島根県飯南町の静かな里山・本谷山。豊かな自然に包まれたその場所には、古くから「霊が出る」との噂が絶えない。落ち武者、少年の霊、浮かぶ首、笑う子供……。昼夜を問わず怪異が目撃されるこの山に、いったい何が潜んでいるのか。今回は、本谷山にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
本谷山とは?

本谷山(もとたにやま)は、島根県飯石郡飯南町井戸谷に位置する標高733メートルの里山である。
登山道は明確に整備されておらず、地元の人々や一部の登山者に知られる“隠れ山”として存在している。
豊かな自然と田舎の風景が特徴であり、山頂付近は鬱蒼とした森林に包まれている。
バス停からは徒歩約30分、また駐車場は整備されておらず、訪れるには多少の不便を要する静かな場所である。
しかし、その静けさの裏側には、昔から語り継がれる「恐ろしい噂」が存在している。
訪れた者の中には、決して語りたがらない“何か”を見た者もいるという。
本谷山の心霊現象
本谷山の心霊現象は、
- 少年の霊が現れる
- どこからともなく落ち武者が出現し、こちらを指差して叫びだす
- 中腹の林で、こちらを見つめてニヤリと微笑む子供の霊が現れる
- 首だけが空中に浮かんでいるのが目撃される
- 女性の黒い影が山道を駆け抜けていく
- 昼夜を問わず、常に何かの「気配」がある
である。以下、これらの怪異について記述する。
この山の中で最も有名なのは「少年の霊」である。
登山者が疲れて腰を下ろすと、不意に足元に何かが座っている気配がする。
そして視線を落とすと、そこには土にまみれた顔の少年が無言でこちらを見上げているという。
また、落ち武者の霊の出現は、決して珍しい現象ではない。
突然、風の音すら止むような静寂のなかで背後に気配を感じ振り返ると、衣服がぼろぼろに裂けた男がこちらを指差して口を開け、絶叫するのだ。
その声はまるで山全体に響き渡るような深い響きであるという。
さらに山の中腹、樹々の隙間に立つ“子供の霊”の報告も多い。決して笑っていないはずなのに、どこか口角を吊り上げて見える顔。
その目は異常に黒く、まるで人間のものではない。視線を外そうとすると、その子供は一歩こちらに近づいてくるという。
首だけがふわふわと宙に浮かび、音もなくこちらに近づいてくるという目撃談もある。
気配を感じて上を見上げると、木々の隙間に“それ”があり、ゆっくりとこちらに向かってくるのだ。
女性の影が山道を駆け抜ける姿もたびたび報告されている。
だがその影は、決して地面に足をつけておらず、まるで空中を滑っていくように移動していく。
そしてその後、どこにも足跡は残っていないという。
恐ろしいのは、これらの現象が「夜に限らず日中でも」起こるという点である。
時間帯に関係なく、本谷山では異様な空気が常に漂っており、霊的な存在がそこに“棲みついている”のではないかとさえ言われている。
本谷山の心霊体験談
40代の男性登山者の証言によると、早朝6時ごろに登り始めた際、突然背中が異常な冷気に襲われたという。
足を止めて後ろを振り返ると、斜面の樹間に白い顔がこちらをじっと見ていた。
驚いて目をこらすと、それは少年のような小さな姿で、ニヤリと笑った瞬間、霧のようにかき消えたとのことである。
また、別の登山客の女性は、山頂付近で突然「おかあさん」と囁くような声を背後で聞いたという。
慌てて振り返ったが誰もいない。しかしその足元には、小さな草履のような足跡がぽつんとひとつだけ残されていた。
本谷山の心霊考察
本谷山にまつわる心霊現象は、単なる自然の錯覚や思い込みで片付けるにはあまりに具体的で生々しい。
複数の現象が同時に報告されることもあり、これは山そのものが「何かを封じている」場所ではないかという考察もある。
特に、昼夜問わず霊的な出現が報告される点は異常であり、これは“霊道”が山を通っている可能性も否定できない。
また、かつてこの地に何らかの惨劇があったのではないか、あるいは供養されずに放置された何かが存在しているのではないかとの説もある。
人里離れた静かな山——その“静けさ”こそが、真に恐ろしいものを覆い隠しているのかもしれない。
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