高知市の海沿いにある「種崎千松公園」。昼間はキャンプや散歩を楽しむ人々で賑わうが、夜になると雰囲気は一変するという。かつてここで起きた怪異の噂が今も囁かれている──今回は、種崎千松公園にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
種崎千松公園とは?

種崎千松公園(たねざきせんしょうこうえん)は、高知県高知市に位置する県立公園である。
この地に広がる松林は、江戸時代に土佐藩が防潮林として植えたもので、太平洋から吹きつける潮風を防ぐ目的で整備された歴史を持つ。
白砂と青松の景観は見事で、「日本の白砂青松100選」にも選出されている。
現在は公園の一部がキャンプ場として開放されており、トイレや水場も整備され、無料で一年中利用が可能である。
しかしその裏には、すぐ北側に墓地が隣接しているという立地があり、昼夜問わず独特の静寂と重苦しい空気が漂っている。
また、近くには高知市の自殺名所として知られる「浦戸大橋」が存在し、この一帯では不穏な噂が絶えない。
種崎千松公園の心霊現象
種崎千松公園の心霊現象は、
- 白装束を着た老人の霊が車の窓を覗きこむ
- 夜中に人の気配や足音がついてくる
- 墓地側で火の玉を見たという目撃談
- 猫の鳴き声に混じって“人のうめき声”が聞こえる
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず最も知られているのは、「白装束の老人」の目撃談である。
夜のドライブ帰り、疲れを感じた男性が駐車場に車を停め、仮眠を取っていたという。
ふと息苦しさを感じて目を開けると、窓のすぐ外に白装束を着た老人が覗きこんでいた。
その顔は蒼白で、まるで何かを探すように車内を見回していたという。慌ててエンジンをかけた男性が振り返ると、もうその姿は消えていた。
この老人の正体については、浦戸大橋から身を投げた者の霊だという噂もある。
また、墓地の北側を自転車で通過する際、「背後に誰かがついてくる」という報告も多い。
後ろを振り返っても誰もいないのに、砂を踏む足音だけが近づいてくる──。
特に湿気の多い夏の夜には、松林の中で“すすり泣く声”を聞いたという証言もあり、地元では夜間の通行を避ける者もいる。
さらに、公園の一角では「火の玉」を見たという話が残る。
松の根元付近をふわりと浮遊する青白い光が目撃されており、霊魂の残留現象とみられている。
近くの墓地や浦戸湾の溺死者の霊が、ここに漂っているのではないかと噂されているのである。
夜になると、公園に棲みつく野良猫たちがどこか一点を見つめて鳴くことがある。
その先を見ても何もいないのだが、猫が低くうなる方向から人の呻き声のような音が聞こえたという報告もある。
猫は霊を見やすいとされており、動物たちの異様な行動もこの場所の不気味さを際立たせている。
種崎千松公園の心霊体験談
夜間キャンプをしていた男性の証言がある。
彼はテントの中で就寝中、外で「ザッ…ザッ…」という足音を聞いた。
他のキャンパーはいない時間帯だったため不審に思い、ライトを持って外を照らしたが、誰の姿も見当たらなかった。
風の音とも違うその足音はしばらく続き、やがてテントのすぐ後ろで止まった。
翌朝、その場所を見ると、そこには人の足跡のような形をした濡れた砂が残っていたという。
別の訪問者は、深夜に公園のトイレへ向かう途中、松林の隙間に“白い影”を見たと話す。
立ち止まるとその影も動きを止め、逃げるように走ると、背後から「ドン」という音が響いた。
振り返ると、トイレの扉がゆっくりと閉まっていくのが見えたという。
種崎千松公園の心霊考察
種崎千松公園は、昼は憩いの場として親しまれているが、夜にはまったく異なる表情を見せる。
周囲の松林は音を吸収し、波の音と風のうなりが錯覚を生み出すため、霊的現象を感じやすい環境でもある。
しかし、近隣に墓地があること、そして自殺の多い浦戸大橋が近いことを考慮すれば、ここで感じられる気配が単なる錯覚とは言い切れない。
白装束の老人は、自ら命を絶った者がこの世に未練を残して彷徨っているのかもしれない。
また、墓地から漂う霊気が風に乗って松林へと流れ込み、夜の公園全体を包みこんでいるようにも思える。
火の玉や足音、猫の反応――それらはこの地が持つ“静かな死者の記憶”の一端なのかもしれない。
夜の種崎千松公園に足を踏み入れる者は少ない。
そこに漂うのは、ただの潮風ではなく、かつてこの地で命を落とした者たちの“息”である可能性がある。
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