熊本県南関町にある「松風トンネル(松風洞)」には、クラクションを5回鳴らすと老婆の霊が現れるという奇妙な噂が存在する。今回は、松風トンネル(松風洞)にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
松風トンネル(松風洞)とは?

松風トンネル(通称・松風洞)は、熊本県玉名郡南関町に位置する短めのトンネルである。
正式名称は「松風洞」とされており、銘板にもその名が刻まれている。
この名称は、かつて南関町に存在したとされる関所「松風の関」から採られた可能性が高い。
構造は前後で異なり、片側はコンクリート壁で補強され、もう片側は岩盤にモルタルを吹き付けた粗い仕上がりとなっている。
全長は約200メートルほどで、昼間でも薄暗く、音が反響するため不気味な雰囲気が漂う。
トンネルの出入口には、工事に関わった人物の名前が彫られた石碑が建っており、周辺には祠や溜池、さらにかつての城跡「鷹ノ原城」も存在する。
歴史的背景と土地の成り立ちが複雑に絡み合うこの地に、心霊の噂が立つのも無理はない。
松風トンネル(松風洞)の心霊現象
松風トンネル(松風洞)の心霊現象は、
- クラクションを5回鳴らすと老婆の霊が現れる
- 昼間でも異様な空気が漂う
- トンネル内で足音や反響音が不自然に聞こえる
- トンネル上部や周辺に謎の洞穴や祠が点在している
である。以下、これらの怪異について記述する。
松風洞でもっとも有名な噂は、「クラクションを5回鳴らすと老婆の霊が出る」というものである。
このような“クラクション系心霊トンネル”は日本各地に存在するが、松風洞はその中でも異質な空気を放っている。
トンネル内は、中央付近がとくに暗く、モルタル仕上げの岩肌が不規則に突き出している。
そこに音が響くため、足音ひとつでも不自然に感じられ、まるで誰かに付きまとわれているような錯覚に陥る。
さらに奇妙なのは、トンネル周辺にあるいくつもの洞穴である。
登山道の途中に現れるそれらの穴は人工的に掘られた形跡があり、防空壕か何かの跡とも考えられるが、明確な資料は存在しない。
また、空の祠が点在しており、そのいずれもが静かすぎる。
まるで時間が止まっているような、不気味な沈黙がそこにはあった。
松風トンネル(松風洞)の心霊体験談
ある訪問者は、ネット上で見かけた「老婆の霊が出る」という情報を頼りに松風トンネルを訪れた。
昼間だったにもかかわらず、トンネルに入った瞬間から空気が変わり、背後に誰かの気配を感じたという。
クラクションを5回鳴らした直後、トンネル奥の暗がりから何かが“こちらを見ている”ような視線を感じたという。
その場に霊の姿こそ現れなかったものの、彼は全身が粟立ち、そのまま逃げるように車を発進させたとのことだ。
また別の訪問者は、トンネル上部の雑木林を歩いている際、モノクロに写る異様な写真をタブレットで撮影してしまったという。
カメラの補正ミスだと考えようとしたが、どうしても釈然としなかったと語っている。
松風トンネル(松風洞)の心霊考察
松風洞における心霊現象の核心は、「老婆の霊」の正体である。
近くに墓地や供養塔が存在しないにもかかわらず、このような具体的な霊の噂が立っている背景には、“トンネルそのもの”に何かが刻まれているのではないかと考えられる。
また、トンネルの真上には、かつて加藤清正の家臣が築いたとされる「鷹ノ原城」の跡がある。
この城は一国一城令によって廃され、城跡には西南戦争の官軍墓地が存在する。
直接的な関連は見出せないが、“死者が多く眠る場所の下に掘られたトンネル”という構造が、無意識のうちに訪問者の恐怖心をかき立てているのかもしれない。
無数の祠と洞穴、トンネル内部の異様な反響、そして名前の由来も曖昧な「松風洞」という存在。すべてが絡み合い、この地には“語られざる記憶”が今なお漂っている可能性がある。
老婆の霊とは、果たして誰なのか。なぜクラクションに反応するのか。
謎は多く、確かな答えはない。ただ一つ言えるのは、この場所を訪れた者が“何かしらの違和感”を覚えて帰ってくるということである。
それこそが、松風洞最大の怪異なのかもしれない。
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