鹿児島県指宿市と南九州市を結ぶ鳥越トンネル(鳥越隧道)は、明治時代に築かれた歴史的な石組みトンネルである。しかしその美しい構造の裏側には、白い服の女性の霊や看護婦の霊が現れるといった数々の怪異が語り継がれており、地元では「決して一人で通ってはならない場所」として恐れられている。今回は、鳥越トンネル(鳥越隧道)にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
鳥越トンネル(鳥越隧道)とは?
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鳥越トンネル(鳥越隧道)は、鹿児島県指宿市と南九州市頴娃町を結ぶ県道頴娃・宮ヶ浜線上に位置する石組みの歴史的トンネルである。
完成は明治31年(1898年)と古く、全長84メートル、幅4.5メートルの狭い構造を持つ。
トンネルの前後には照明が設置されておらず、日中であっても陰鬱な空気に包まれている。
特筆すべきは、その精緻な石積み構造であり、鹿児島県内でも非常に珍しい二重環石を持つ石ポータル形式が採用されている。
トンネル周囲の地形は切り通しのように両側が狭く、建設当時の難工事を物語る。
130年以上が経過した現在も現役の車道として利用されているが、その歴史の裏には、数多の不穏な噂がまとわりついている。
鳥越トンネル(鳥越隧道)の心霊現象
鳥越トンネル(鳥越隧道)の心霊現象は、
- 女性の霊がトンネル入口に立っている
- 看護婦の霊が患者をおんぶして歩いている
- 夜になるとすすり泣く声が聞こえる
- トンネル付近に遺体が遺棄されたという噂がある
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、多くの人が目撃しているというのが、白い服を着た女性の霊である。
彼女はトンネルの入口付近に現れ、車が近づくとゆっくりとこちらを振り返るという。
その顔は不自然に真っ白で、目の部分だけが黒くぽっかりと穴のように空いていると語られる。
次に、看護婦と思しき霊の目撃談も多い。彼女は背中に何かをおぶっており、それがよく見ると患者であるという。
2人は無言のままトンネルの奥へと消えていくが、その姿を見た者は高熱にうなされるという噂もある。
さらに、夜になるとトンネル内部から女のすすり泣くような声が聞こえることがある。
しかもその声は、通行中の車内まで響いてくると言われており、録音を試みた者もいるが、録音機器が壊れてしまったとの報告もある。
また、この場所にまつわる戦時中の噂も恐ろしい。
太平洋戦争中、裕福だったある家の主人が、妬みによる密告によってスパイ容疑をかけられ、憲兵に連行された末に帰らぬ人となった。
その遺体が鳥越トンネル付近に遺棄されたという都市伝説が残っており、周辺では病死者の遺体も投棄されたという凄惨な過去がささやかれている。
鳥越トンネル(鳥越隧道)の心霊体験談
ある地元住民は、夜にこのトンネルを通りかかった際、車のフロントガラスに女の顔が映り込んでいたと語っている。
驚いて急停止したが、周囲には誰もいなかったという。
さらに帰宅後、何日も原因不明の高熱に悩まされ、病院でも異常が見つからなかったという体験談が存在する。
また別の体験者は、助手席に誰も乗っていないにも関わらず、急に車の重さが増したように感じ、ルームミラーを見ると、白衣姿の女が背後に座っていたという。
彼女は無表情のまま、目を見開いて鏡越しにこちらを見つめていたという。
鳥越トンネル(鳥越隧道)の心霊考察
鳥越トンネルは、山間の人目につきにくい場所に存在しており、自殺や他殺、遺体遺棄などの事件が隠されやすい地形的要因がある。
そのため、歴史の表には出ない数々の悲劇があった可能性は高い。
特に戦時中のスパイ容疑による密告事件は、人の業や妬みがもたらした無念の死であり、成仏できぬ怨念がこの地に染みついていると考えられる。
また、看護婦と患者という奇妙な霊の組み合わせは、この地に病院や隔離施設があった可能性を示唆している。
現代でもなお現役の道路トンネルとして使われているが、その石の隙間には、確かに何かが潜んでいるのかもしれない。
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