高知県土佐清水市にある大岐防風林(遊歩道)は、江戸時代から続く海岸林であり、今もなお深い自然の静寂に包まれている。今回は、大岐防風林(遊歩道)にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
大岐防風林(遊歩道)とは?
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大岐防風林(おおきぼうふうりん)は、高知県土佐清水市の大岐海岸に沿って形成された海岸林である。
全長約1.3km、幅およそ200mにわたる林帯は、江戸時代に防風・防砂のためにクロマツが植えられたことを起源とする。
だが、1950年代に松枯れ病が発生し、長い年月のうちにクスノキやタブノキなどの広葉樹が自然侵入し、現在の鬱蒼とした姿へと変化した。
林内にはかつての遍路道が残り、信仰と自然が交錯する場所として知られている。
昼でも光が届きにくいほど木々が密集し、風の音と波の音が遠くに溶け合って聞こえる。
その異様な静けさと湿り気のある空気は、訪れた者の感覚を鈍らせ、時間の流れすら歪めるような錯覚を起こすという。
大岐防風林(遊歩道)の心霊現象
大岐防風林(遊歩道)の心霊現象は、
- 写真に人の顔が浮かび上がる
- 歩道を外れると、後ろから足音がついてくる
である。以下に、それぞれの現象を詳しく記す。
最も知られているのは、「写真に人の顔が浮かび上がる」という現象である。
林内で風景を撮影すると、木の幹や葉の隙間に“人の顔”のような影が浮かび上がる。
多くの場合、その顔は歪み、苦しげな表情をしているという。中には、撮影者のすぐ背後にぼんやりと顔が写り込んでいた例もある。
地元では「遍路道で命を落とした者の霊が、いまもこの林に留まっているのではないか」と囁かれている。
もう一つの怪異は、「歩道を外れると、後ろから足音がついてくる」というものである。
遊歩道は整備されているが、少しでも脇道へと入り込むと、どこからともなく“ザク…ザク…”と砂を踏みしめるような音が響き出す。
振り返っても誰の姿もなく、足跡も残っていない。歩くのを止めると、その音も止まる。だが再び歩き出すと、またすぐ背後で音が始まるのだ。
それはまるで、見えない誰かが一定の距離を保ちながらついてくるかのようである。
体験者の中には、出口までずっと足音がついてきて、林を出た瞬間に音が途絶えたという者もいる。
大岐防風林(遊歩道)の心霊体験談
ある写真愛好家の男性が、昼下がりにこの林を訪れたという。
遊歩道の途中で光の差し込む場所を見つけ、カメラを構えた。
現像した写真を見返すと、木の根元に女性の顔のようなものがぼんやりと浮かんでいた。
目元は黒く、口は笑っているようにも、苦しんでいるようにも見えた。
彼はその日以来、夜になると“足音”の夢を見るようになったという。
また、別の体験者は、遊歩道を外れ林の奥に入った際、背後から“ザク…ザク…”という音を聞いた。
何度も振り返ったが、そこには誰もいなかった。
やがて音が近づいてくるように感じ、恐怖のあまり走って遊歩道に戻ると、足音はぴたりと止んだ。
だが、その直後、耳元で「帰れ」という低い声を聞いたという。
大岐防風林(遊歩道)の心霊考察
大岐防風林は、長い年月をかけて人の手と自然の力がせめぎ合ってきた土地である。
かつて松が根を張っていた場所には、今や別の樹木が密生し、古い遍路道だけがその歴史を静かに語っている。
この地には、失われたものへの“記憶”が確かに残っている。
写真に浮かぶ顔、背後からついてくる足音——それはこの林が見せる一種の記録なのかもしれない。
風や波音の錯覚として片づけることもできる。
だが、林の奥に立てば、空気の重みが明らかに変わる瞬間がある。
そのとき、人は理解する。
「この場所には、まだ何かがいる」と。
大岐防風林(遊歩道)は、自然の静寂の中に、確かに“人ならざる気配”が息づいている場所であるのかもしれない。
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