宮崎県日南市にある「小布瀬の滝」は、美しい自然に囲まれた観光地でありながら、古くから“女性と子供の霊が現れる”と噂される心霊スポットでもある。今回は、小布瀬の滝にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
小布瀬の滝とは?

小布瀬(こぶせ)の滝は、宮崎県日南市酒谷に位置する、高さ23メートル・幅3メートルの美しい滝である。
滝壺の直径は約15メートルにも及び、周囲には深い森が広がっている。
遊歩道や駐車場が整備され、観光地としても知られているが、観光客が多く訪れる昼間とは裏腹に、夜になると不気味な空気を漂わせる「心霊スポット」としても有名である。
この滝には2つの由来がある。
ひとつは神話によるもので、「男鈴山」と「女鈴山」にまつわる伝説がある。
神の国から降り立った男神が、女神と出会い、産湯をつかった場所が「小布瀬(子生む瀬)」であるとされている。
もうひとつは、今から約200年前に語られた悲劇である。
継母が義理の子を殺めようと滝の上に連れて行き、突き落としたとされるが、腰紐が絡まっていたため継母自身も共に滝壺へ転落し、命を落としたという。
この事件以降、不可解な現象が多発するようになったと言われている。
小布瀬の滝の心霊現象
小布瀬の滝の心霊現象は、
- 幼児を抱いた女性の霊が現れる
- 滝壺周辺で女性のすすり泣く声が聞こえる
- 鳥居付近で不可解な人影が出現する
- 駐車場のトイレ内で異様な気配を感じる
- 夜間に行くと霧が立ちこめ、空気が一変する
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず最も多く語られているのが、「幼児を抱いた女性の霊」の目撃談である。
彼女は和装姿で、髪を垂らし、顔ははっきり見えないことが多い。
滝壺のあたりに立ち尽くしていたり、滝の上部からこちらを見下ろしている姿が報告されている。
夜になると、彼女のすすり泣くような声が、水音に混じって聞こえることがあるという。
滝へ続く遊歩道の鳥居周辺では、振り返るとそこに“誰かが立っていた”という証言が相次ぐ。
しかし次の瞬間には誰もおらず、その場には異様な冷気だけが残るという。
さらに、駐車場のトイレでは、「使用中でもないのに個室からノック音がした」「鏡に一瞬、別人の顔が映った」などの不可解な体験談が存在する。
地元の人々の間では、あのトイレには近づかない方がいい、という暗黙の了解がある。
特に夜間になると、滝周辺は霧に包まれやすく、視界が突然悪くなる。
霧とともに現れる“温かい風”や“声なき気配”に恐れをなして引き返す者も少なくない。
まるで何かに見られているかのような、圧迫感のある空間が広がるのだ。
小布瀬の滝の心霊体験談
ある晩、好奇心から滝を訪れた男性がいた。時刻は午後11時過ぎ。
駐車場に車を停め、懐中電灯を手に遊歩道を進んでいたという。
鳥居をくぐった瞬間、背後から「カラン…カラン…」という、鈴の音のような音が聞こえてきた。
振り返ると誰もいない。気のせいだと思い直し歩みを進めたが、滝壺に近づくにつれ、空気が異様に冷たくなり、身体が重く感じた。
その時、滝の上部に白い影が見えた。目を凝らすと、それは子供を抱いた女性であり、こちらを見ていた。
恐怖にかられた男性は一目散に駐車場まで戻ったが、車に乗ろうとしたその瞬間、背後のトイレから“ガタッ”という大きな音が響いた。
慌てて車を発進させたが、バックミラーには、トイレの影からこちらを見つめる女性の姿が映っていたという。
その日以降、彼は一切その場所には近づいていない。
小布瀬の滝の心霊考察
小布瀬の滝に現れる霊は、ただの残留思念ではない可能性がある。
200年前に起きたとされる親子心中の悲劇、そして神話に登場する“子を生む瀬”という意味深な地名。
その両者が交錯し、土地そのものに強い“情念”が染みついているようにも思える。
霊が現れるのは滝壺だけではない。
鳥居やトイレといった「結界的な場所」にも現れるという点は、霊の活動範囲がかなり広いことを示している。
これは単なる一体の霊の仕業ではなく、複数の霊的存在が絡んでいる可能性すらある。
また、音や風、霧といった自然現象が引き金となって心霊現象が誘発される点から見ても、小布瀬の滝は“場所”そのものが異常である。
自然の美しさの裏に隠された、誰にも抗えない“何か”が、今もこの地に潜み、訪れる者に静かに語りかけてくるのかもしれない。
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