山形県山形市にある「西蔵王仏舎利塔」には、建設途中で中断された経緯や、周囲に漂う異様な雰囲気などから、古くより数々の心霊体験が囁かれている。今回は、西蔵王仏舎利塔にまつわるウワサの心霊話を紹介する。
西蔵王仏舎利塔とは?

西蔵王仏舎利塔は、山形県山形市に位置する平和大宝塔であり、西蔵王公園の展望広場から北へ進んだ森の中に静かに佇んでいる。
その外観は上空から見るとUFOのような独特な形状をしており、訪れる者に不思議な印象を与える建築物である。
この仏舎利塔は、1980年頃、日本山妙法寺山主・藤井日達上人の発願によって建設が開始された。
釈尊のお仏舎利を奉安し、世界平和を祈願するための聖なる塔であるはずだった。
しかし、上人が志半ばで急逝したことで工事は中断され、その後も完成を見ることはなかった。
現在も管理されており、建物そのものは廃墟ではないが、塔が建つその土地には奇妙な静寂が漂っており、ただのパワースポットでは片づけられない異質な気配を感じさせる。
西蔵王仏舎利塔の心霊現象
西蔵王仏舎利塔にまつわる心霊現象は、
- 女性の霊が現れる
- 誰もいないはずの場所から声が聞こえる
- 森の中に黒い人影が立っている
- 悪霊が棲みついているというウワサがある
である。以下、これらの怪異について記述する。
まず、この場所で語られる最も有名な怪異は、女性の霊の出現である。
夜になると、塔の近くで白い服をまとった女の姿を見たという証言が後を絶たない。
その女は塔を見つめたまま立ち尽くしており、近づこうとするとスッと霧のように姿を消すという。
次に、聞こえるはずのない声の現象である。
森の奥から何かをつぶやくような低い声が聞こえたり、塔の周囲で「こっちに来て」と囁く女の声を聞いたという者もいる。
その声の正体は、現地に足を運んだ者でなければ知ることはできない。
また、森に現れる黒い人影の目撃談も多い。
その影はただじっとこちらを見つめているように感じられるが、近づいても人の姿はどこにもなく、いつの間にか闇に溶けて消えてしまう。
最後に、悪霊の存在を示唆するウワサがある。
この地は元々、数多くの霊が彷徨っていた場所であり、藤井上人はそれらの霊が市街地に降りていかぬよう、この地に仏舎利塔を建てようとしたという。
しかしその試みは途中で絶たれ、霊たちは今もなおこの場所に縛られているとも言われている。
西蔵王仏舎利塔の心霊体験談
ある訪問者は、深夜に仏舎利塔を訪れた際、塔のすぐ横から何かがこちらを「見ている」ような感覚に襲われたという。
あたりには誰もおらず、風も吹いていなかったが、背後から「カサ…カサ…」という足音のような物音が聞こえ、振り返ると白い影が森の中に消えていった。
また別の者は、夜景を見に来た帰りに仏舎利塔に立ち寄った際、塔の前で女性のすすり泣く声を聞いたという。
懐中電灯で照らすと誰の姿もなかったが、声は確かに存在していたとのことである。
西蔵王仏舎利塔の心霊考察
この地に霊が集まる理由として、もともと霊的に敏感な土地であった可能性が高い。
藤井日達上人は、その異様な気配を鎮めるため、仏舎利塔を建立しようとしたのではないかと考えられる。
しかし、霊的な力に抗いきれなかったのか、あるいはそれが強すぎたのか、上人の死と共に計画は頓挫した。
建設が途中で止まった建造物というものは、しばしば霊の通り道となることがある。
未完の塔、封じられた志、そして供養されなかった霊たち――これらの条件が重なり、現在のような心霊スポットとなったのではないかと推察される。
訪れる際は決してふざけ半分ではなく、敬意と警戒心を持って臨むべき場所である。
見えないものが、あなたを見つめているかもしれないのだから──。
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