この滝は、小泉八雲の『幽霊滝の伝説』の舞台としても知られ、かつて「2歳未満の赤子を連れて行ってはならない」という禁忌が存在していた場所である。肝試しに訪れた者が不可解な声を聞いたり、滝壺の奥から何かに見つめられているような感覚に襲われたりするという怪異が報告されている。今回は、龍王滝(幽霊滝)にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
龍王滝(幽霊滝)とは?
の外観.jpg)
龍王滝は、鳥取県内に実在する滝の一つであり、古くから「幽霊滝」とも呼ばれている。
白糸のごとく流れる清流が、岩肌を滑らかに落下するその様は、昼間は雄大な自然美を誇るが、夜になると一転して不気味な雰囲気を漂わせる。
歴史的背景として、明治時代の鳥取県黒坂付近には小さな麻取り場があり、そこで働く女たちが囲炉裏を囲んで怪談に興じたという記録が伝わっている。
これにより、龍王滝は単なる自然の風景に留まらず、地域の伝承と深く結びついた心霊スポットとして語り継がれている。
さらに、滝の近くには滝山神社が建立され、神聖なエネルギーとともに、戦乱や疫病によって散った命の怨念が滝に宿っているのではないかという噂も根強く残っているのである。
龍王滝(幽霊滝)の心霊現象
龍王滝(幽霊滝)の心霊現象は、
- 深夜、滝壺付近に突如として現れる白い人影が確認される
- 滝から流れ出る轟音の中に、かすかに人の呻き声や悲鳴が混じって聞こえる
- 滝しぶきとともに、霧の中に幽玄な光が浮かび上がり、その中から人影が姿を現す
- 滝周辺の気温が急激に低下し、冷たい風が突如として吹き荒れる
である。これらの怪異について、以下に記述する。
まず、深夜に滝壺付近で目撃される白い人影についてである。
伝承によれば、明治時代のある夜、麻取り場で働く女たちが怪談話に興じる中、肝試しのために幽霊滝へ向かう者がおり、勇敢な女性「お勝」が赤ん坊を半纏に包んで挑んだとされる。
その際、滝つぼから「おい、お勝さん!」という声が響き、彼女は恐怖に駆られながらも賽銭箱を手に取って帰還した。
しかし、帰路で半纏を解いたお勝の背中から現れたのは、無惨にも首をもぎ取られた血まみれの赤ん坊の死体であったという。
この伝説は、龍王滝にまつわる禁忌―「2歳にならない赤児を連れて滝に来てはいけない」という掟―の存在と結びつけられ、赤ん坊の首がもぎ取られたという異様な光景が、戦乱や疫病で散った者たちの怨念の表れとして語られているのである。
次に、滝から流れる轟音の中に、かすかに人の呻き声や悲鳴が聞こえる現象についてである。
目撃者の証言によれば、夜の静寂を破るかのように、滝の轟音に混じって不意に人の泣き声や呻き声が響く瞬間があり、これが過去に散った命の哀しみや怒りが形をとっているのではないかと考えられている。
また、滝しぶきや霧の中からは幽玄な光が現れ、その光の中から一瞬だけ人影が浮かび上がるとする報告もあり、これらの現象は、自然現象と超常現象が入り混じる独特の恐怖感を生み出している。
さらに、滝周辺では、突如として気温が急降下し、冷たい風が吹き荒れるという現象も頻繁に報告される。
これは、戦争や疫病などの過酷な歴史的出来事により、散った命の冷たい怨念が空気中に漂い、物理的な現象として現れるとする説がある。
こうした現象は、昼間の穏やかな景色とは対照的に、夜間や霧深い時に特に顕著に現れ、訪れる者に身の毛もよだつ恐怖を与えるのである。
龍王滝(幽霊滝)の心霊体験談
実際に龍王滝を訪れた体験者の中には、深夜に滝の周囲を散策していた際、背後から突如として冷たい風とともに白い人影が現れ、次第にその姿がこちらに向かって迫ってくるのを感じたという証言がある。
ある体験者は、「滝の轟音の中に、あたかも誰かの呻き声が重なり、その直後に冷たい空気が一気に流れ込んできた。
まるで、戦死者の霊がこちらに迫っているかのような恐怖に襲われた」と語っている。
また、別の体験者は、滝しぶきの中に浮かぶ幽玄な光と、それに伴って一瞬だけ現れた人影を目撃し、「その瞬間、全身が凍りつくような感覚を覚え、今でもその光景は忘れられない」と証言している。
これらの体験談は、いずれも龍王滝に伝わる伝説と重なり、実際に訪れる者に恐怖と不安をもたらす証拠として語られているのである。
龍王滝(幽霊滝)の心霊考察
龍王滝(幽霊滝)の心霊現象は、単なる自然現象や偶然の錯覚では説明しきれない、深い歴史的背景と地域の伝承が複雑に絡み合った結果であると考えられる。
明治時代の麻取り場での怪談話や、肝試しの際に起こった異様な出来事は、戦乱や疫病によって散った命の怨念がこの地に蓄積され、その結果として現れるとされる。
また、「2歳にならない赤児を連れて滝に来てはいけない」という禁忌は、地域の人々の間で厳しく守られてきた風習であり、これを破ると罰として赤児の首をもぎ取られるという恐ろしい伝説が生まれたのである。
さらに、滝の轟音に混じって聞こえる呻き声や、急激な温度低下、そして霧の中に現れる幽玄な光は、自然現象と超常現象が重なり合うことによって、訪れる者に極度の恐怖と不安を抱かせる要因となっている。
これらの現象は、歴史的記憶と伝承がいかに人々の心に深い影響を与えるかを如実に示しており、龍王滝は単なる滝ではなく、過去の悲劇と怨念が具現化した霊域として存在しているといえるである。
コメント