広島県尾道市・高見山山頂に現存する廃ホテル「ホテル寅福」には、男性の霊が5号室に現れるという恐ろしいウワサや、夜な夜な聞こえる不気味な声、焼け跡から覗く人影など、数々の心霊現象が囁かれている。今回は、ホテル寅福にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
ホテル寅福とは?

ホテル寅福は、広島県尾道市(旧・御調郡向島町)の高見山山頂に位置していた廃ホテルである。
正式名称は「高見山頂ホテル 寅福」。
その立地は高見山スパイラルデッキの奥にあり、「とらふく」と大書された看板が山麓からも確認できたほど目立つ存在であった。
1966年に「高見山山荘」として開業し、時代と共に「高見観光ホテル」「寅福」と名前を変えながらも営業を続けた。
屋上には簡易遊園地のような設備が整えられ、絶景の露天風呂と共に観光客に親しまれていた。
しかし、経営の傾きにより1995年には市によって差し押さえられ、2003年をもってついに閉館。
以後、建物は荒れ果て、不審火や崩落、落書きといった被害を受け、今では心霊スポットとして名を馳せるに至っている。
ホテル寅福の心霊現象
ホテル寅福の心霊現象は、
- 男性の霊が現れる
- 特に5号室で寝ている姿が目撃される
- 夜間、廃墟内からうめき声や話し声が聞こえる
- 焼け焦げた下層建物から人影が覗く
である。以下、これらの怪異について記述する。
もっとも有名な心霊現象は「5号室の男性の霊」である。
この部屋を訪れた者の多くが、薄暗い室内の隅に誰かが寝ているような「気配」を感じるという。
中には、実際に男の寝息のような音を耳にした者もいるという。だがもちろん、そこには誰もいない。
焼け落ちた下層建物の周囲では、夜になると不自然な影が蠢いて見えることがある。
焼け爛れた壁面の隙間から、こちらをじっと覗き込む人影が確認されたとの証言もある。
特に、2023年の不審火以降、この現象の報告が急増している。
また、廃墟全体に漂う異様な静けさの中、突如として聞こえる男のうめき声や呻き、時には会話のようなものが夜風に紛れて聞こえるという。
声は次第に近づき、足音すら聞こえたという報告もあるが、姿を見た者はほとんどいない。
ホテル寅福の心霊体験談
ある若者のグループが、都市伝説に興味を持ってこの廃ホテルを訪れた。
彼らは5号室に足を踏み入れた瞬間、全員が同時に寒気を感じ、空気の重さに言葉を失ったという。
ひとりが懐中電灯で部屋の隅を照らした際、そこに「寝ている男のような影」があった。
「……今、誰か……寝てる?」
その声を最後に、彼は突然気を失ったという。
仲間が急いで彼を担ぎ下山したが、その後も男は数日間、原因不明の高熱に苦しめられたという。
ホテル寅福の心霊考察
ホテル寅福で頻発する心霊現象は、過去の火災や長年放置された建物の記憶に由来していると考えられる。
特に、男性の霊とされる存在は、もしかするとこのホテルに長く関わった従業員、あるいはここで命を落とした人物かもしれない。
焼け落ちた下層建物に現れる人影、そして夜な夜な聞こえる声。これらの現象は、「何か」が今もなおこの廃墟にとどまり続けている証左とも言える。
ホテル寅福は単なる廃墟ではない。
そこには、消えることのない記憶と、決して癒えることのない何かが、静かに息を潜めているのである。
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