愛媛県宇和島市と西予市の境に位置する法華津峠は、標高436メートルの絶景地として知られる一方、古戦場として血が流れ、交通の難所として多くの命が失われた場所でもある。今回は、法華津峠にまつわるウワサの心霊話を紹介する。愛媛県宇和島市と西予市の境に位置する法華津峠は、標高436メートルの絶景地として知られる一方、古戦場として血が流れ、交通の難所として多くの命が失われた場所でもある。今回は、法華津峠にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
法華津峠とは?

法華津峠(ほけつとうげ、ほけづとうげ)は、愛媛県宇和島市と西予市の境にそびえる標高436メートルの峠である。
かつては宇和島と宇和を分かつ難所として恐れられたが、現在は国道56号線やJR予讃線のトンネルが開通し、往来は格段に容易となった。
しかし旧道や山道には往時の険しさが今なお残され、山深い景観とともに数々の逸話を生んでいる。
峠の展望台からは宇和海や段々畑が広がり、絶景の名所としても知られるが、その裏には血塗られた歴史と不気味な噂が根強く残っているのである。
戦国期には法華津氏がこの地に城を構え、大友氏を迎え撃った古戦場でもあった。
また交通の難所として多くの旅人や労働者が命を落とした峠でもあり、その怨念が今も漂うとされている。
法華津峠の心霊現象
法華津峠の心霊現象は、
- 白装束の女の霊が現れる
- 道端に立つ人影が突然消える
- 車で峠を越えると後部座席に誰かが座っている
- トンネル付近で女性のすすり泣きが聞こえる
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず最も有名なのが「白装束の女」である。
深夜の旧道を走ると、街灯のない闇の中に白い姿がふいに浮かび上がり、振り返った瞬間にはもう消えているという。
地元では、峠を越える途中で命を落とした女の霊ではないかと囁かれている。
また、車で通行中に路肩に人影を見かけるという証言も多い。
近づくと影は煙のように掻き消え、跡形もなくなる。
だが、消える直前に「こちらを見て笑った」と語る者もおり、その表情を思い出すと今も眠れなくなると語る者さえいる。
さらに恐ろしいのは「後部座席の霊」である。
深夜に峠を越えたドライバーが、ルームミラーを覗いた瞬間、後ろに座る女性と目が合ったという体験談は数多い。
振り返ればそこには誰もいないが、シートには人が腰かけたように沈んでいることさえあるという。
そしてトンネル付近では、女性のすすり泣きが夜ごと響くという噂もある。
窓を閉めてもはっきりと耳に届くその声は、長い道中で命を落とした者たちの嘆きなのかもしれない。
法華津峠の心霊体験談
ある地元住民は、深夜に法華津峠を一人で越えた際、後部座席から「スゥ…スゥ…」と寝息のような音を聞いたという。
恐怖に耐えられず車を停めて振り返ったが、座席には誰もいなかった。ただ、窓ガラスには曇った人の手形が残されていたと証言している。
別の男性は、峠の展望台で夜景を眺めていた時、背後から肩を叩かれた。振り返ると誰もおらず、しかし視線を戻すと展望台の柵の向こうに白い影が立っており、次の瞬間には夜の闇に溶けて消えたという。
法華津峠の心霊考察
法華津峠は古戦場であり、交通の難所でもあった。
そのため数多の死が積み重なり、地に怨念が染みついた場所といえる。
白装束の女の霊は、戦で散った者か、あるいは交通事故の犠牲者かもしれない。
後部座席の怪異やすすり泣きの声は、峠を越えられなかった者の無念が形を成したものだろう。
美しい絶景の裏に潜むこの峠は、光と影が交錯する場所である。
訪れる者は、その景色に心奪われると同時に、ふとした隙に背筋を凍らせる気配に取り憑かれるかもしれない。
法華津峠は、ただの展望地ではなく、死者の気配が今なお色濃く漂う心霊の地である。
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