宮崎県に残る戦国の記憶、宮崎城跡。この静寂に包まれた城跡には、数多くの戦死者たちの無念が渦巻いているという。今回は、宮崎城跡にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
宮崎城跡とは?

宮崎城(みやざきじょう)は、宮崎県宮崎市池内町に存在した山城である。
1335年(建武2年)または1336年(延元元年)に、南朝方の図師六郎入道隋円およびその子・慈円によって築城された。
築城後は戦乱に巻き込まれ、北朝方の武将・土持宣栄によって落城。
以後も伊東氏や島津氏、高橋氏といった勢力の手に渡りながら、幾度もの攻防を繰り返した。
そして1615年、徳川幕府による「一国一城令」により、数百年の歴史に幕を閉じ、宮崎城は廃城となった。
この地には、戦乱に倒れた数多の兵たちの血と涙が染み込んでおり、今なおその名残が異様な形で現れることがあるという。
宮崎城跡の心霊現象
宮崎城跡の心霊現象は、
- 甲冑を着た武士の霊が出没する
- 女性のすすり泣く声が聞こえる
- 火の玉が夜空を漂う
- 人々の霊が城跡をさまよっている
である。以下、これらの怪異について記述する。
かつて多くの血が流されたこの地では、戦場の記憶が今もなお霊的存在として現れる。
まず、甲冑を着た武士の霊が夜な夜な現れるという目撃談が多数存在する。
木々の間をゆっくりと歩き、何かを探すかのように周囲を見渡しているという。
彼らはおそらく、最期を迎えた戦場で己の死を受け入れられぬまま、今もなお主君の命を待ち続けているのかもしれない。
また、夜風が吹き抜ける静寂の中、どこからともなく女性のすすり泣く声が聞こえてくるという証言もある。
この女性の正体は不明であるが、落城の際に命を落とした武家の娘や侍女の怨念とも囁かれている。
さらには、城跡周辺で青白い火の玉が漂う光景が確認されている。
まるで戦死者の魂が空をさまよいながら、何かを訴えかけているようにも見えるという。
そして極めつけは、「人々の霊が列を成して歩いていた」という話である。
まるで、戦へ向かう兵たちの行軍のように、静かに、そして規則正しく歩く霊の群れ。その姿に出くわした者は、恐怖のあまり声も出せず、足もすくんだという。
宮崎城跡の心霊体験談
ある地元住民は、夏の夜に肝試しとして宮崎城跡を訪れた。
友人とともに本丸跡へ向かっている途中、突然、背後から重たい足音が近づいてくるのを感じたという。
振り返っても誰もおらず、足音だけが近づいては離れていった。
さらにその直後、近くの茂みから「クッ……クッ……」と女性の嗚咽のような声が聞こえ、全員がその場から逃げ出したという。
後日、同じ場所で火の玉を見た者もいたと聞き、あの夜の出来事は決して気のせいではなかったと語っている。
宮崎城跡の心霊考察
宮崎城跡に現れる霊たちは、いずれも強い未練を抱えた存在であると推測される。
戦に命を散らした武士たちは、己の死を理解できぬまま、あるいは家族や主君への思いを断ち切れぬまま、この地に縛られ続けているのかもしれない。
また、落城の混乱の中で命を落とした女性たちの悲しみと怨念も、地に染みつき、今もなお泣き声として聞こえてくるのであろう。
宮崎城跡という場所そのものが、過去の血と悲しみによって“記憶されている”かのようである。
そして、その記憶は時として、現世と地続きになり、我々に姿を見せる。
この地を訪れる者は、歴史の裏側に潜む怨念と向き合う覚悟が必要である。
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