宮崎県と大分県の県境、深い山中にひっそりと存在する杉ヶ越トンネル。この地には、誰もいないはずのトンネル内で声が聞こえるなど、数々の不可解な現象が囁かれている。今回は、杉ヶ越トンネルにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
杉ヶ越トンネルとは?

杉ヶ越(すぎがごえ)トンネルは、1979年に竣工された山岳トンネルである。
場所は宮崎県と大分県の境界に位置し、登山者には「傾山(かたむきやま)登山口のすぐ脇にあるトンネル」として知られている。
周囲は鬱蒼とした森と深い霧に包まれることが多く、自然の厳しさと相まって独特の異様な空気を漂わせている。
近くにはかつて栄えた見立鉱山跡も存在しており、そこでの過酷な労働の末に命を落とした者たちの怨念が、今もなお山に染みついているとも囁かれている。
また、このエリアの登山道は非常に危険で、滑落による死亡事故も報告されている。
そのため、登山初心者には立ち入りが推奨されていない場所でもある。
杉ヶ越トンネルの心霊現象
杉ヶ越トンネルの心霊現象は、
- 誰もいないはずのトンネル内で「人の話し声」が聞こえてくる
- 霧が立ち込めた日に「人影」が見える
- トンネルを通過中、背後から「足音」がついてくる感覚に襲われる
- 登山者が山中で「助けを求める声」を聞いたという報告がある
である。以下、これらの怪異について記述する。
最も多く報告されているのは、トンネル内での“声”の現象である。
トンネルに入ると、誰もいないはずなのに、複数人が会話をしているような話し声が耳元に近づいてくる。
実際に引き返しても人の姿はなく、声だけが残響のように漂うという。
これが昼夜を問わず起こるため、「時間を選ばず現れる霊」の存在を示唆する声もある。
霧が立ち込める日には、トンネルの奥にぼんやりと立つ「人影」が見えるという報告がある。
その姿は山の斜面に向かって歩いていくようだが、後を追うと忽然と消えてしまうという。
これが自殺者や滑落死者の霊ではないかと噂されている。
また、通行中に自分の足音とは明らかに異なるリズムの“足音”が背後からついてくるという現象も多数報告されている。
後ろを振り向いても、そこには誰もいない。
足音は止まり、振り返るとまた始まるという繰り返しが、訪れる者の恐怖をかき立てる。
さらに、登山道の途中で「助けて」という声を聞いた登山者が、慌てて救助を呼んだが、結局誰も発見されなかったという話もある。
まるで生者に訴えかけるかのような霊の存在が、この地にはいるのかもしれない。
杉ヶ越トンネルの心霊体験談
ある登山者が、トンネルを歩いている最中にふと後ろから話しかけられたような気がして振り返ると、誰もいなかったという。
再び歩き出すと、今度はすぐ背後で「クスクス」という笑い声が聞こえ、恐怖のあまり走ってトンネルを抜けたという。
その後、車に戻るまでずっと誰かに見られているような気配を感じ続けたらしい。
また別の登山者は、登山道の途中で「おーい」という声に振り返ったが、そこには誰もおらず、周囲の霧が一瞬だけ晴れ、トンネル方向に向かって歩く“何か”の影を目撃したと語っている。
杉ヶ越トンネルの心霊考察
杉ヶ越トンネルがこれほどまでに心霊現象の報告が多い理由には、いくつかの要因があると考えられる。
まず、この地域一帯が「事故死」「滑落死」「自殺」といった“未浄化の死”が多発しているという現実である。
人は非業の死を遂げると、その念が地に残りやすくなると言われており、この場所も例外ではない。
さらに、見立鉱山という労働者の苦しみと死を背負った過去の土地が隣接している点も無視できない。
鉱山の閉山後、供養されることもなく忘れ去られた者たちの無念が、時を経てなおこの地に影響を与えているのかもしれない。
加えて、霧の発生が多い環境は視界と聴覚を狂わせるため、霊的な存在が“現れやすい”空間を作り出しているとも考えられる。
霊は水気の多い場所に引き寄せられるという説もあり、トンネルという閉ざされた空間は、まさに霊を封じ込める器としての役割を果たしているのかもしれない。
このように、杉ヶ越トンネルには“死”と“未浄化の念”が複雑に絡み合い、心霊現象が多発するに足るだけの背景が揃っているのである。
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