閉院後もなお、建物内外で報告される足音、呻き声、そして白衣をまとった幽霊の出現などの怪異は、かつての医療現場で交錯した生と死のドラマが形を変え、今なお現れると噂される。今回は、旧香川県立中央病院(跡地)にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
旧香川県立中央病院(跡地)とは?
旧香川県立中央病院(跡地)は、香川県高松市番町に所在していた歴史ある医療施設であり、2014年3月に閉鎖されたことで、その栄華の日々は終焉を迎えた。
かつては、二棟ほどの十階建ての大規模な建物群から構成され、東側、北側、南向きの地下駐車場や病院前のベンチなど、充実した施設を誇っていた。
閉院に至る背景には、老朽化の進行と新中央病院への移転・整備が挙げられるが、閉院後もなお、建物は一部に覆いが施され、外から覗くことが可能な状態だった。
地図によれば、中央病院食堂が現存しており、管理を行う者が存在することから、完全な放棄状態ではないが、内部は荒廃し、かつての医療の熱気は影を潜め、今や不吉な影を放つのみとなっている。
こうした経緯が、施設に刻まれた数々の記憶と悲劇を呼び覚まし、数多の心霊現象の噂が生まれる所以となっているのである。
※現在は解体され現存しない。
旧香川県立中央病院(跡地)の心霊現象
旧香川県立中央病院(跡地)の心霊現象は、
- 無人の廊下に響く謎の足音
- 深夜、病室や廊下から漏れるかすかな呻き声や囁き声
- 白衣をまとった50代位の男性の霊
- 東側駐車場跡や地下通路付近に出現する幽霊の姿
- エレベーター内またはその近辺に、異常な光や影として現れる幽霊
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、閉院後の病院内において、無人の廊下から響く謎の足音があるという報告が多数ある。
夜の静寂を突如として破るその音は、誰もいないはずの空間に、まるでかつての医療現場で歩み回った者の足取りが蘇るかのようであり、訪れる者に計り知れぬ不安と恐怖を与えるのである。
次に、深夜、病室や廊下から漏れるかすかな呻き声や囁き声が確認される。
これらの声は、過去にこの施設で生と死が交錯した記憶の残滓であり、かつての患者や医療従事者が抱いた苦悶や絶望が、今もなお空気中に漂い、哀しみを込めてささやかれるかのようである。
発生源が特定できず、どこからともなく聞こえるその声は、心霊現象としての信憑性を一層高めている。
また、特に衝撃的な現象として、救急部や薬剤部の入口付近の廊下において、白衣をまとった50代位の男性の霊が、壁面へと吸い込まれていく瞬間が目撃されるという。
通常、幽霊が移動する際には、台車に乗るなど無表情に静かに姿を現すとされるが、目撃者の証言によれば、この男性は膝を曲げ、くの字に体を曲げた中腰の姿勢で、まるで何かに引き込まれるかのように消失した。
頭髪は七三分けまたは普通の長さで、苦悶と激しい痛みに満ちた表情が一瞬浮かんだという。
この異常な現象は、医師または薬剤師の霊である可能性が示唆され、閉院後もなお、その未練が幽霊として現れる結果となっていると考えられる。
さらに、病院の敷地内、特に東側駐車場跡や地下通路付近においては、深夜に浮遊する幻の幽霊が出現するという目撃情報がある。
封鎖された地下通路の近く、静寂の中にひっそりと佇むその姿は、まるで亡霊が座しているかのようであり、その存在は周囲に不吉な空気を漂わせる。
加えて、エレベーター内やその周辺では、昼間にもかかわらず、エレベーターの扉が閉まる瞬間に、外側の天井に人の顔が一瞬映り込む現象が確認され、これらの一切の現象は単なる偶然の産物とは断じ難いとされるのである。
旧香川県立中央病院(跡地)の心霊体験談
