かつて山口県美祢市に存在した「ホテル峯」は、廃墟となった後も語り継がれる数々の心霊現象で知られている。明確な事件や事故の記録がないにもかかわらず、黒い影の目撃や祟りの噂が絶えず、地元では“見てはならない場所”として恐れられてきた。今回は、ホテル峯にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
ホテル峯とは？
ホテル峯は、山口県美祢市に存在していた宿泊施設である。
場所はレストハウス秋吉台に隣接し、観光地である秋吉台の近くという立地にもかかわらず、人々に忌避される謎多きホテルであった。
「峯」という名は、美祢市の地名に由来しているとされる。建物は3階建てで、1975年当時には存在しておらず、開業はそれ以降の時期と推定されている。
公的な記録としては1993年の電話帳にのみその名が見られ、1990年代半ばにはすでに閉業していた可能性が高い。
建物は蔦に覆われ、朽ちかけた外観を見せていたが、近年はさらに荒れ、2023年には天井の剥落や落書きが目立つ廃墟と化していた。
そして同年7月までに解体され、現在はその姿を留めていない。
しかし、その廃墟に染みついた“何か”だけは、未だに語り継がれている。
ホテル峯の心霊現象
ホテル峯の心霊現象は、
- 黒い影が現れる
- 人影のようなものが館内を横切る
- 正体不明の霊の目撃情報
- 見た者に祟りが及ぶという噂
である。以下、これらの怪異について記述する。
ホテル峯を語るうえで欠かせないのが、「黒い影」の存在である。
かつてこの施設にはレジャー施設と宿泊施設が併設されており、特にボウリング場での目撃例が多数報告されている。
ある者は、人気のない深夜のボウリング場で、投球レーンの端に“黒い影”が立っているのを見たという。
その影は、じっとこちらを見つめていたとも、突如消え去ったとも言われる。
しかし共通するのは、「その影を見てから体調を崩し、不幸が続いた」という証言がいくつも存在する点である。
この黒い影は、人間の形をしているが明らかにこの世のものではない。
視認できた者は、「冷気を感じた」「誰かに見られている感覚が続いた」など、霊的な干渉を強く受けたという。
さらに、ホテル内では人影のようなものが通路を横切る光景も頻繁に報告された。特に3階の客室付近では、誰もいないはずの時間帯に足音や扉の軋む音が聞こえることが多く、「泊まると必ず金縛りに遭う」といった話も出回った。
正体不明の霊の存在は、名前も背景も一切不明であるが、見た者に不幸が降りかかるということだけが共通している。
そのため、地元では「見てはならぬ影」「触れてはならぬ場所」として長らく語り継がれてきた。
ホテル峯の心霊体験談
実際にホテル峯を訪れた者の中には、奇妙な体験をしたという者もいる。
ある探索者は、解体前の建物に足を踏み入れた際、ボウリング場の奥に一瞬だけ黒い影が見えたという。
その影は、明かりの届かぬ場所からこちらを覗き込むようにして佇んでいた。
探索者は即座に強烈な頭痛に襲われ、その後も数日間、体調が優れなかったと証言している。
また別の者は、建物内部を撮影していたところ、明らかに人影と思しき黒いシルエットが写真に映り込んでいた。
しかし、当時現地にはその探索者ひとりしかおらず、その影の出所はまったく不明であったという。
こうした体験談が重なるにつれ、ホテル峯は「見たら呪われる場所」として、地元でも恐れられる存在となっていった。
ホテル峯の心霊考察
ホテル峯には、明確な事件や事故の記録は存在しない。
それにもかかわらず、ここまで多くの心霊現象が報告されているのは、何か目に見えぬ力がそこに集まっていたからではないかと考えられる。
霊的存在は、時として“人の記憶”や“負の感情”に惹かれて集まるという。
ホテル峯が廃業し、朽ち果てる過程で、人々の間に広がった“気味の悪さ”が、何かを引き寄せ、居座らせたのかもしれない。
特に「黒い影」は、ただの残留思念ではなく、強い意志と悪意を持った存在である可能性がある。
それを見ることで祟られるという報告が後を絶たない以上、単なる偶然や錯覚とは断じがたい。
現在はすでに解体され、物理的な痕跡は消えたが、「あの場所で見たものは今でも忘れられない」と語る者がいる限り、ホテル峯の“闇”は、今もなお人々の記憶の中で息をひそめているのである。
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