佐賀県鳥栖市の自然豊かな観光地・河内ダム。しかしその裏には、焼身自殺や殺人事件といった凄惨な過去が隠されており、今なお心霊現象が囁かれているスポットでもある。今回は、河内ダムにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
河内ダムとは?

河内ダムは、1970年(昭和45年)に竣工された筑後川水系・大木川のダムである。
1953年(昭和28年)に発生した「28水」と呼ばれる大洪水により、大木川が決壊、下流域に壊滅的な被害をもたらしたことを契機に、治水目的で建設された。
ダム周辺には「風のみえる橋」と呼ばれる散策スポットや、夏季に家族連れで賑わう河川プールが整備されており、春には桜が咲き乱れる景勝地でもある。
また、宿泊施設「とりごえ温泉 栖の宿」も併設されており、観光地としても知られている。
しかし、そんな明るい一面とは裏腹に、河内ダムには静かに囁かれ続けてきた「心霊の噂」がある。
河内ダムの心霊現象
河内ダムの心霊現象は、
- 駐車場で黒く焦げた男性の霊が目撃される
- 夜間、人の気配を感じるのに姿は見えない
- 放水路付近で不審な声が聞こえる
- 自殺や殺人事件の痕跡が今も残る
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、多くの目撃談が集中するのが、ダムの駐車場である。
そこは車が6台ほど駐車できる小さなスペースだが、かつてここで焼身自殺があったとされている。
以来、夜になると全身が黒く焦げた男の霊が現れるという目撃談が後を絶たない。
焼け爛れた皮膚、無表情のまま佇む姿は、訪れた者の足をすくませるという。
また、誰もいないはずの夜のダム周辺で、「誰かに見られている」という強烈な視線を感じるという報告もある。
特に風のない夜、その気配はより濃くなる。振り返っても誰もいない——しかし確かにそこに「何か」がいるのだ。
さらに、放水路付近では、自殺者の霊が出るという噂がある。
かつてこの場所で排気ガスによる自殺を遂げた者がいたと言われており、その霊が現れて通行人に囁くのだという。
加えて、1998年(平成10年)には凄惨な殺人事件も発生している。
20代男性が、友人との喧嘩の末に放水路へ投げ込まれて命を落としたという。
事件には4人が関与していたが、実は首謀者だけが捕まっていないという不穏な情報もある。
河内ダムの心霊体験談
実際にこの地を訪れた人物の証言は、さらに恐怖を増幅させる。
ある日、家族連れが件の駐車場でバーベキューをしていた。
アスファルトの一部が黒く焦げていたが、誰も気に留めず、その上にコンロを置いていた。
だが、焦げ跡はバーベキューによるものではなく、焼身自殺の現場だったのだ。
証言者はその家族の姿をよく見ていた。
母親と子ども二人、そして黒いジャンパーを着た父親らしき男。
だが——父親の姿はふと気づいた時には、どこにもいなかったという。
実際には母親と子ども二人だけであり、「父親」だと思っていた男は、この世の存在ではなかったのだ。
さらに、別の証言では、放水路付近で自殺した霊が今も出るという。
そして、15歳の少女の遺体もこの地で発見された。彼女は殺害されたのち、ここへ遺棄されたという。
犯人は複数いたが、真の首謀者は現在も捕まっていないという噂がある。
目撃者によれば、その首謀者らしき人物をパチンコ店で見かけたが、彼の背後には「常に誰かが立っていた」と語っている。
河内ダムの心霊考察
河内ダムが心霊スポットとして語られるのは、単なる噂話では片付けられない多くの事実と証言があるからである。
まず、心霊現象が集中する駐車場には、明確に焼身自殺という死の痕跡が存在した。
加えて、殺人事件、自殺、そして未解決の要素が重なる放水路周辺は、強い「念」が残留しやすい環境といえる。
そして、共通して語られるのが「気配」である。
視線を感じる、気配がするというのは、最も原始的な恐怖であり、霊的存在の存在を感じ取る感覚のひとつである。
この地では、偶然にも複数の死が重なっている。
誰にも看取られず、無念のうちに命を落とした者たちの“声なき声”が、河内ダムに漂っているのかもしれない。
観光地として整備された華やかな表の顔と、ひとたび夜に訪れればその空気が一変する裏の顔。この“二面性”こそが、河内ダムを心霊スポットたらしめている最大の要因であると考える。
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