鹿児島県指宿市、池田湖のほとりにひっそりと残る廃墟「イッシー王国」。かつて未確認生物“イッシー”をテーマにした観光施設だったこの場所では、今も不可解な音や異形の影、動物の霊など数々の怪異がささやかれている。今回は、イッシー王国にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
イッシー王国とは?

イッシー王国とは、鹿児島県指宿市の池田湖西岸に位置する、現在は廃墟と化した観光施設である。
もともとは1970年代初頭に開業したと推測され、池田湖に棲むとされる未確認生物「イッシー」の伝説にあやかって名づけられた。
建物はRC造二階建てで、1階には食堂や土産物店、動物飼育スペースが存在し、2階では“ハブの決闘ショー”なるものまで行われていたという。
地元の特産品センターと兼ねた施設であり、「ハブセンター池田湖」や「大うなぎ館」など、複数の名称で知られていた。
しかし、UMAブームの衰退とともに訪れる客も減少し、1990年代末には完全に閉鎖された。
現在では建物は藪に埋もれ、看板の文字は崩れ落ち、内部には不法投棄された物が散乱しているという。
イッシー王国の心霊現象
イッシー王国の心霊現象は、
- 動物の霊が現れる
- 深夜、誰もいないはずの飼育槽から水音が響く
- 建物内で複数の目撃証言がある“巨大な黒い影”
- ハブショーが行われていた舞台から、笑い声や拍手の音が聞こえる
である。以下、これらの怪異について記述する。
動物の霊が現れる
廃墟となったイッシー王国の内部では、人気のない通路に犬のような影が走り抜ける姿がたびたび目撃されている。
誰もいないのに動物の鳴き声が聞こえたり、水槽の前で猫のようなものがじっと佇んでいたという報告もある。
これらはかつてここで飼われていた動物たちの霊なのか――それとも、何か別の存在なのか。
深夜、誰もいないはずの飼育槽から水音が響く
夜になると、空になったはずの水槽から“ぽちゃん、ぽちゃん”という水の跳ねる音が響くという。
内部に入った者がその音に導かれるように進むと、そこには何もない水槽が静かにたたずんでいるだけだったという。
水音は誰が、何が立てているのか…。
“巨大な黒い影”の目撃証言
廃墟の奥に進むと、まるで天井に届くほどの大きさの黒い影が立ちふさがることがあるという。
目を凝らしても輪郭は曖昧で、ただこちらをじっと見下ろしている気配だけが強く感じられる。
足音もせず、ふと気づけば背後にその気配があるという者もいる。
舞台から聞こえる笑い声と拍手
ハブの決闘ショーが行われていたという2階の舞台。
そこに足を踏み入れると、空気が急に重くなり、誰もいないはずなのに“パンッ、パンッ…”と拍手の音や、くぐもった笑い声が聞こえることがある。
まるで今もなお、何かのショーが繰り返されているかのように。
イッシー王国の心霊体験談
ある心霊探訪者の証言によれば、真夜中に訪れた際、入口付近で「低いうなり声のような音」を聞いたという。
最初は風の音かと思ったが、その声は明らかに「こちらを呼ぶような抑揚」があり、施設内に足を踏み入れた瞬間、冷たい風が一斉に吹き抜けた。
また、動物飼育槽のそばで、何かが「水を飲む音」が確かに聞こえたが、ライトで照らしてもそこには誰もいなかった。
音だけが、何度も何度も繰り返されていたという。
さらに2階のショー会場では、無人の観客席に“人影”が一瞬見えたが、目を逸らした瞬間には消えていた。
逃げ出すように外へ出ると、背後から「ありがとう…」と小さな声が聞こえたという。
イッシー王国の心霊考察
イッシー王国の心霊現象は、単なる“廃墟の怪談”にとどまらない。
動物の霊、謎の影、異様な音声…それらの多くは「ここで何かが飼われ、何かが起こり、そして見捨てられた」という背景に根差しているようにも感じられる。
未確認生物「イッシー」は、1978年の集団目撃以降、一種の神格化すらされていたが、それが観光目的に利用され、次第に忘れ去られていった。
動物たちも同様に、「見世物」として扱われたまま、その最期を迎えたのではないか。
つまりこの場所には、忘れ去られた“命”や“存在”の無念が染みついており、それが形を変えて現れているのではないかと考えられる。
イッシーという幻想と、そこに閉じ込められた現実の犠牲――それこそが、この王国の本当の“亡霊”なのかもしれない。
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