奈良県と大阪府の境に広がる生駒山上には、企業保養所として建てられた廃別荘群が今も点在している。その中でも、内部に赤い「怨霊退散」のお札が貼られ、地元でも近づくことを避けられている建物がある。今回は、生駒山お札の家にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
生駒山お札の家とは?

生駒山お札の家は、奈良県と大阪府の境に位置する生駒山上の廃別荘群の一角に残る廃墟である。
生駒山周辺には1960年代から1970年代にかけて企業の保養所が多数建設され、その後利用されなくなった建物が現存している。
中には円形構造の廃墟など特徴ある物件も点在するが、その中でも特に不気味視されているのが「お札の家」と呼ばれる建物である。
場所は生駒山の電波塔から200〜300mほど進んだ位置にあり、外観は一般的な保養所の造りを示すが、内部の壁に「怨霊退散」と書かれた赤いお札が貼られていることから、この俗称がついたとされる。
お札が誰かの悪ふざけなのか、あるいは当時の関係者が貼ったものなのかは定かではなく、事故物件であったと噂されることもある。
しかし、なぜ霊が出ると言われるようになったのか、その理由は公式には知られていない。
生駒山そのものが古くから霊山とされ、電波塔周辺には霊が集まるという地域の伝承も存在することから、この廃墟もまたそうした「溜まり場」のひとつになっているのではないかと囁かれている。
生駒山お札の家の心霊現象
生駒山お札の家の心霊現象は、
- 人影が建物の影に隠れるように動く
- 何者かの歩く気配
- 女性の呻き声のような音が聞こえる
- 日本人形が位置を変えていたという報告
である。以下、これらの怪異について記述する。
人影が影に隠れる動き
訪れた者の中には、建物の奥に人影が立っており、カメラを向けると影が素早く下に沈み込むようにして姿を消したという報告が複数ある。
懐中電灯を向けても光を反射しないことから、衣服の色や材質すら判別できない。
ただ、人間が立ち止まるときの“重さ”の気配だけが消えているという点が異様である。
足音のない歩行音
建物周辺は朽ち、床材は腐っているため、人が歩けば必ず軋む。
しかし報告されるのは、軋む音ではなく「足音のような何か」であり、実際には誰も歩いていないときに限って周囲の草木が微妙に揺れるという。
特に夜間は、近くに生き物がおらず風もないのに、足元だけで音が移動するという証言がある。
女性の呻き声
動画撮影者が確認したという「女性の呻き声」は、聞き間違いと断定できるほど曖昧ではなく、建物の奥から短く漏れるような声である。
地形的に声が響く構造ではないにもかかわらず、低く、湿った音だけがはっきりと残るため、不自然さが際立っている。
日本人形の位置が変わる
昔、訪れた中学生のグループが建物内で見つけた日本人形を蹴り、近くの小川へ投げ流したにもかかわらず、帰り際に玄関口に戻っていたという体験談がある。
人形の状態は濡れておらず、誰かが持ち帰り戻した形跡もなかったという。
生駒山お札の家の心霊体験談
中学2年の頃、数人で生駒山お札の家に入ったという体験談がある。
建物内部で日本人形を見つけ、怖さから蹴り飛ばして外の小川へ流したはずだった。
しかし建物を出る際、玄関にその人形が立つように置かれていたという。
人形は水で濡れた様子がなく、誰かが拾い上げて戻した形跡もない。
その場で見た者全員が言葉を失い、建物を振り返らずに逃げ帰ったという。
生駒山お札の家の心霊考察
生駒山お札の家で報告される心霊現象はいずれも不自然さが共通している。
人影は音もなく移動し、姿を隠す行動だけが妙に“意図的”である点が特徴的である。
足音が聞こえるのに人間の存在が確認できない例や、建物内部から発される低い呻き声も、いずれも生物的な動きとは一致しない。
また、日本人形の移動に関する体験談は偶然や悪戯では説明しにくい。人形が濡れていなかった点は、誰かが小川から運び戻した可能性を否定する材料になっている。
生駒山は古くから霊山として知られ、電波塔周辺には「霊が集まりやすい」という土地の噂が残っている。
お札の家の内部に貼られた「怨霊退散」のお札が本物であったかどうかにかかわらず、廃墟が長年無人で残されてきたことで、土地の“気配”が建物に滞留している可能性は否定できない。
お札が意図的に貼られたものであれば、過去に何らかの不可解な出来事があったことを示しているのかもしれない。
いずれにせよ、生駒山お札の家は、廃墟としての荒廃だけでなく、得体の知れない気配そのものが訪れる者に恐怖を植えつける場所である。







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