下関市高畑にある平家塚には、平家の落人たちの無念が今なお渦巻いているという。少年の霊の目撃、心霊写真、祟りの噂など、数多くの怪異が語られてきた。今回は、平家塚にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
平家塚とは?

平家塚は、山口県下関市豊浦町高畑に位置する、歴史と怨念が交差する場所である。
壇ノ浦の戦い(1185年)で敗れた平家の落人たちが逃げ延び、ひっそりと暮らした末に命を落とした地と伝えられている。
壇ノ浦からわずか5km。源氏の追撃を逃れるにはあまりに近い場所であるが、「灯台下暗し」という言葉通り、彼らはこの高畑の奥深くに潜み、やがてこの地で果てた。
その墓所が「平家塚」と呼ばれ、今もいくつかの五輪塔がひっそりと佇んでいる。
かつて塚の周囲に広がっていた竹やぶは、「平家やぶ」と呼ばれ、地元の人々すら近づくことを恐れた。
足を踏み入れた者には、身の毛もよだつ悪寒が走り、祟りを受けるとまで言われていた。
現在は整備が進んでいるものの、かつての恐怖は完全に消え去ってはいない。
平家塚の心霊現象
平家塚の心霊現象は、
- 少年の霊が現れる
- 心霊写真が撮れる
- 祟りにあう
- 平家の霊が彷徨うという噂
である。以下、これらの怪異について記述する。
少年の霊が現れる
平家塚の周辺では、時折「少年の霊」を見たという証言が絶えない。
特に雨の日の夕方、誰もいないはずの塚の奥から濡れた着物姿の少年がじっとこちらを見つめていたという。
声をかけると、ふっと霧のようにかき消えるというが、目が合った者の多くはその後体調を崩し、悪夢にうなされたという報告もある。
この少年の正体は、落人として逃げ延びた末に命を落とした平家の子どもであるとも、あるいは親を失い彷徨い続けた孤魂であるとも言われている。
心霊写真が撮れる
塚周辺では心霊写真の撮影報告が多く寄せられている。
特に雨の日の丑三つ時──午前2時頃に撮影すると、高確率で異様な影が写るという。
塚の背後に立つ複数の顔、手を伸ばすような白いもや、光を反射しない人影──どれもその場にいたはずのない存在である。
霊感の強い者が近づけば、背中を撫でるような寒気に襲われるといい、スマートフォンやカメラも突如として誤作動を起こすという。
祟りにあう
最も恐れられているのは、「祟り」である。軽い気持ちで肝試しに訪れた若者が、帰宅後高熱にうなされ、病院でも原因不明と診断されたという話もある。
また、平家塚でふざけた行動をとった人物が、その直後に交通事故に遭うなど、不可解な不運に見舞われたケースも多数報告されている。
地元の古老は、「平家の魂を侮った報いだ」と語る。敬意なく訪れた者には、塚に眠る者たちの怨念が牙を剥くのである。
平家の霊が彷徨うという噂
平家塚周辺では、「甲冑姿の武者が林の中を彷徨っている」という目撃談も存在する。
視界の端にちらつく影、耳元で聞こえるかすかな足音、意味不明なうめき声──それらはすべて、源氏に追われ斃れた落人たちの無念が形をなしたものなのかもしれない。
平家塚の心霊体験談
ある訪問者が、塚の前で手を合わせようとした瞬間、背後から誰かに「やめろ…」と囁かれたという。
振り返っても誰もおらず、その後も何度も背後を振り向かざるを得ないほどの圧迫感を感じ続けた。
また、別の人物は、塚の奥に進んだ際、霊神社の前で白い着物の女を見たと語る。
その女は無言で塚の方へと歩いて行き、塚に吸い込まれるように消えていったという。
同行者は誰一人その姿を見ておらず、写真にも写っていなかった──ただ、女が消えた方向だけが異様に冷えていた。
平家塚の心霊考察
平家塚に現れる霊たちは、無念の中でこの地に留まり続けている落人たちの成れの果てであろう。
源氏の追撃を恐れ、山中に隠れ、飢えや病、そして絶望の中で命を落とした者たちの怨念は、墓所に宿り今なおその周囲をさまよっているのだ。
特に少年の霊や祟りに関しては、平家の血を引く家系を断たれた悲しみや、無念の死を遂げた子らの怨嗟の叫びが、現代にまで響いている証拠であろう。
現地の口コミでは、「平家の子孫として全ての魂を鎮めた」と語る人物も存在するが、それが真実であろうとも、完全に浄化されたとは言い難い空気が、平家塚には今なお残っている。
この場所を訪れる際は、決して軽い気持ちで踏み入れてはならない。
塚に眠る者たちの哀しみと怒りに触れれば、その代償を支払うことになるかもしれないのだから──。
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