旧香川県立中央病院(跡地)における心霊体験談は、複数の証言者によって語られている。
まず、2006年から2007年頃、広島市から帰還した者が、地下救急の奥に位置する薬剤部入口付近の廊下で、白衣を着た50代位の男性が、救急部の扉の真向かいの壁に向かって中腰の姿勢で吸い込まれていく瞬間を目撃したという。
目撃者は、その異様な動きにただならぬ恐怖を覚え、後に「医者か薬剤師の霊ではないか」と考えたと語る。
彼によれば、その男性の白衣は、膝下まで届く長いタイプであり、普通の幽霊が見せる静謐な動作とは異なり、苦しみに満ちた激しい形相が印象的であったとのことである。
また、看護学生時代に中央病院で実習を行っていた者は、北館10階から乳飲み子を抱えた若い母親が飛び降りるという、衝撃的な事件があったことを語る。
事件はニュースにならなかったものの、その光景は実習生たちの記憶に深い爪痕を残し、施設全体に漂う悲劇の空気が、幽霊現象としても反映されている可能性が指摘される。
さらに、東駐車場跡の近く、封鎖された地下通路のすぐ東の場所では、真夏の夜、お盆明け頃の闇夜に、植え込みの石のあたりに座る幽霊を目撃したという証言も存在する。
深夜、誰もいないはずの敷地内で、ふわりと浮かぶその幽霊の姿は、まるでこの場所に刻まれた多くの悲劇と未練が具現化したかのようであり、見る者に強烈な恐怖を与えたといえる。
また、深夜に通りの向かい側を歩いていた際、建物の壁やガラスの付近に、白い長袖の男の上半身が一瞬映ったとの体験談もある。
初めは光の反射と考えたものの、しばらく歩行してもその異様な姿が消えることなく、むしろ幽霊の存在感を増すかのようであった。
さらに、2011年頃、南館1階のエレベーターホールにおいて、深夜、自販機が並ぶ場所で無数の視線を感じ、実際に誰もいないはずの中で異様な気配を感じたという証言もあり、これらの体験はすべて旧香川県立中央病院に限定されたものである。
さらに、2007年頃の旧北館のエレベーター内では、平日昼間に乗っていた際、扉が閉まる瞬間に、外側の天井に斜めに横たわった男性の姿が映り込んだという。
彼は40代から50代で、長めのパーマヘアをなびかせ、笑みを浮かべながらも、その姿は明らかにこの世のものではないと語られている。
これらの体験談は、いずれも旧香川県立中央病院という一つの場所に集約され、そこで刻まれた数々の悲劇と未練が、幽霊現象として具現化していることを示しているのである。
旧香川県立中央病院(跡地)の心霊考察
旧香川県立中央病院(跡地)における心霊現象は、閉院後の長い年月にわたり、施設内に蓄積された負のエネルギーと、かつての医療現場で生と死が交錯した激しいドラマの残滓が、幽霊として現れる結果であると考えられる。
建物が老朽化し、放置された環境は、そこに刻まれた無数の記憶や悲劇を、より一層際立たせる。
特に、白衣をまとった50代位の男性の霊は、医師や薬剤師としての責務や未練が、閉院後もなお幽霊として具現化した証左であると推察される。
加えて、無人の廊下で響く足音や、深夜に漏れる呻き声は、かつて命の救済を担った場所における、患者や医療従事者の苦悶と絶望の残響であり、単なる偶然の現象ではなく、施設全体に刻まれた負のエネルギーの表れであるかもしれない。
以上のように、旧香川県立中央病院は、その壮絶な歴史とともに、数々の心霊現象の噂を生み出し、今なお訪れる者に耐えがたい恐怖と不吉な印象を与える存在である。
廃墟となった内部に漂う悲劇の記憶は、幽霊として形を変え、現れるたびに人々の心に深い爪痕を残すのである。
訪れる者は、その場所に立つだけで、過ぎ去った数多の苦悶と未練が、まるで今にも甦るかのような不気味な空気に包まれ、震え上がること請け合いである。
コメント