鹿児島県・桜島に存在する黒神埋没鳥居。大正時代の噴火によって一夜にして火山灰に埋もれたこの場所には、今もなお不気味な気配が漂い、数々の心霊現象がウワサされている。かつて神聖な場であったはずの鳥居が封じられたその地で、いったい何が起こっているのか。今回は、黒神埋没鳥居にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
黒神埋没鳥居とは?

黒神埋没鳥居は、鹿児島県の桜島にある腹五社神社の鳥居である。
この鳥居は、大正3年(1914年)1月12日に発生した桜島の大噴火により、一夜にして大量の軽石や火山灰に埋没した。
もともとの高さは約3メートルあったが、現在では笠木部分のわずか1メートルほどしか地上に姿を見せていない。
噴火直後、住民たちは神聖な鳥居を掘り起こそうとしたが、当時の東桜島村長・野添八百蔵の「後世に災害の記憶を残すべき」との判断により、埋まったままの姿で保存されることとなった。
その決断により、今もなおこの地には大自然の猛威と、それに抗うことのなかった人間の静かな記憶が眠っている。
現在では、黒神中学校のすぐ隣に位置し、道路を挟んだ向かいには無料駐車場が整備されている。
一見、観光地にも思えるが、そこに漂う異様な空気は訪れた者に深く重くのしかかる。
黒神埋没鳥居の心霊現象
黒神埋没鳥居の心霊現象は、
- 少女の霊が出現する
- 誰もいないのに声が聞こえる
- 謎の奇声が木霊する
- 霊界との出入口である鳥居を埋めたことで、低級霊がさまようようになった
である。以下、これらの怪異について記述する。
少女の霊が出現する
この地では、誰もいないはずの参道に白いワンピースを着た少女がぽつんと立っているという目撃談が後を絶たない。
その姿は一瞬で消えることもあれば、じっと立ち尽くしたまま何かを訴えるように見つめてくることもあるという。
特に火山灰に覆われた神社の奥へ足を踏み入れたとき、その姿が現れる確率が高いとされている。
誰もいないのに声が聞こえる
「おいで」「見て」といった声が耳元でささやかれる。振り返っても誰もいない。
風に紛れるようにして聞こえるその声は、異常な冷気を伴う。
とくに鳥居の正面、かつて神聖だったであろう参道付近でこの現象が集中して報告されている。
謎の奇声が木霊する
真夜中や夕暮れ時に、「キャッ」「アァァ」といった人間のものとは思えない奇声が聞こえるという。
この声は森の奥から、あるいは地中から湧き上がってくるかのように響く。複数人で訪れても、誰一人その発声源を特定できないという。
霊界との出入口が封じられたため、低級霊がさまよう
本来は霊界と現世をつなぐとされる鳥居。
それを完全に火山灰で封じ込めてしまったことで、成仏できぬ霊たちが行き場を失い、この地に留まり続けていると考えられている。
特に質の低い「低級霊」が集まりやすく、場所全体に不浄の気が広がっているとの噂もある。
黒神埋没鳥居の心霊体験談
体験談①
熊本から桜島観光の一環で訪れたという人物の体験談では、参道の奥にある荒れた社がとにかく異様で、暗く重い雰囲気に包まれていたという。
内部を覗くのすらためらわれるほどの霊気を感じた彼は、その後、心臓の痛み、足の脱力感といった体調不良に襲われたという。
火山灰に覆われた参道はただ歩くだけでもどこか異様で、身体が受けつけない何かがあったようだ。
体験談②
お盆の時期に訪れた別の体験者は、鳥居周辺で明らかに自然ではない冷気に包まれたという。
参道を進むにつれ、お社が点々と現れ、その一つに祀られていたのは、信じがたいほどボロボロに朽ち果てた人形だった。
その人形を見た瞬間、嫌悪感と恐怖が体を支配し、声を漏らすほどだったという。
さらにその後、採取した火山灰を持ち帰った途端、体調が急変。
心臓痛、視力の異常、足の麻痺などが続き、高速道路を走行中には“見えるはずのない少女”を目撃するという怪現象まで起こった。
最終的に霧島神宮へ参拝したところ、体調が回復したと語っている。
黒神埋没鳥居の心霊考察
黒神埋没鳥居は、本来神聖な力を持ち、霊界と現世を結ぶ「門」である鳥居が、土に埋められ封印されているという特異な存在である。
これはまさに、霊の通り道を閉ざしたことを意味し、封印されたまま行き場を失った霊たちがこの場所に滞留していると考えられる。
また、噴火によって突如として命を落とした多くの魂、そして掘り返されずに封じられた神域。
それらが混ざり合い、極めて異質な心霊スポットが誕生してしまったのではないか。
報告されている症状や体調不良も、単なる偶然や火山灰の影響とは言い切れない。
一度足を踏み入れた者に対し、何かを伝えようとする存在がそこにいるように思えてならない。
中でも少女の霊の目撃談や、奇声といった不可解な現象は、長い年月を経てもなお、ここに囚われ続けている霊たちの叫びであるのかもしれない。
黒神埋没鳥居――それは、ただの観光名所ではない。
今もなお、霊たちがさまよう“埋没された異界の入口”なのである。
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