宮崎県の観光地「御池(みいけ)」には、古くから奇妙で不可解な体験が語り継がれてきた。今回は、御池にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
御池とは?

御池は、宮崎県都城市と西諸県郡高原町の境にあるカルデラ湖である。
約4600年前の霧島連山の大噴火によって形成された火口湖であり、直径は1km、周囲は約3.9km、水深は103mにも達する。
この水深は日本一深い火口湖として知られており、湖の底は今なお謎に包まれている。
湖周辺には皇子港や霧島東神社、野鳥の森公園キャンプ村といった観光・自然スポットもあり、バス釣りやキャンプ、登山に訪れる人々で賑わう。
しかしその一方で、この静寂な湖畔には数多の不穏なウワサが付きまとい、訪れる者に奇妙な体験をもたらすとささやかれている。
御池の心霊現象
御池の心霊現象は、
- 湖に現れる男性の霊
- 深夜、車にびっしりと手形がついている現象
- 湖に身を投げた者の霊が彷徨う
- 林の中で首を吊った者の霊が目撃される
- 戦時中の爆弾の呪いとされる怪音のウワサ
- 湖へ突っ込んだトラック事故現場での目撃談
である。以下、これらの怪異について記述する。
御池では、夜になると湖面にふいに男性の霊が現れると噂される。
その霊は何も語らず、ただ水面に立つようにしてこちらを見つめているという。
釣り人やキャンプ客の間でも、複数人がこの霊を目撃しており、目を離した瞬間に忽然と姿を消すことが特徴である。
また、夜間に車で湖畔に訪れた者が戻ってみると、車の窓やボディに無数の手形がついていたという報告が相次いでいる。
その手形は内側からも外側からもついており、誰のものかもわからない。ただの霧や水滴では説明できない、生々しい人の指の跡だという。
御池は水深が100メートルを超えており、一度沈んだ遺体は二度と浮かんでこないともいわれる。
そのためか、身投げの名所ともなっており、夜に湖畔を歩くと背後から水音がし、振り返っても誰もいない、という話もある。
周辺の林も不気味さを増しており、首吊り自殺が多発しているという。
中には、木々の間に人影のようなものが揺れていた、という証言もある。
その姿はあまりにも静かで、風もないのにロープだけがゆらゆらと揺れていたという。
さらに恐ろしいのは、戦時中にこの湖に旧日本軍の爆弾が沈められたという話である。
過去には実際に手榴弾が見つかったこともあり、夜になると水中から金属を擦るような音や、低く唸るような声が聞こえるという噂もある。
そして、かつて大型トラックが運転手ごと湖に突っ込んだという事故があった。
その後、現場付近では事故の時刻と同じ時間に金属がぶつかるような音や、ブレーキ音が聞こえる現象が相次ぎ、地元では「戻ってきた運転手の霊ではないか」と恐れられている。
御池の心霊体験談
ある男性が、深夜に一人でキャンプをしていたところ、湖面に誰か立っているのが見えたという。
光もないのに、その人物だけははっきりと黒い影のように浮かび上がっていた。
気になって懐中電灯を向けた瞬間、その影は湖に沈むように消えてしまった。
また、林道を歩いていた女性が、ふと上を見上げると、木の枝に誰かがぶら下がっていたという。
その顔は見えなかったが、首が不自然に傾いていたという。思わず叫び声をあげて逃げたが、後から確認すると、その木には誰の姿もなかった。
御池の心霊考察
御池は自然豊かな観光地でありながら、その歴史と地形、そして人の想いが複雑に絡み合った場所である。
水深が深く、湖底には長い年月の中で沈んだ「何か」が眠っている可能性もある。
その中には自ら命を絶った者の未練も含まれるであろう。
また、戦時中の爆弾の存在や、事故死など、無念の死を遂げた人々の記憶が、霊的エネルギーとして残っていると考えることもできる。
とりわけ、水辺は霊が集まりやすいとされ、静かな湖面にはその思念が反射し、現世との境を曖昧にしてしまうのかもしれない。
御池は、昼と夜でその顔を変える場所である。賑わうキャンプ村の裏に潜む闇。人の気配がなくなった後、静寂の中に浮かび上がる“何か”。
それが、御池をただの自然景勝地では終わらせない、恐怖の湖たる所以なのである。
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