとこちらを見ていたという。
次の瞬間、その男はまるで霧のように薄れ、闇の中に溶けて消えた。
また別の若者グループは、肝試しとして夜の陸軍橋を訪れた。
そのうちの一人が橋の中央で「足音がする」と騒ぎ出した。
実際、後ろから誰かが追ってくるような気配がしたが、振り返っても誰もいない。
彼らは慌てて逃げ帰ったが、しばらくの間その男は夢の中で「並んで歩く兵士たちの影」を見続けたという。
陸軍橋の心霊考察
この地に現れる霊の多くは「軍人の姿」をしている。
つまり、かつてこの地で命を落とした者たちが今なお彷徨っていると考えるのが自然である。
戦没者の慰霊施設として整備されたこの地域には、強い念が残っている可能性がある。
特に、忠霊塔へ続く橋で足音が聞こえるという現象は、集団で命を捧げた兵士たちの“行進”が、今もなお続いているという暗示ではないか。
そして池の自殺者の霊にしても、「命を賭けた場所」から離れられないという意味では、戦没者と同じく“この世に囚われた魂”といえるだろう。
人の想いが重なり、土地に染み込んでいくことで、このような場所は「異界」となる。
陸軍橋は、まさにその典型である。静けさの中に潜む何かが、訪れる者の心をじわじわと蝕む。
霊感の有無に関係なく、そこに立っただけで“何か”を感じ取ってしまう者は少なくない。
※訪問の際は、現地の迷惑にならぬよう、また不用意に立ち入らぬことを強く推奨する。
コメント