美しい自然と癒しの森として知られる猪八重渓谷の奥深く――その五重の滝には、古くから奇妙な噂と心霊現象がささやかれている。訪れた者が感じる“異様な気配”の正体とは何か。今回は、猪八重渓谷 五重の滝にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
猪八重渓谷 五重の滝とは?

猪八重渓谷(いのはえけいこく)は、宮崎県日南市北郷町に位置する深い原生林に抱かれた渓谷である。
天然の照葉樹林が広がり、国内外の苔類研究者たちに“世界的なコケの宝庫”とまで称される、豊かな自然の残る地である。
特に渓谷の最奥部にある「五重の滝」は、5段に重なる美しい流れとマイナスイオンが溢れる名所として知られ、片道約3キロ、往復でおよそ3時間の森林セラピーロードとして多くの人が訪れている。
しかしその裏で、この地には長年語り継がれる不穏な噂がある。
昼なお暗い渓谷の深奥、五重の滝周辺は、かつて数多くの命が絶たれた場所でもあり、訪れる者の中には“何か”を感じ取ってしまう者も少なくないという。
猪八重渓谷 五重の滝の心霊現象
猪八重渓谷 五重の滝にまつわる心霊現象は、
- 男性の霊が出現する
- 滝周辺で妙な気配に取り憑かれる
- 処刑場跡とされる岩場から呻き声が聞こえる
- 自殺者を誘い込む霊が棲みついている
である。以下、これらの怪異について記述する。
男性の霊が出現する
渓谷の遊歩道を進み、五重の滝に近づくと、突如、木々の隙間から“ぼんやりとした人影”が現れるという報告が相次いでいる。
その姿は濡れた衣をまとったような男性で、滝を背にしてじっと立ち尽くしていることが多い。
目を逸らして再び見ると、そこにはもう何もいない。だが、ただの見間違いで片付けられないほどの「確かな気配」がその場には残るのだという。
滝周辺で妙な気配に取り憑かれる
五重の滝周辺では、空気が異様に重くなる瞬間があると語られている。
突如として鳥の声が止み、風の音すら消え、ただ水音だけが響く異様な静寂に包まれる瞬間、その場に立ち尽くす人の背後に、“誰かが見ている”という強烈な視線を感じるのだ。
振り返っても、もちろん誰もいない。しかし、その気配はなぜかぴたりと背後に張り付き続ける。
処刑場跡とされる岩場から呻き声が聞こえる
渓谷途中にある「鬼の千畳岩(せんじょういわ)」と呼ばれる平たい岩場は、かつての処刑場だったという伝承がある。
ここでは夜になると、風の音に紛れて「うぅ……」「助けてくれ……」というような、低く湿った呻き声が聞こえてくるとの噂がある。
その声を聞いてしまった者は、不眠や悪夢に悩まされることがあるとも言われている。
自殺者を誘い込む霊が棲みついている
ある霊媒師がこの地を霊視したところ、五重の滝には「母親に捨てられた未熟児の霊」が留まり続けており、その強い怨念が自殺志願者の心に語りかけ、渓谷の奥へ奥へと引きずり込んでいるという。
実際、この地は人目につきにくいことから自殺の名所とも呼ばれ、毎年のように行方不明者や自死が報告されている。
猪八重渓谷 五重の滝の心霊体験談
ある男性が秋の午後に五重の滝を訪れた際、帰路につこうとしたそのとき、不意に背後から「おい」と呼ぶ声が聞こえたという。
振り返っても誰もおらず、気のせいだと思い歩き出したが、今度は足元から冷たい水音とは違う“濡れた足音”がついてくるように感じたという。
恐怖に駆られた彼は走って逃げ出し、駐車場にたどり着いたときには汗まみれで足が震えていたと語っている。
後日、その男性は高熱を出して寝込み、夢の中で何度も“濡れた子どもの手”に足首を掴まれる悪夢にうなされたという。
猪八重渓谷 五重の滝の心霊考察
猪八重渓谷の五重の滝は、一見すると癒しと自然のエネルギーに満ちたパワースポットとして知られる場所である。
しかしその美しさの裏に、長い年月をかけて積み重なった「死の記憶」が今なお色濃く漂っているように感じられる。
未熟児の霊、処刑場の記憶、自殺者の魂――それぞれがこの地に縛られたまま、次なる“存在”を求めて手を伸ばしているのではないか。
自然の静寂は、時として“霊の気配”を引き立てる。
だからこそこの渓谷では、その静けさの中に“何か異質なもの”が混じった瞬間、人々は得体の知れぬ恐怖に包まれるのであろう。
「癒しの森」と「死者の呼び声」、その両極端が同居する場所――それが、猪八重渓谷・五重の滝である。
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