岡山県と鳥取県の県境に位置する四十曲トンネルでは、上半身だけの老婆の霊「コツコツばあさん」が出現するという恐ろしい噂が語り継がれている。深夜のトンネルで起きる不可解な現象や命に関わる怪談が今もなお人々を震え上がらせている。今回は、四十曲トンネルにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
四十曲トンネルとは?

四十曲(しじゅうまがり)トンネルとは、岡山県真庭郡新庄村と鳥取県日野郡日野町を結ぶ国道181号に位置する全長1,863メートルのトンネルである。
標高はおよそ780メートル。1968年に竣工し、当時としては非常に長大なトンネルであった。
かつてこの一帯は、四十回近くも曲がりくねった峠道が連なる交通の難所として知られていた。
現在は整備された道路とトンネルによって通行は容易になったが、この静かな山間に横たわるトンネルには、今なお語り継がれる恐ろしい噂がある。
四十曲トンネルの心霊現象
四十曲トンネルの心霊現象は、
- トンネル内に老婆の霊が現れる
- クラクションを鳴らすと“コツコツばあさん”が出るという噂
- 上半身しかない老婆が、異様な速さで車を追いかけてくる
- コツコツばあさんに追い越されると死ぬ、という怪談
である。以下、これらの怪異について記述する。
四十曲トンネルには、特に夜間、異様な体験をする者が後を絶たない。
その中でも有名なのが「コツコツばあさん」の話である。
この老婆の霊は、トンネルの中心部でクラクションを鳴らすと出現するとされている。
その姿は上半身しかなく、両ひじを使ってコツコツと音を立てながら、信じがたい速度で地を這うようにして車を追いかけてくる。
全国的に知られる都市伝説「てけてけ」に類似しているが、老婆である点が異なる。
このコツコツばあさんに追いつかれる、あるいは追い越されると、その者は“死ぬ”と噂されている。
誰が最初にこの話を語ったのかは定かではないが、実際にクラクションを鳴らした直後、不可解な事故に遭遇したという体験談も散見される。
また、近隣には「首切峠」と呼ばれる心霊スポットも存在し、その瘴気がトンネルにまで及んでいる可能性も否定できない。
四十曲トンネルの心霊体験談
ある深夜、若者のグループが肝試しにこのトンネルを訪れた。
トンネルのほぼ中央で車を止め、軽い気持ちでクラクションを3回鳴らしたという。
数秒後、車体の後方から「コツ、コツ、コツ……」という音が近づいてきた。
バックミラーを覗くと、赤い反射板の奥に、何かが這ってくるような影が見えたという。
慌てて車を発進させたが、音は徐々に近づいてきた。
「振り返るな」と叫びながら逃げる彼らの背後で、ひじで這う老婆の顔が窓に迫ったのを助手席の者が見たと証言している。
彼らは無事にトンネルを抜けたものの、そのうちの一人は翌日、高熱にうなされ、しばらく意識を失ったままだったと語られている。
四十曲トンネルの心霊考察
このトンネルに現れる「コツコツばあさん」は、典型的な都市伝説の構造を持ちながらも、現地の実体験と結びついている点で異質である。
上半身のみ、異様な速さでの追跡、そして“追い越されると死ぬ”というルール的要素は、死の予兆としての霊的存在を感じさせる。
また、隣接する首切峠との地理的近さから、過去に何らかの歴史的惨事や死者の記録があったのではないかと推察される。
長く曲がりくねった峠道を「四十曲」と呼んだその地名自体が、まるで不気味な巡礼を思わせる。
この地を訪れる際は、決して軽い気持ちでトンネルに立ち入ってはならない。
冗談半分の行為が、取り返しのつかない“接触”を招くこともあるのだから。
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