山口県山口市にある仁保斎場は、静かで整備された公営の火葬施設である。しかし一部では、この場所の周辺に“何か”を感じ取るという声がささやかれている。今回は、仁保斎場にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
仁保斎場とは?

仁保斎場は、山口市が運営する公営の火葬施設である。火葬炉は5基設置されており、胞衣炉のほか、葬祭場・霊安室・通夜室・待合室・収骨室などが整備されている。
通夜から火葬、収骨に至るまで、葬儀に必要な一連の流れを一か所で完結できるよう設計されており、市内の住民にとっては実用性の高い施設といえる。
周囲は静かな環境で、近くにはかつて寺院の跡地だったとされる墓地が残されている。
整備の行き届いた施設である一方、その立地と用途ゆえか、訪れた者の一部が「説明のつかない気配」を感じたという報告がある。
仁保斎場の心霊現象
仁保斎場の心霊現象は、
- 敷地周辺で、霊感のある者が視線を感じることがある
- 駐車場付近で、霊感体質の人が白い影を目撃したという話がある
- 霊安室付近で空気の密度が変わったと感じた人がいる
である。以下、これらの怪異について記述する。
一般的な利用者が異変を感じることはまずないが、霊感のある者に限っては、斎場の周囲を歩いていると「背後から何かに見られているような気配を感じる」と語ることがある。
また、駐車場付近や裏手の池がある空間では、「ほんの一瞬、白い影のようなものを見た」と証言する者もいる。
これは極めて限定的な体験であり、多くの利用者が気づくことはない。
ただし、複数の霊感者が似たような印象を抱いている点に、不思議さが残る。
霊安室の前では、急に空気が重たくなったように感じるという証言もある。
呼吸がしづらくなり、身体の芯が冷えるような感覚に襲われたという報告が、ごく少数ながら存在する。
さらに、通夜室周辺において、誰もいないはずの夜間に床を踏むような音が聞こえたという話もある。
ただし、これも“音の正体”が確認されたことはなく、気のせいと片づけられることがほとんどである。
仁保斎場の心霊体験談
30代女性の体験談である。彼女はかねてより霊感が強いとされ、これまでもいくつかの不思議な経験をしてきたという。
親族の通夜で仁保斎場を訪れた夜、休憩のため一人で裏手の道に出たとき、ふと斜面に目を向けた瞬間、そこに白く霞んだ人影のようなものが見えたという。
目をこすった次の瞬間には、それはもう消えていた。
彼女は、「あれは誰にでも見えるものではない」と語る。同行していた家族は誰一人として気づいておらず、その場の空気の異様さも感じていなかった。
その夜、彼女は霊安室付近を通る際にも、耳鳴りのような音とともに寒気を覚えたという。
翌朝には何も感じなかったが、「あの時間帯だけ、別の空間に足を踏み入れたようだった」と振り返っている。
仁保斎場の心霊考察
仁保斎場にまつわる心霊現象は、誰にでも明確に起こるものではない。
むしろ、非常に限られた体質の人々にだけ反応する“微細な波長”のような現象といえる。
それは、人の死を見送り、魂が旅立つその“余韻”のようなものかもしれない。
この場所は、多くの感情が交錯する場であり、ただ静かなだけでは済まされない何かが滲み出ている。
特に、歴史的背景──寺跡や墓地跡の存在は、その土地の“記憶”が長く留まりやすい要因となっている可能性がある。
悪意ある霊障があるわけではない。ただ、ごく一部の人間には、そこに“誰かがいる”という感覚が明確に伝わってくるのだろう。
ふざけ半分で足を運ぶ場所ではない──それが、体験者の口を通して、静かに語られている警告である。
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