島根県出雲市にかつて存在した「かもめ荘」。その名とは裏腹に、数々の心霊現象がウワサされる“最恐”の心霊スポットとして知られていた。女性の霊、謎の声、開かずの扉──。今回は、かもめ荘にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
かもめ荘とは?

かもめ荘は、島根県出雲市大社町日御碕の海沿いに建てられた地上2階・地下1階のコンクリート建築の施設である。
1970年に竣工し、翌年に障害者のリハビリ保養施設として開設された。
しかし短期間で民営化され、宿泊施設へと転用。
日本海を一望できる絶景と、新鮮な海産物を売りにし、観光バスが列をなすほどの賑わいを見せた。
だが、1970年代後半には突如として閉業し、その後は朽ち果てるままとなった。
経年劣化だけでなく、無断侵入者による破壊や落書きが相次ぎ、異様な雰囲気が漂い始めた。
そして、テレビ番組にて霊能力者が「除霊できなかった場所」と紹介したことから、「心霊スポット」としての悪名が定着していった。
かもめ荘という穏やかな名の裏には、無数の不可視の存在が蠢いていたのである。
かもめ荘の心霊現象
かもめ荘で語られる心霊現象は、
- 女性の霊の出現
- 正体不明の声
- 階段を下りてくる足音
- 地下室の「開かずの扉」
- 写真に写る無数の手形
である。以下、これらの怪異について記述する。
かもめ荘の心霊現象の中でも最も語られるのが「女性の霊」である。
特に夜になると、2階の廊下に白い服を着た女性が立ち尽くしている姿が目撃されている。
視線を感じて振り返ると、そこには誰もいない――しかし、冷たい風が通り過ぎ、微かに女性のすすり泣く声が聞こえるといった証言もある。
また、誰もいないはずの館内で、はっきりと人の話し声や叫び声が聞こえるという報告も多い。
声の主を探して歩くが、気づけば元いた場所に戻っているような錯覚に襲われるという。
階段では、「コツン、コツン」と規則的に下りてくる足音が響く。
だが、足音の主は決して姿を現さない。
それはまるで、こちらの存在に気づいているかのように近づいてくるのだ。
そして、最も“ヤバい”とされるのが地下室である。建物の入り口左側にある階段から降りることができるこの場所には、「開かずの扉」と呼ばれる部屋が存在する。
この扉は普段閉ざされているが、稀に開いていることがあり、その中に足を踏み入れた者は高熱と悪夢に襲われたという。
重度の肺炎で入院し、夢の中では子供の悲鳴が永遠に響き続けていたと語られている。
さらに、館内で写真を撮ると、決まって“何か”が写り込む。誰もいないはずの場所にぼんやりと人影が浮かび上がったり、手形が窓ガラスにびっしりと現れるといった事例が後を絶たない。
かもめ荘の心霊体験談
ある年末、出雲市に帰省した若者3人が、日御碕神社への初詣の途中でかもめ荘へ足を運んだ。
建物内部には瓦礫が散乱し、廃墟特有の静けさが満ちていた。
屋上で何も起きなかったことに安堵しつつ帰路につこうとしたその時、1階に降りて記念撮影をした直後、背後の階段から「コツン、コツン…」と足音が響き始めた。
誰もいないはずのその場所から、確かに“何か”が降りてきていた。
車に逃げ込んだ一行はそのまま日御碕神社へ避難し、年を越した。
しかし、車に戻ると、ボディ全体にびっしりとついた手形が彼らを迎えていたという――それも、外側からではなく、内側からのものであった。
別の体験者は、昼間に訪れた際、2階の浴場前で天井から視線を感じたという。
誰もいないはずの天井裏――そこからじっと彼らを見下ろす“何か”がいた。
また、地下室の存在そのものが奇妙である。
ある時には存在し、別の時には見つからない。まるで、人を選ぶかのように姿を現すという。
かもめ荘の心霊考察
かもめ荘に纏わる数々の現象は、単なる廃墟の怪談では片づけられない。
視覚・聴覚・触覚に訴える心霊体験が複数の証言に共通して見られる点から、強い霊的エネルギーの存在が疑われる。
除霊師・宜保愛子氏がかもめ荘を訪れた際、その霊の数と強さに圧倒され除霊を断念したという逸話は、決して誇張ではないだろう。
地下に何かが封じられていた、あるいは今なお“生きている”のかもしれないという仮説さえ生まれている。
また、かもめ荘がかつて肝炎や結核の隔離施設だったという噂も、過去にそこで多くの苦痛や死が存在していた証である可能性を否定できない。
2021年に解体され、建物そのものは姿を消したが、あの地に染みついた“何か”は、今もなお風に乗って囁いているのかもしれない。
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