広島市の郊外にひっそりと残る廃墟、関川荘。かつて日帰り入浴や料理を楽しむ人々で賑わったこの地には、今なお多くの心霊の噂が絶えないという。今回は、関川荘にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
関川荘とは?

関川荘は広島県広島市安佐北区白木町に位置する、昭和30年代に市内の資産家が建設した日帰り温泉や料理を楽しめるレジャー施設の廃墟である。
「S老人憩いの家」として紹介されることもある。
1964年の空中写真でも敷地が大規模に切り開かれている様子が確認できるが、1990年代初頭には既に閉鎖され、1993年以降の電話帳にその名は見当たらないという。
すでに廃墟化が進み朽ち果てていたが、それからさらに年月を重ね、現在は建物の2階部分はほとんど床が抜け落ち、原型をとどめていない。
関川荘の心霊現象
関川荘の心霊現象は、
- 温泉浴場で女性の霊が目撃される
- 入口付近の観音渕周辺で異様な気配を感じる
- 地蔵付近で視界の端に黒い影が走る
- 廃車となったキャブライト付近で耳鳴りや頭痛に襲われる
である。以下、これらの怪異について記述する。
かつて日帰りで湯浴みや料理を楽しみに訪れる人々で賑わったという関川荘。
しかし今では崩れかけた瓦屋根や、むき出しの柱が不気味に立ち尽くし、廊下や縁側には雑草が生い茂り、生と死の境目が曖昧な光景を形成している。
最も多くの心霊話が語られるのは、かつて温泉浴場だった場所である。
壁は剥がれ落ち、天井の梁からは土埃が絶え間なく落ちる中、裸足の女性の霊が静かに湯船の跡を歩く姿が見られるという。
その顔は髪に覆われ判然としないが、確かにそこに立つ存在感がある。
また、施設入口にある小さな滝壺「観音渕」では、背後からそっと肩を叩かれる感触を覚え振り向くも、そこには誰もいないという体験談が後を絶たない。
さらに滝壺脇に祀られた地蔵の前では、周囲の空気が急に冷たく沈み込み、視界の端に黒い影がよぎることがある。
そして敷地奥、草に埋もれるように放置された2台のキャブライトの廃車周辺では、耳鳴りや突発的な頭痛に見舞われ、その場を離れようとすると足元が急に重くなるという。
関川荘の心霊体験談
実際にこの場所を訪れた者は、風呂場跡で髪の長い白い服の女を目撃したり、振り返ると地蔵の前に黒い影が立っていたと証言している。
また、観音渕を覗き込んだ瞬間、背後から「帰れ」という女の声を聞いたという例もある。
廃車の脇を歩いていたところ、金属が勝手にきしむ音が響き渡り、その場から走って逃げたという話も残されている。
関川荘の心霊考察
関川荘に漂う不気味さの根源は、単なる廃墟の寂寥ではない。
日帰り温泉施設として賑わった過去と、その後に取り残された静寂との落差が、人々の無意識に深い恐怖を刻むのだろう。
浴場で目撃される女性の霊は、この地で不慮の死を遂げた者の成れの果てかもしれないし、あるいは廃墟そのものが年月と共に負の感情を吸い上げ、形を持って現れたものかもしれない。
観音渕や地蔵、廃車といったモチーフはすべてが時間の中で風化しながらも、なおそこに在り続け、人の想像を膨らませ恐怖へと変えていく。
関川荘は、過去と現在、そしてこの世とあの世が交錯する場所なのである。
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