長生炭鉱のウワサの心霊話

山口県宇部市にかつて存在した海底炭鉱、長生炭鉱。その跡地には、今なお多くの霊がさまよっているという。今回は、長生炭鉱にまつわるウワサの心霊話を紹介する。


長生炭鉱とは?

長生炭鉱の外観

長生炭鉱は、山口県宇部市の東部、瀬戸内海に面した床波海岸の沖合に存在した海底炭鉱である。

1914年に開坑され、1932年から本格操業が始まった。

比較的浅い海底に石炭層があるという理由で、この場所は選ばれたが、それゆえに常に水没事故のリスクと隣り合わせであった。

1942年2月3日午前6時頃、坑道内で異常出水が発生。

海底約1km先の坑道が、午前8時には完全に水没した。

この事故により183名が犠牲となり、そのうち136名が朝鮮人労働者であった。

遺体の多くはいまだに引き上げられておらず、坑道の奥深く、冷たい海底に閉じ込められたままである。

事故から80年以上経った現在も、毎年慰霊祭が行われ、海面に突き出た2本のピーヤ(排気・排水筒)が、墓標のように波間に揺れている。

しかし、海底に取り残された霊たちが完全に成仏しているとは言い難く、そのためか、付近では不可解な現象や目撃談が後を絶たない。


長生炭鉱の心霊現象

長生炭鉱の心霊現象は、

  • 海面に浮かぶ無数の人魂
  • 坑道跡地に現れる白いヘルメットの男
  • 作業音のような「カン…カン…」という金属音
  • 坑内調査中に発生した不可解な通信障害と白い手の目撃
  • 「助けてくれ」という声と共に現れる黒い影

である。以下、これらの怪異について記述する。

事故現場となった沖合の海底では、夜になると海面に青白く浮かび上がる人魂が多数目撃されている。

これらは、成仏できぬまま海底に取り残された作業員たちの魂であるとも言われている。

炭鉱跡を訪れた者の中には、夜な夜な「カン…カン…」と岩を砕くような音を聞いたと証言する者も多い。

金属を叩くようなその音は、確かに耳に届くが、周囲には誰の姿もない。

すでに作業など行われているはずもない場所で、この音だけが響くという異様さは、常人の神経を確実に削っていく。

あるダイバーの体験によると、海底調査中に突然酸素ゲージが異常を示し、坑道の奥から白い手がこちらに伸びてきたという。

また、その後、無線から「……たす…けて……」というかすれた声が響いたという。

この声は記録には一切残っておらず、同行した仲間たちは異常を認識していなかった。

さらに、坑口跡地では白いヘルメットをかぶった作業員風の人影が目撃されているが、その顔は黒い影のようで何も見えず、ただじっとこちらを見つめているという証言が相次いでいる。


長生炭鉱の心霊体験談

体験談1

ある夏の夜、心霊スポットとして噂を聞いた長生炭鉱跡を友人たちと訪れた。

海辺に続く細い道を進むと、錆びついた柵の先に、かつて坑口があったと思しき草むらが広がっていた。

不気味な静けさに包まれる中、奥から「カン…カン…」という金属音が微かに聞こえ始めた。

その音は徐々に大きくなり、まるで誰かがこちらに近づいてくるかのように響いていた。

恐怖で動けない中、奥に白いヘルメットをかぶった影が浮かび上がった。

しかし、ヘルメットの下には顔がなく、ただ黒い闇が広がっているのみだった。

その影は無音でこちらに歩み寄り、目の前まで来たとき、耳元で囁いた。

「おまえも、こっちに来るんだよな……?」

その声と同時に、体が強く引かれるような感覚に襲われ、我に返った私たちは一目散にその場を逃げ出した。

体験談2

別の夜、福岡から来たという青年が、友人たちと共に長生炭鉱跡を訪れた。

暗闇の中で懐中電灯を頼りに進んでいると、「カツン…カツン…」という靴音のような音が近づいてきた。

仲間が止めようとするのも聞かず、彼らはさらに奥へ進んでいった。

採掘場跡に到達したそのとき、「助けてくれ…」というかすれた声が背後から響いた。

驚いて振り返ると、地面の影から何本もの手が伸びていたという。

その場から逃げる途中、炭鉱跡の入り口に白いヘルメットをかぶった男が立っており、じっとこちらを見つめていた。

その視線が、何よりも恐ろしかったという。


長生炭鉱の心霊考察

長生炭鉱における心霊現象の多くは、1942年の水没事故に由来していると考えられる。

183名という大量の犠牲者、しかもその多くが回収されることなく海底に放置されたままであるという事実は、霊的エネルギーの集中を引き起こすには十分すぎる背景である。

また、事故の多くが国や企業によって封じられた歴史の中に埋もれていたことも、霊たちが今も訴え続けている理由なのかもしれない。

坑道内に響く金属音や助けを求める声は、死してなお生きていた証を求める叫びである可能性も高い。

海に突き出た2本のピーヤは、単なる遺構ではない。

あれはまさしく「沈黙する墓標」であり、今も海底に眠る彼らの存在を訴え続けているのである。

人々がこの場所を訪れ、彼らの存在を忘れない限り、長生炭鉱の霊たちは、静かに、しかし確実に、そこに居続けるのだ。


長生炭鉱の地図

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【管理人】狐憑きのたる

全国のウワサの心霊スポットを調査し、その魅力と恐怖を皆さんにお届けしています。