兵庫県三田市加茂。武庫川の支流である黒川・青野川に建設された多目的ダムが「青野ダム」である。ダム湖は「千丈寺湖(せんじょうじこ)」の名で親しまれ、湖畔には公園や周回道路が整備され、釣りや散策の場として日常的に利用されている。
本記事は、幽霊の存在を断定するものではない。青野ダム周辺で語られている噂や口コミを整理し、なぜこの場所が心霊スポットとして語られるのかを観察するものである。
“バサーで賑わう明るい湖”の裏側で、なぜ一部だけが「首吊りダム」と呼ばれ、避けられるようになったのか。その背景を見ていく。
青野ダムとは?
の外観.jpg)
青野ダム(あおのダム)は、兵庫県三田市加茂、武庫川水系の青野川および黒川を貯水するダムである。計画は1967年(昭和42年)に始まり、1975年に地権者会との基本協定、1983年に起工式を経て、1988年(昭和63年)6月に竣工したとされる。
役割は洪水調節・水害防除に加え、既得の灌漑用水や上水の機能維持、工業用水の補給など多岐にわたる。ダムによって形成された湖は、当時の三田市長の命名で「千丈寺湖」と呼ばれ、周辺にはダムサイド公園、東浦公園、下青野公園などが点在し、市民の憩いの場になっている。
また千丈寺湖はブラックバスなどの釣り場として関西でも名が知られ、年間を通じて釣り客が多い湖でもある。環境保全のため条例も定められ、行為の制限や水質保全の取り組みが行われている。
アクセス(目安)
- 車:国道176号「上井沢交差点」から県道308号線方面
- 公共交通:JR広野駅から徒歩約30分(周辺ルートにより前後)
青野ダムで語られている心霊現象
青野ダム全域が“怖い”と語られるよりも、噂の焦点は湖畔の一部に集まっている。とくに、釣り人の間で語られるのが「ミニダム」である。
主に語られている噂は次の通りである。
- 湖畔に「ミニダム」と呼ばれる小さな堰堤があり、別名「首吊りダム」と呼ばれている
- 「首吊りの木」がある一角には、お供え物(線香・花・酒など)が置かれていたという
- ヘラブナ釣りの常連(ヘラ師)は、その場所に入らない/車も停めないと言われる
- その一角だけ“異常にバスが釣れる”ポイントがある(短時間で多数釣れた、など)
- 林の中から「ごめんね、ごめんねぇ」と呟くような声を聞いた、という伝聞
- 減水期に、かつて集落があった痕跡(円形の溜池跡のようなもの)が見える、という話
- そこに髪の毛や女性物の靴が溜まっていたことがある、という証言
ここで重要なのは、噂が「見た」よりも「避けられている」「供えがある」「空白がある」という形で語られている点である。人が近寄らない場所は、物語が濃くなる。
青野ダムが心霊スポットとされる理由
第一に、“首吊りダム”という呼称の強さである。正式名称ではなく通称であるにもかかわらず、言葉そのものが原因と結果を内包してしまう。名前が付いた瞬間、その場所は「起きた場所」として固定される。
第二に、供え物の存在である。線香・花・酒といった供養の痕跡は、そこに「何かがあった」という前提を生み、噂を現実味のあるものに変える。たとえ目的が慰霊や個人的な祈りであっても、外部の人間には“説明のない記号”として残る。
第三に、“釣れすぎる空白”である。
青野ダムは釣り人が多く、ポイントは擦れやすい。しかし「ここだけ擦れていない」「ここだけ異常に釣れる」という話は、立ち入りが避けられている理由と結びつき、怪談として完成してしまう。
最後に、湖畔の地形が持つ半閉鎖性がある。林、斜面、小道、フェンスの切れ目、減水期に現れる地形の痕跡。こうした“見えるものが増減する場所”は、噂の増殖に向いている。
心霊体験談・口コミ
青野ダム周辺では、釣りや見学の感想と、噂を補強するような証言が混在している。主な声を整理すると次の通りである。
- 「首吊りの木があるはずだが、どの木か分からない」
- 「右から数えて17本目」など、木の特定を試みる書き込み
- 「首吊りの木の周囲に結界があり、落ち葉に埋もれている。踏まないように」
- 「林の中から『ごめんね、ごめんねぇ』という老婆の声のようなものがした」
- 「バサーが多く擦れている湖だが、この一角だけ異常に釣れる」
- 反対に、魚道やダム施設について「配慮が細かい」「見学して学べる」「憩いの場」とする穏やかな感想
つまり、青野ダムは本来“生活の水瓶”であり“レジャーの湖”である一方、限定された一点にだけ、異質な物語が沈んでいる。
なぜ“首吊りダム”が生まれるのか|場所から考える心霊考察
心霊噂が根付く場所には共通点がある。人が集まる場所の中に、ぽっかり空いた“人が避ける区画”が存在することだ。
青野ダムの場合、湖全体は賑わう。しかしミニダム周辺だけは「車が停まらない」「ヘラ師が入らない」と語られる。
人が寄り付かない理由が“暗黙”で共有されると、その理由は説明されないまま「怖いから」に収束する。説明されないものは、想像で補われる。
さらに、供え物の痕跡は強い。
供え物は本来、祈りであり優しさである。だが第三者にとっては「ここで死があった」という看板にもなる。
その看板が立つと、風景は変質する。木はただの木でなくなり、林はただの林でなくなる。
そして決定打が「釣れすぎる」という要素である。
“釣り場としての合理性”と“避けられている非合理性”が同居したとき、人はそこに物語を置く。
この矛盾が、首吊りダムの噂を長持ちさせているのである。
まとめ
青野ダムは兵庫県三田市にある多目的ダムで、ダム湖は千丈寺湖として親しまれている。公園や周回道路が整備され、釣りや散策など日常の利用が濃い場所である。
一方で湖畔の一部に「ミニダム(首吊りダム)」と呼ばれる地点があり、供え物の痕跡、立ち入りを避ける慣習、「声を聞いた」「異常に釣れる」といった噂が重なって心霊スポット化している。
真偽は定かではない。しかし、賑わう湖の中に“空白の区画”が生まれたとき、人はそこに理由を求め、物語を生む。
訪れるなら、自然と地域の生活圏を荒らさぬよう、静かに距離を取るのがよいだろう。

のウワサの心霊話-500x500.jpg)
のウワサの心霊話-500x500.jpg)


コメント