「風に消えた道標」というネット上の都市伝説を耳にした若いカップル。
彼らはその迷信を笑い飛ばし、真実を確かめるべく沖縄の奥地へと旅立った。
地元の人々がその道を避けるように警告していたが、好奇心に駆られた二人は止められなかった。
彼らが道に足を踏み入れると、森はすぐに不気味な静寂に包まれた。
風が吹くたびに木々がざわめき、まるで何かが彼らを監視しているかのようだった。
やがて、古びた道標が彼らの前に現れた。
それは、ウワサされている「風に消える道標」そのものだった。
古びた石製の道標は、雨風に晒されて年月が経過しているように見えた。
表面が風化しており、ひび割れや欠けが見られ、苔むした緑がかっている。
「これだ!」と二人は意気揚々とその道標に従い、先へ進んでいったが、突然冷たい風が吹き荒れ、道標はまるで幻のように消え去った。
驚いた二人は慌てて道を戻ろうとしたが、周囲はどこも同じように見え、森はますます暗く、冷たくなっていった。
ウワサされているように、進むべき道もわからなくなり、二人は迷い始めた。
歩けども歩けども出口は見えず、周囲の景色はどこか異世界のように変わる。
そしてついには、二人は謎めいた古びた祠にたどり着いた。
祠の前には無数の足跡があり、それらはすべて祠に向かっていたが、どれも戻っていく形跡はなかった。
その夜、二人は祠の前で不安と疲労に押しつぶされ、ついに力尽きた。
翌朝、地元の人々が祠を訪れると、そこには一対の靴が置かれているだけだった。
カップルは、まるで道標と共に風に消えてしまったかのように、跡形もなく姿を消していた。
その日からさらに多くの観光客がウワサにある「風に消えた道標」に引き寄せられ、消えていったという。
誰もその理由を知らないが、一度足を踏み入れた者は二度と戻ってこない。
その道標は、今もどこかで迷える魂を誘い続けているのかもしれない。
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