池袋駅東口からほど近い場所にひっそりと佇む池袋四面塔尊。ここには、過去の凄惨な事件と怪異が息づいている。今回は、池袋四面塔尊のウワサの心霊話を紹介する。
池袋四面塔尊とは?
JR池袋駅周辺にはいくつかの公園が存在する。
駅東口の右手(北側)にあるP’パルコ前の細い通りを50~60メートル進むと、左手に池袋駅前公園の入り口がある。
この公園は線路沿いに細長く広がっており、公園に入るとすぐ左手に2つの祠が並んでいる。
公園の右手には池袋四面塔、左手には池袋四面塔稲荷大明神が存在する。
池袋四面塔には法華経のお題目が刻まれた石塔が祀られており、その隣には「四面塔尊の由来」と記された説明板が掲げられている。
説明板によると、約300年前、現在の西武線池袋駅東口付近の四ツ辻では、夕方になると追いはぎや辻斬りが頻繁に発生していた。
ある夏の夜、一晩で17人もの辻斬りの犠牲者が出るという事件が起こった。
この事態を憂いた池袋村の人々は、雑司ケ谷の鬼子母神威光山法明寺の僧侶に供養を依頼し、法華経のお題目を刻んだ石塔を建立して無縁仏の霊を供養することにした。
池袋四面塔の隣には稲荷大明神が祀られており、そのさらに隣には六地蔵尊が存在する。
これらは囲いで丁寧に管理されており、池袋四面塔尊奉賛会によって大切にされていることが伺える。
池袋四面塔尊🐲 pic.twitter.com/5U8m9SzZ7D
— からあげ檸檬🍋@酒呑み (@yk91368766) April 5, 2023
池袋四面塔尊の心霊現象
池袋四面塔尊の心霊現象は、
- 辻斬りの霊の影響により通り魔事件などを引き起こしている
である。江戸時代の寛政時代、池袋周辺は辻斬りの悪行で多くの命が奪われた。
特にひどい夜には、一晩で15人以上が命を落としたと云われている。
これらの犠牲者たちの霊は、未だに通り魔事件などを引き起こしているという恐ろしいウワサが立っている。
四面塔の呪い
昭和34年(1959年)7月、「週刊東京」に掲載された「四面塔にたたられた怪異」の記事には、丸物百貨店で起きた不可解な事故が記されている。
1週間の間に2件の奇怪な事故が発生した。
1つ目は、池袋に住む寿司屋の主人が3歳の子供と丸物百貨店の屋上でヘリコプターに乗って遊んでいた際、ヘリコプターが突然落下し、子供が重傷を負った。
ヘリコプターの中心にある棒が折れたのが原因だが、通常では考えられないほどの力が加わったとされる。
2件目は、それから5日後、丸物百貨店の7階から6階に降りる階段で、何者かに頭を殴られた女性がその場に倒れた。事故の原因や犯人は不明であった。
四面塔にまつわる恐怖の逸話もある。
池袋駅の構内の邪魔になったとして四面塔を移動させたところ、怒りに触れた駅長が2、3日で急死したという。
戦後、西武池袋線で事故が多発し、易者に「四面塔を粗末に扱っているからだ」と言われたが、当時駐留軍の兵隊たちが物珍しさに四面塔に小便をかけていたため、駅員たちは始発電車の後に四面塔を掃き清めるようになった。
また、四面塔を移転中には人夫8人が下敷きになり命を落としたため、祠が立てられたとされる。
これらの怪異の話は一部信憑性があると言われているが、その詳細は謎に包まれている。
祟られた丸物デパート
「人斬り塚」とも呼ばれている四面塔では、その祟りで丸物百貨店では頻繁に泥棒が入り、7階の大きなガラスが突然落下し、通行中の女性が重傷を負った。
江戸時代の辻斬りを行っていた無頼漢たちの仕業であるとも云われる。
亡くなった霊たちが各所に現れ、通行人にいたずらをするため、四面塔が建てられたとされる。
また、昭和22年(1947年)には池袋駅長が四面塔のそばで立小便をした結果、尿毒症で急死したという話もあるが、前述の駅長の話とは異なる可能性がある。
近年の巻き込み事件
近年でも池袋では無差別に人を巻き込む事件が続いている。
平成31年(2019年)4月19日には、東池袋の交差点で自動車が暴走し、赤信号を無視して横断歩道に突っ込み、母子2人が死亡し、他の9人が負傷した。
運転手は87歳の元通産相官僚Iであった。遺族は厳罰を求め、事故現場には慰霊碑が建立された。
また、平成11年(1999年)9月4日には、サンシャインシティのエレベーターから地上に出た造田博が暴走し、夫婦2人や66歳の女性を襲い、さらに東急ハンズ前で29歳の女性を包丁で刺殺した。
造田は後に東京拘置所で死刑囚として収監された。
平成27年(2015年)8月16日には、東口前の「ZARA」前で、53歳の医師Kがてんかんの発作で車を暴走させ、1人が死亡し4人が重軽傷を負った。
Kは懲役5年の判決が下された。
平成19年(2007年)11月6日には、パルコの屋上から飛び降りた25歳の女性が、下を歩いていた38歳の男性に直撃し、男性は亡くなった。
女性は統合失調症の入院歴があった。
さらに、平成26年(2014年)6月24日には、池袋駅北口から西口に移動すると、危険ドラッグの影響で暴走したNが中国人女性を含む6人に重軽傷を負わせた。
Nは懲役8年の判決を受けた。
「池袋の事故や事件って、巻き込み事故ばかりなのよ」という言葉が響く。
孤独や絶望に囚われた人間は、無関係な人々を巻き込むことによって、その苦しみを他者に分け与えようとするのかもしれない。
池袋での無差別な事件や事故は、まるで過去の悪霊たちが続ける呪いのように感じられるのだ。
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