宮崎県延岡市にある愛宕山は、恋愛成就のパワースポットとして知られる一方で、古くから心霊のウワサが絶えない場所でもある。夜の展望台で目撃される女性の霊や、円を描くように並ぶ30体のお地蔵様、そしてその中心に置かれた“首”の存在など、不気味な話が囁かれている。今回は、愛宕山(宮崎)にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
愛宕山(宮崎)とは?
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愛宕山は、宮崎県延岡市の中心部に位置する標高251mの山である。
かつては「笠沙山(かささやま)」と呼ばれ、「ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメ」が出逢い、結ばれたとされる伝説の地でもある。
山頂にある展望台は、夜景の美しさから「日本夜景遺産」や「日本百名月」にも選ばれており、カップルのデートスポットとしても知られている。
愛宕山の由来は、1603年に延岡城築城の際、城山にあった愛宕神社がこの山へ移されたことによる。
古来より霊山として崇められ、かつては「女人禁制」とされていた神聖な地でもあり、その禁忌を破った「日向御前」の逸話も残る。
また、江戸期にはキリシタンたちが処刑されたという悲劇の歴史も秘めている。
表向きは恋愛の聖地。
しかし、その裏側には、近年多くの心霊目撃談が寄せられる、異様な“もう一つの顔”が存在するのである。
愛宕山(宮崎)の心霊現象
愛宕山(宮崎)の心霊現象は、
- 展望台へ続く階段に現れる「女性の霊」
- 山中に円陣を組むように並ぶ30体ほどの地蔵
- 地蔵の首が台に並べられていたという不可解な報告
- 山全体に漂う、供養されぬ死者の怨念の気配
である。以下、これらの心霊現象の詳細について記述する。
まず、最も有名なのが「女性の霊」の目撃談である。
愛宕山展望台へと続く階段では、夜になると着物姿の女性が佇んでいたり、背後から何者かに見られている感覚に襲われるという。
振り返っても誰もいない。
ただし、階段の途中にある街灯の下だけは妙に空気が重く、「誰かが立っていた」と証言する者も少なくない。
女性の霊の正体については、「この地で恋人に裏切られ、絶望の末に命を絶った女性の念ではないか」とささやかれている。
伝説の“出逢いの聖地”という明るい顔の裏に、破局と絶望の痕跡が刻まれているのかもしれない。
さらに、山中には奇妙な空間が存在する。
そこには約30体の地蔵が、円を描くように静かに並んでいる。
探索者の話によれば、中央の台座に近づくと、そこには石のような質感の「地蔵の首」だけがいくつも並べられていたという。
通常の地蔵群とは異なり、どこか生々しく、異様に整然と並ぶその様子は、「供養」のためではなく、「封印」の意味合いが込められているのではないかと囁かれている。
加えて、愛宕山は戦国時代において伊東氏と島津氏の激戦地であり、多くの命が失われた土地でもある。
また、江戸時代には島原の乱から逃れてきたキリシタンたちが、山頂近くの水神社でかくまわれていた。
だが、彼らは捕らえられ、反逆罪で拷問され、処刑されたという。
彼らの死後、供養されることもなかったとされ、その怨念が山全体に染みついているとの話もある。
愛宕山(宮崎)の心霊体験談
ある地元の女性は、深夜に車で展望台まで向かった際、展望台の手前の階段で一人の女性が立ち尽くしているのを見たという。
不審に思い車を止めたが、その瞬間、女性はすうっと空気に溶けるように消えた。
怖くなって車を出そうとしたが、何度エンジンをかけても動かず、車内の温度が急激に下がっていくのを感じたという。
また、別の若者グループは、円陣地蔵の場所を見に行った際、誰もいないはずの場所から突然「カラン……カラン……」という金属のような音を聞いた。
辺りを見回しても何もない。音はしばらく続いた後、突如止んだ。
その直後、仲間の一人が原因不明の高熱にうなされ、一週間寝込んだと語っている。
愛宕山(宮崎)の心霊考察
愛宕山の心霊現象は、複数の歴史的背景と関係していると考えられる。
まず、恋愛成就の聖地としてのイメージの裏で、裏切りや失恋による悲劇が積み重なってきた可能性は否定できない。
女性の霊の目撃談は、その象徴的存在である。
また、戦国時代の戦死者、江戸時代の処刑されたキリシタンたちが、この山に深い未練を残しているとすれば、その念は成仏できず、この世に留まり続けているのだろう。
供養されることなく、封印されたかのように並ぶ地蔵たちは、それらの怨念の象徴とも解釈できる。
愛宕山という名を冠する場所は全国に点在しているが、延岡の愛宕山は、その伝説的由来と裏腹に、「愛と死」「出逢いと別離」という二つの相反する気配が混在している特殊な霊地である。
「美しいものには棘がある」とはよく言ったものだ。
夜景に誘われて足を踏み入れた者は、思いもよらぬ“もう一つの愛宕山”と出逢うことになるかもしれない。
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