福岡県老司地区に存在する「少年院の植え込み」。かつては空き地に大きな木と小さな塚がぽつんと佇んでいたこの場所に、いまもなお恐怖の記憶が語り継がれている。今回は、少年院の植え込みにまつわるウワサの心霊話を紹介する。
少年院の植え込みとは?

「少年院の植え込み」とは、福岡市南区老司にある福岡少年院の敷地内に存在する一角を指す。
元々は老司古墳や老松古墳といった歴史的な遺構が近接していた地域であり、現在ではこれらが木々に覆われ、ひとつの鬱蒼とした森のような様相を呈している。
かつては敷地の警備も緩く、近隣の子供たちが少年野球の練習に使うこともあったという。
しかし、時代が進むにつれて厳重な立ち入り禁止区域となり、20年以上も人の手が入らず放置された結果、今では自然と闇に飲み込まれた魔境のような場所と化しているという。
少年院の植え込みの心霊現象
少年院の植え込みの心霊現象は、
- 黒い着物を着た真っ白な顔の女性の霊が塚のそばに立ち続けている
- 夜になると人影とは思えぬ何かが木々の間を徘徊する
- 幽霊の気配だけでなく、明らかに「何か」がすれ違う音が聞こえる
- 一部の目撃者が強烈な悪寒や吐き気を覚える
である。以下、これらの怪異について記述する。
最も有名な現象は、黒い着物をまとった白い顔の女性の霊の出現である。
目撃者によれば、年齢は40代ほどに見え、表情も動作もなく、ただ塚の前に立ち尽くしていたという。
この塚が彼女のものだった可能性もあり、そこに根付く強い念が彼女をこの世に縛り付けているのではないかと囁かれている。
この幽霊は、何かをするわけではない。ただ、そこに「いる」だけである。
にもかかわらず、その存在には強烈な圧があり、見た者の多くが恐怖のあまり声も出せなかったという。
さらに、夜になると森の奥からは足音とも気配ともつかぬ「何か」がすれ違う音が聞こえる。
人間とも動物ともつかぬ影が、時折木々の隙間を素早く横切る様は、幽霊以上に得体の知れない存在の気配を感じさせる。
この地に入った者の中には、急激な吐き気や悪寒に襲われ、その場から逃げ出さざるを得なかった者もいる。
空気そのものが重く、視界に映るものすべてが不自然に感じられるという。
少年院の植え込みの心霊体験談
ある目撃者の話によれば、1980年代、まだ塚が見えていた時代にその霊と出会ったという。
夕暮れ時、誰もいないはずの植え込みに入った彼は、突如として塚の前に立つ黒い着物の女性と鉢合わせた。
彼女はまったく動かず、声も出さず、ただじっとこちらを見つめていた。
顔は死人のように白く、髪は肩にかかるほどに長かったという。
逃げようと背を向けた瞬間、背筋を何かが這い上がるような悪寒に襲われ、足がもつれて転びそうになった。
それ以来、彼は二度とその場所に近づくことはなかった。
少年院の植え込みの心霊考察
この場所の霊現象が他の心霊スポットと決定的に異なるのは、「時間」と「孤立」の要素が絡み合っている点である。
20年以上もの間、人の手が加わらないまま放置されたことによって、自然と霊的エネルギーが濃縮された可能性がある。
また、老司古墳や老松古墳といった古代の遺構が隣接しており、土地そのものが持つ歴史的・霊的な要因が心霊現象の発生に関与している可能性も否定できない。
かつての遺体が眠る場所に、人間の営みが加わり、そしてまた放置された結果、現世と異界の境界が曖昧になったのかもしれない。
いまやこの場所は完全に立ち入り禁止であり、夜間に近づくことすら推奨されない。
ただの「幽霊」だけでは済まされない、深い闇が根を張る場所——それが「少年院の植え込み」である。
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