鹿児島県にある串良平和公園は、かつて特攻隊の出撃基地だった場所である。その地には今もなお戦争の記憶が刻まれており、数々の心霊現象が語り継がれている。今回は、串良平和公園にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
串良平和公園とは?

串良平和公園は、鹿児島県肝属郡錦江町に位置する公園である。
かつてこの地には、旧日本海軍の航空基地「串良海軍航空基地」が存在していた。
開隊当初は教育航空隊として設立され、約五千人もの飛行予科練習生たちが整備、搭乗、通信といった航空関連の過酷な訓練に日々明け暮れていた。
しかし、戦局が悪化するにつれて教育機関であるはずの航空隊は解隊され、そのまま実戦部隊として転用された。
特に昭和20年3月1日以降、この串良基地は特別攻撃隊、いわゆる「特攻隊」の出撃基地となった。
終戦までのわずか半年間で、この地から若き精鋭たち565名が命を懸けて空へと飛び立ち、再び戻ることはなかった。
現在では「平和公園」として整備され、戦没者慰霊塔のほか、野球場、陸上競技場、プールなどの施設が点在している。
しかし、そこに漂う静けさは、単なる公園のものではないと囁かれている。
串良平和公園の心霊現象
串良平和公園の心霊現象は、
- 血まみれの旧日本兵の霊が夜中に行進する
- 慰霊塔付近で男性の霊が目撃される
- 耳元で突然「戻れ」という声が聞こえる
- 公園内の施設で誰もいないのに足音が響く
である。以下、これらの怪異について記述する。
最も多くの怪異が報告されるのが、戦没者慰霊塔の周辺である。
深夜、薄暗い月明かりのもとで、血に塗れた旧日本兵たちの霊が無言で行進しているという話が多く寄せられている。
その姿は顔や身体が焼けただれ、軍服はところどころ焦げ付き、まるで最期の瞬間をそのまま焼き付けたかのようであるという。
また、慰霊塔に手を合わせていた者が、背後から「戻れ…」という不気味な声を耳にし、振り返るも誰もいなかったという体験も語られている。
さらに、公園内の遊具やトラック付近では、夜になると「パタパタ…」という足音が聞こえるという。
確認してもそこには誰もいない。特に男性の霊がぽつりと座っている姿が目撃されることがあり、その姿は異様に青白く、眼窩だけが真っ黒に落ち込んでいるとも語られている。
串良平和公園の心霊体験談
ある地元住民の男性は、夜釣りの帰りに公園内を横切った際、慰霊塔の方向から足音が近づいてくるのに気づいた。
不審に思い立ち止まると、次の瞬間、背後から冷たい風が吹き抜け、耳元で誰かが「帰れ」と囁いたという。
恐怖に駆られて振り返ると、20メートルほど先に、血の気のない顔をした軍服姿の男がじっとこちらを見つめていた。
その男は目を逸らすことなく、徐々に霧のように溶けていったという。
串良平和公園の心霊考察
串良平和公園にまつわる心霊現象の多くは、戦没者慰霊塔を中心に発生している。
このことからも、特攻隊として散った若き命たちの「無念」がいまだこの地に留まり続けているのではないかと推察される。
特攻隊は国に命を捧げることを美徳とされたが、果たしてその選択は彼らの本意であったのか。
出撃直前の彼らの想い、恐怖、そして残された未来への執着が、いまなお霊となってこの地に現れているのではないか。
串良平和公園は、静かな慰霊の地であると同時に、戦争の悲劇を今に伝える“語り部”のような存在である。
その声に耳を傾けるとき、そこには静かなる怒号と慟哭が、風の中に確かに響いているのかもしれない。
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