佐賀の旧馬神トンネルには、かつて起きた凄惨な事件や不可解な噂が渦巻いているという。今回は、旧馬神トンネルにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
旧馬神トンネルとは?

旧馬神トンネルとは、佐賀県の多久市と武雄市を繋ぐ「馬神峠」に穿たれた2代目の隧道である。
初代の「旧旧馬神隧道」は1885年に開通し、その後1928年に2代目である旧馬神トンネルが完成。
1997年には現在使用されている新トンネルが開通した。
2代目である旧馬神トンネルは、幅が4.9mと狭隘で、大型車のすれ違いも困難なうえ、交通事故が頻発していた。
現在はコンクリートの壁で完全に封鎖され、立ち入りも不可能となっている。
だが、その閉ざされた空間には、ある“噂”が今もなお囁かれている。
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旧馬神トンネルの心霊現象
旧馬神トンネルの心霊現象は、
- 麦わら帽子を被ったワンピース姿の女性の霊が出没する
- 夜になると人の気配や足音が聞こえる
- トンネル周辺で急に車のエンジンが止まる
- 「佐賀女性7人連続殺人事件」との因縁が囁かれている
である。以下、これらの怪異について記述する。
麦わら帽子の女の霊
最も有名なのが「麦わら帽子を被ったワンピース姿の女性の霊」である。
夜、トンネルの前を歩いていると、その女がふいに現れ、何も語らずに通行人を見つめてくるという。
後をつけられたという証言もあり、その視線は異様なほど冷たかったと語られている。
人の気配と足音
閉鎖され誰もいないはずのトンネル周辺で、「カツン、カツン」とヒールのような足音が響くことがあるという。
また、草むらから誰かが覗いているような気配を感じ、振り向いても誰もいないという怪現象も報告されている。
車の不調
トンネル近くに車を停めていると、突如としてエンジンがかからなくなる、ライトが勝手に消えるなどの不具合が多発したという。
これらは偶然とは思えない頻度で起きており、まるで“何か”が帰路を妨げているかのようである。
佐賀女性7人連続殺人事件との関係
1975年から1989年にかけて、佐賀県では7人の女性が絞殺される事件が発生。
中でも6人が水曜日に姿を消したことから「水曜日の絞殺魔事件」とも呼ばれる。
この事件の一部の被害者が、旧馬神トンネル付近で遺棄されたと囁かれているが、実際の遺棄現場は2km以上離れた別の峠であり、事実関係は不明である。
それでも、事件の凄惨さがこのトンネルに“曰く”を呼び寄せたのかもしれない。
旧馬神トンネルの心霊体験談
ある男性が、旧馬神トンネル跡の近くを夜中に訪れたときのことである。
肝試しのつもりで友人と車で近づいた彼らは、封鎖された入口の手前に車を停めた。
すると突然、助手席の窓に「カン、カン」と硬い何かがぶつかる音がしたという。
誰も外にはいなかった。
次の瞬間、車内の温度が一気に下がり、ラジオからは「ザーッ…」という砂嵐のようなノイズが鳴り始めた。
慌てて車を発進させようとしたが、エンジンはうんともすんとも言わず、再始動できたのは10分後だったという。
その帰り道、彼らは振り返ってはいけなかった。
なぜなら、誰も座っていなかったはずの後部座席に、“誰か”がいたというからである。
旧馬神トンネルの心霊考察
旧馬神トンネルが心霊スポットとして語られる理由の一つには、「佐賀女性7人連続殺人事件」の存在がある。
直接の遺棄現場ではないとはいえ、その陰惨な事件と旧トンネルの存在が結びついたことは確かである。
また、農家がみかん泥棒を追い払うために流した“作り話”だという説もある。
しかし、実際に体験した者が語る不可解な現象の数々は、それを単なる噂として片づけるにはあまりに不気味である。
封鎖されたトンネル、薄暗い峠道、そして“誰か”の視線を感じる空気──旧馬神トンネルは、真相が明かされることのないまま、今日も静かにその闇を湛えている。
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