宮崎県高千穂町にある「夜泣き石」には、古くから奇妙な伝承と心霊のウワサが囁かれている。神話に登場する女神が難産の末にこの石にすがったという話や、災いを予兆するように石が夜に泣いたという言い伝えが残る、不可思議な場所である。今回は、夜泣き石(宮崎)にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
夜泣き石(宮崎)とは?
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夜泣き石とは、宮崎県高千穂町の神代川の川辺にひっそりと佇む、苔むした不気味な石である。
かつては川の中にあったが、現在では岸辺の空き地に移されている。
この石には古くから奇妙な伝承が存在する。村に災いが近づくと、この石が「夜に泣く」ことでそれを知らせるのだという。
まるで人のようにすすり泣く声が夜の闇に響いたというのだ。
さらに、神話とも結びついている。
天孫・瓊々杵尊(ににぎのみこと)の子を宿した木花開耶姫(このはなさくやひめ)が、難産の末にこの石にすがりつき、身を裂くような苦しみの中で出産を果たしたと伝えられている。
この伝説から、石には「安産」や「夜泣き封じ」の信仰が生まれ、かつては子を抱いた若い嫁たちがこの石に手を合わせる姿が多く見られたという。
しかし、その静けさとは裏腹に、この石をめぐる怪異は、今もなおささやかれ続けている。
夜泣き石(宮崎)の心霊現象
夜泣き石(宮崎)の心霊現象は、
- 夜、石の周辺からすすり泣く声が聞こえる
- 石に触れた子供が高熱を出し、夜通し泣き続けた
- 石の近くで写真を撮ると、必ず「顔のようなもの」が写り込む
- 深夜に石を見に行くと、若い女性の姿が石にすがっているのが見える
である。以下、これらの怪異について記述する。
夜、石の周辺からすすり泣く声が聞こえる
最も有名な怪異は、夜になるとどこからともなく「くぐもったすすり泣き」が聞こえてくるというものである。
声ははじめ微かで、風の音かと思うほどであるが、耳を澄ませると確かに女の声であり、まるで苦しみの中にいるかのような嗚咽が続く。
声の主は、難産の末に命を落としたという木花開耶姫なのか、それとも――子を失った誰かなのか。
石に触れた子供が高熱を出し、夜通し泣き続けた
「夜泣きが治る」という信仰がある一方で、逆に石に触れた後に子供が原因不明の高熱を出し、夜を通して泣き叫んだという証言もある。
まるで石が“何か”を宿しており、それが子供の中に入り込んだかのような異常である。
医師にも原因がわからず、数日後、突然けろりと熱が引いたという。
石の近くで写真を撮ると、必ず「顔のようなもの」が写り込む
観光で立ち寄った人々の中には、石のそばで撮影した写真に「人の顔のような影」が浮かび上がるという現象が報告されている。
特に石の表面に浮かび上がるように現れる“苦悶の表情”は、一度見た者を数日間悪夢にうなされるほどのインパクトを残すという。
深夜に石を見に行くと、若い女性の姿が石にすがっているのが見える
最も恐ろしいのは、真夜中に石を訪れた人が目撃したという「女の霊」である。
白い着物を着た若い女性が、石にしがみつくようにしてしゃがみ込み、静かに震えているのだという。
声をかけると、振り返った顔は血の気を失い、目は涙で濡れている。
次の瞬間、その姿はかき消えるように闇に消える。
夜泣き石(宮崎)の心霊体験談
実際に夜泣き石を訪れたある女性は、次のような体験を語っている。
「昼間に訪れたときはただの石に見えたけど、夜にもう一度来たんです。何か引き寄せられるような気がして。すると、遠くのほうから赤ん坊の泣き声が聞こえてきて……でも周囲には誰もいない。怖くなって帰ろうとしたら、石の近くに誰かが立っていたんです。女の人が、髪を垂らして、じっとこちらを見ていて……あれは人間じゃなかったと思います」
この証言は一部であり、夜泣き石の周辺で奇怪な出来事を体験したという声は、決して少なくない。
夜泣き石(宮崎)の心霊考察
夜泣き石が持つ異様な力は、古代より伝わる「神話」と「怨念」が交錯する場所であるがゆえとも考えられる。
木花開耶姫の難産という伝説は、女の苦しみと命の境界を象徴する物語であり、その悲痛な記憶がこの石に染み込んでいる可能性は高い。
また「災いを知らせる石」としての役割も、人知を超えた存在がこの場所に影響を及ぼしていることを示唆している。
子供の夜泣きを鎮める一方で、逆に“泣き声を引き継ぐ”かのように子に苦しみを与えるという矛盾した力には、まるで石そのものが生きているような、不気味さがある。
霊が棲みついているのではなく、石そのものが「記憶する」何か――人々の苦しみ、祈り、そして死――を抱えた“生きた遺物”なのではないかとも思われる。
夜泣き石。それはただの岩ではない。
見つめる者に、語りかけてくる何かがある。
この石の前に立ったとき、耳をすませば……今夜もまた、誰かのすすり泣きが聞こえるかもしれない。
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